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まぁ
145
#憑依
成瀬りん
633
#家族
たつ
53
ゼノスの身体に無数の斬撃が刻まれる。
鮮血が雪の上に散った。
だが――
「甘い」
ゼノスは笑っていた。
「なに……!?」
唯我の目が見開かれる。
次の瞬間。
ゼノスの拳が唯我の腹部へめり込んだ。
「がはっ……!」
衝撃で吹き飛ばされる唯我。
鉄骨に激突し、床へ転がる。
美鈴が息を呑んだ。
「唯我!」
だが唯我は立ち上がる。
口元から血を流しながらも、その瞳は死んでいなかった。
「そうだ……それでいい」
ゼノスは剣を肩に担ぐ。
「憎しみだけで来るなら失望していた。だが今のお前は違う」
唯我はゆっくり龍焉刀を構えた。
父の言葉が脳裏に響く。
――剣は人を守るために振るうものだ。
母の笑顔。
仲間たちの姿。
美鈴の涙。
すべてが胸の中に重なる。
「俺は復讐のために戦うんじゃない」
唯我の身体から静かな気迫が溢れ始める。
「守るために戦う」
ゼノスの表情が初めて変わった。
「……ほう」
唯我が踏み込む。
地面が砕ける。
龍焉刀に宿る力が限界まで高まる。
「これが俺の答えだ――!」
ゼノスも同時に飛び出した。
二人の姿が消える。
そして――
一閃。
静寂。
数秒後。
ゼノスの胸元に一本の斬線が走った。
「……見事だ」
膝をつくゼノス。
唯我は静かに剣を下ろす。
雪が降る。
まるで長い因縁を包み込むように。
ゼノスは空を見上げながら小さく笑った。
「どうやら……お前は、お前の父を超えたらしいな……」
その言葉に。
唯我は初めて、自分の過去と決別したのだった。
コメント
1件
いやー、第39話読み終わったわ!唯我の「復讐じゃなくて守るために戦う」っていう覚醒、めっちゃグッときた😭 父を超えたってゼノスに言わせるところも熱いし、戦闘描写の解像度が相変わらず高いね。雪の演出も雰囲気あって好きだわ。次も楽しみにしてる🔥