テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
《毅:今日の夜空いてる?》
《仁人:空いてるけど》
《毅:飲まね?》
《仁人:いいよ》
《毅:じゃ場所送っとく》
最近、こうして仁人と定期的に飲む事が増えた。
と言っても、誘う時は7割俺からだし、特に仁人も断る気配はない。
今日もお互いの仕事が終わり、空の色が暗く変わり始めた頃、いつものように仁人に連絡を入れた。
店内の照明は、意図的に落とされているようで落ち着いた雰囲気だった。
重厚な木製の引き戸を閉めれば、そこは新宿の喧騒から切り離された完全な個室。
仁人よりも早く着き、先に、酒のあてにつまむものを注文する。
しばらくして、ガラガラと引き戸が開いた。
「ごめん、仕事押した」
『いいよ。俺もさっき来たところだし。とりあえず何か飲むもん頼めば』
「お、あざーす」
わずかに漂うお香の香りと、運ばれてきたばかりの日本酒の香りが、俺たちの間の空気を重く、甘く満たす。
正面に座る仁人は、お猪口を弄びながら、いつになく饒舌だった。
最近のライブの反省、メンバーの面白かったエピソード、次にやりたい演出の話。
いつも通りの会話。
しばらくすると、酒が回ってきたのか、徐々に笑顔が増えていった。
「……でさぁ、あの時太智が間違えたのがもう面白すぎて。俺、笑い堪えるの必死だったわ笑」
仁人はケラケラと笑う。
ほんと楽しそうに話すよなぁ…笑
『仁人』
「ん〜?」
『…』
「なんだよ笑」
短く名前を呼ぶと、 わざとらしく明るい返事をして、ようやく視線を俺に向けた。
少しだけ潤んだ、大きな瞳。
『最近マジで頑張ってるよな。格好いいよ』
唐突な言葉だったかもしれない。
でも、嘘偽りのない本音だった。
パフォーマンスの完成度、リーダーとしての振る舞い。
同期として横に並んできたからこそ、こいつがどれだけのものを背負って、どれだけの努力をして今の場所に立っているか、俺が一番よく知っている。
仁人の動きが、ピタリと止まった。
冗談めかして笑い飛ばすかと思ったが、仁人は予想に反して、顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。
「…何だよ急に、気持ち悪い」
『気持ち悪いって何だよ笑本当のこと言っただけだろ』
「お前、そういうの、あんまり言わないじゃん笑だいぶ酔ってんな笑 」
『お前もな』
「ふはは笑まぁありがと、」
仁人は逃げるように、お猪口に残っていた酒を一気に飲み干した。
白い喉仏が上下し、薄い唇が濡れる。
その一連の動作を、俺は食い入るように見つめていた。
こいつは照れるとすぐこうやって酒に逃げて、余裕のあるフリをする。
でも、真っ赤になった耳たぶまでは隠せていない。
可愛いなぁ…本当に、笑
俺の心臓の鼓動が、少しずつ速くなっていくのがわかる。
今、俺の目の前で、俺の言葉一つに翻弄されて顔を赤くしている「吉田仁人」を、もっと深く、ぐちゃぐちゃにしてしまいたい。
そんな独占欲が、腹の底で鎌首をもたげた。
『照れんなよ笑…そういう素直じゃないところも、俺は好きだけどなー』
「……っ、もういいから,,///飲めよ、ほら。お前の分も頼んでやるからさ」
そろそろ慣れてもいいのに、毎回この反応じゃねぇ笑
早く俺のもんになればいいのに。
to be continued…
コメント
1件

毅くんも好きなので嬉しいです!