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さっきの質問から、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
俺は最後の質問を言おうかどうかを迷っている。
この質問で、全てが終わる気がしたからだ。
俺は決心をし、チェイスに質問をした。
「なぁ、チェイス。誰かを笑い飛ばさなきゃ、自分を許せなくなるようなくだらない俺たちのこと、どう思う…?」
チェイスが目を丸くし、少し口角が上がったように感じた。
俺は蛮野の決戦前、いろんな箇所に傷を負った。
みんなに心配はかけられないから、俺はいつも通りに振る舞った。
その時、チェイスだけが気づいた。
あの時、素直になっていたら…。今でも後悔する。
そのまま次の日、特状課のみんなも、緊張しているにも関わらず、普段通りだった。
俺たちは仮面ライダーに変身して、敵の本拠地に向かった。
その後、蛮野を倒せそうだった時、負傷した場所が痛み、倒せなかった。
変身が解除され、俺は絶対絶滅のピンチに落とされた。
その時、チェイスが俺を守るように駆けつけた。
…が、蛮野にやられ、俺はまた、絶対絶滅のピンチに落とされた。
その時、チェイスが魔進チェイサーに変身し、俺を庇った。
チェイスの負傷場所が悪く、そのまま解除され、後ろに倒れた。
そこまで思い出したところで、チェイスが俺に声をかける。
「剛…。あまり背負い込まなくていい。これは、俺の本望だったから…。 」
「でも…、でも俺は!」
「前にも言ったはずだ。『霧子が愛する者たちを守れるなら、本望だ』と。」
チェイスは淡々と言う。
やっぱ不器用だ。チェイス。
俺はあの後、チェイスにボロボロの免許証とシグナルチェイサーを渡され、「人間が俺にくれた…宝物だ。俺とおまえはダチではないが…持っていてくれ。燃えてしまうと、もったいない。」と言われた。
俺は期待していたんだと思う。
ロイミュード108体と、蛮野を撲滅すれば、自分の気持ちに素直になれて…チェイスとダチになれると思っていただろう。
ボロボロで、もう見る影もないのに…。
だがチェイスはそのまま蛮野に向かって走り…、自爆した。
俺の期待は虚しく散り、叫ぶことしかできなかった。
でも俺は、この地球にチェイスが生きたことを忘れたくなかった。
今まで嫌いで、憎くて、たまらなかったヤツを…忘れたくなかった…。
俺はまだ信じている。
チェイスは撲滅完了後、普通に生きていて、俺とダチになれたと信じている。
それが…今の幻覚だ。
俺が今話しているチェイスは、本当はもうこの世にはいないチェイスだ。
俺はまだチェイスが死んだと信じたくなかった。だから今幻覚と話しているのだろう。
「だって…、まだおまえにダチだと認めてない…。まだ心があるって認めてない…。」
俺は目に涙をたくさん溜めて、目の前が見えづらくなった。
チェイスが口を開く。
「俺は確かに、おまえに直接認められていない。だが、俺は確かに感じた。自爆した後、おまえがダチと認めたことを…。」
その時、俺は思い出した。
「人間じゃねえ奴が、こんなに優しいのによ!」
「だがな…今、1番許せねえのは、俺の…ダチの命を奪ったことだ!」
俺の目に溜まっていた涙が頬を伝って流れ落ちる。
そして、チェイスが何かを察したように言った。
「思い出したようだな、剛。」
その言葉に俺は「あぁ。」と言い返した。
「あの時、俺はすでにこの世にはいなかった。だが、不思議なことに…剛の思いは伝わった。」
そう言うと、チェイスが光の粒子となり、姿を消した。
それは、幻覚なのか。それとも、ほんとにチェイスが目の前にいたのか。
もうわからないことだが、俺はそれでも信じている。
「また、会えるよな。」
誰もいないはずなのに問いかけたのは、
チェイスの免許証とシグナルチェイサーが、
あたたかったからさ。
その瞬間、俺の目には再び涙が溢れ、頬を伝ってこぼれ落ちた。
俺は声をあげて泣いた。
誰もいない食堂で1人。
それでも、チェイスの免許証とシグナルチェイサーはあたたかく、温もりを感じた。