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#そのざき
さき
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玄関のドアが開く音。
「ただいま」
少しだけ低い声。
今日の勇斗は、珍しく疲れた顔をしていた。朝から仕事が続いて、移動も多くて。
笑ってはいたけど、さすがに少し電池切れだった。リビングへ入ると。
「おっ!」
ソファから勢いよく起き上がる太智
「佐野さんおかえり!」
満面の笑み。
その笑顔だけで、勇斗の肩から少し力が抜ける。
「おかえりのハグしよか〜?」
「何そのルール」
「今日からできた」
「急だなぁ」
「ええやん!はい!」
両手を広げる太智。
子どもみたいで、思わず笑ってしまう。
流れのまま近づくと、太智は嬉しそうにぎゅっと抱きついてきた。
「今日もおつかれさま」
その一言が、不思議なくらい胸に染みる。
「……ありがとう」
「疲れた?」
「ちょっとね」
「ほな、充電したる」
「充電?」
「うん」
太智はそのまま離れない。
「俺、体力だけはあるから」
「それ、分けられるの?」
「気持ちの問題!」
真剣な顔で言うから、勇斗は吹き出した。
「ははっ」
「笑った!」
「だいちがおもしろいから」
「やった!」
ガッツポーズ。
その姿があまりにも嬉しそうで。
勇斗はまた笑う。
「なんやなんや、今日はよう笑うなぁ」
「だいち見てたら笑っちゃうんだよ」
「俺なんもしてへんで?」
「してるよ」
勇斗はソファへ座る。
すると、太智も当然みたいに隣へ座ってきた。肩と肩が触れるくらい近く。
「今日な」
太智が話し始める。
「スーパーでスイカ見つけてん。」
「うん。」
「めっちゃ大きくてな。店員さんが持ってみるか?て言ってくれて挑戦したら、重すぎてな!」
「挑戦したの?」
「した!」
「なんで。」
「気になったから!それでこれで800円はお得すぎやろ〜!て言ったら店員さん笑ってた」
「太智らしいなぁ。」
「結局半分のやつ買った。」
「それが正解。」
他愛ない話。
オチがあるようで、ない。
でも、勇斗はずっと笑っていた。
「……すげぇわ」
「何が?」
「仕事終わるまでは、今日もう何もしたくないって思ってたのに。」
「うん。」
「帰ってきて、だいちの顔見たら元気になった。」
太智はきょとんとする。
「俺?」
「うん。」
「俺なんもしてへんやん。」
「それがいいんだよ。」
勇斗は優しく笑う。
「だいちはさ。」
「うん。」
「笑ってるだけで、癒やされる。」
「……えぇ?」
照れたように耳をかく。
「そんなこと初めて言われたわ」
「じゃあ一番乗り。」
「なんやそれ。」
「特権。」
太智は照れ笑いしながら、少しだけ勇斗にもたれかかる。
「ほな、もっと充電したる。」
「まだするの?」
「今日は特別サービス。」
「無料?」
「無料なわけないやん!でも佐野さんはメンバー割引使えんで!」
「ケチすぎる笑」
勇斗はまた笑って、だいちの髪をゆっくり撫でた。ふわっと柔らかい髪。
少しだけ汗の残る夏の匂い。
「……はやちゃん。」
「ん?」
「ちゃんと元気出た?」
「うん。」
「百パー?」
「百二十パー。」
「ほんま?」
「ほんと。」
その返事が嬉しくて、太智は満足そうに笑う。
「よかったぁ。」
その笑顔を見て、勇斗は思う。
元気をもらおうと思って帰ってきたわけじゃない。
でも。
気づけばいつも、この笑顔に救われている。きっと太智は、一生気づかない。自分が誰かを癒やそうとしているんじゃなくて。ただ笑って「おかえり」と言うだけで。
勇斗とっては、それが一番効く特効薬になっていることを。
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🩷もだいちとだいちゃんと使い分けててかわいいなって。
最近2人とも忙しそうだからいっぱい寝れてるといいなぁ。
コメント
1件
第3話、めっちゃ良かったです…!「おかえりのハグ」から始まる流れが自然で、太智くんの「充電したる」がもう最高にかわいい。勇斗が「だいち見てたら笑っちゃう」って言うシーン、ああいう何気ない一言がじんわり効くんですよね。二人の関係性が優しくて、読んでるこっちまで癒やされました。疲れた日の夜にぴったりな回でした!