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「ねぇ、」と声を掛けると、丸まっていた背中がビクッと震えた。
「あ、ごめんね。びっくりさせちゃったね。」
なるべく怖がらせないように優しく声を掛けてあげる。するとゆっくりと顔を上げてくれた。
「大丈夫、僕は何もしないよ。その子、君のお友達なの?」
男の子が強く抱き締めているふたつの丸い耳が目立つ緑色の薄汚れたぬいぐるみを指差しで聞いてみると、男の子は更にぎゅっと抱き締めて控えめにコクッと頷く。
「そっか。大切なお友達なんだ。ずっと一緒なの?」
「(コクッ)」
また控えめに頷いてくれる。詳細欄に[発語✕]と書かれていたから、きっとこの子は喋ることが出来ないのだろう。ずっと体が震えているのでこれ以上怖がらせないようそして聞き取りも△になっていたので分かりやすく優しく話しかける。
「ずっと一緒なんだね、いいね。仲良しだ。その子には名前はあるの?」
「(コクッ)」
「へぇ〜!気になるなぁなんて名前なんだろう。きっとかわいい名前なんだろうな、僕も仲良くなれるかな?」
「(?)」
男の子は不思議だという顔をして首を傾げる。
「僕も、君のお友達と友達になれるかな?」
そう優しく問いかけると男の子はパァと顔を輝かせて先程よりも大きく頷いた。
「ほんとに?うれしいなぁ。」
そう微笑んでみると男の子は少しびっくりした表情をした後戸惑いながら微笑んでくれた。
その笑顔がとても可愛くて僕はこの子を買うと決めた。