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桃)お疲れ様でしたーっ!
お疲れ様でした、と返ってくる挨拶にぺこ、と会釈をして会社をでる。
定時で帰れるなんて奇跡のような出来事で。
結婚してやめたスタッフの鈴川さん。
資格をとって弁護士になる橋本さん。
ヘッドハンティングされた佐藤さん。
3人も重要なポジションに空きができたから、それをカバーするのに必死だ。
上田課長も連日会社で寝泊まり、って行ってたし。
久しぶりに定時で帰れて気分が上がっている。近くの公園に行って、休憩でもしようか。
_ と考えた次の瞬間、
俺は信じられないものを目にした。
水)…
天使のように生えた羽。
目の奥で輝くハートの光。
黒々と光るしっぽ。
あまりにも露出の多い服。
何より、恐ろしく整った顔。
そんな彼(彼女?)は
道端で座りこみ、眠っていた。
神秘的で、魅力を感じた俺は話しかけに行く。
桃)ねぇ、大丈夫?
水)…? 貴方はだれ?
ショタボとでも言うのだろうか。
俺好みの可愛らしい声。
その声の中に少し低音が混じっているので、おそらく男の子だろう、と推測する。
桃)俺は…ないこ。
水)…うん
桃)こんな所で寝てたら危ないよ?
水)…ん
桃)日本もそんなに安全な国じゃないんだから。
水)僕、帰る場所ないの。
発せられた言葉に驚きが隠せない。
それ以上に驚くものとなるのが、次の自分の言葉だった。
桃)じゃあ、うちくる?
水)…へ?
しまった。そう後悔するのにそんなに時間はかからなかった。
何をやっているのだ。
こんな時間にこんなかわいい子がおちていて、俺なんかの誘いに乗ってくれるわけがない。
水)いいの?
桃)へ?
びっくりした。
いいの?とは。
ここで俺が頷けば、この子はおれの家に来てくれるのだろうか。
水)、やっぱいいや。
桃)いや、来てよ。
水)…いいんだね?
桃)うん。
やっぱいいや、と呟く彼の声に哀愁が感じられたからだろうか。
俺は少し強引に彼を誘っていた。
桃)名前は?
水)…ほとけ。
桃)ほとけー?神様ー?
水)…3000歳だよ
桃)はは笑 で 、名前は?
水)だから、ほとけだってば!
桃)じゃあほとけっちって呼ぶねー?
水)うん
少しだけ距離が縮まった気がする。
かわいいなーと思う。
素直に。すごく。惹かれる。
水)…次、どっちなの?
桃)あ、ごめんごめん。
水)ん…
桃)次…というか、ここだよ。
水)ふーん、
桃)よし、あがろっか
水)あがる?ないこ…ないちゃんにも羽が?
桃)ふふ、エレベーターって知ってる?
水)えれべ、た?
桃)いこっか笑
水)すっっっごぉぉぉ!!
桃)すごいねー笑
エレベーターを知らないというほとけっちに驚きつつ、最上階へとエレベーターをすすめる。
水)ついた?ついた?
桃)はい、ここが俺の家~
水)ないちゃんち!
桃)はい、入っていいよ~
案内し、ドアを開けてあげると喜ぶほとけっち。
桃)俺お風呂はいるけど、先入る?
水)おふ…ろ?
桃)体とか洗うの。
水)あー、僕大丈夫だよ、
桃)そー?じゃあ入ってくるからテキトウに寛いでて~?
水)はーい