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18時頃、天災級の大津波警報が発令された。

当然逃げれる訳もなく、ただ上を目指して階段を駆け上がる私達。

いつもなら足取りが悪い段差も、この状況だ。

震えつつも一刻も早く先へ進みたがっている本能

だがそれとは別に、脳内は真っ白だった。


やっとのことで辿り着いた4階音楽ホール。

少々息切れしつつも、一緒に逃げてきた中村先生と顔を見合わせる。

少しすると息も整い、安堵する。

周りの状況を把握するため辺りを見回すと、この時間のためか生徒よりかは教員が多く、ざっと30人程度がここに滞在していた。

手前にいる、おそらく中学一年生の子だろうか。

下を向いているため顔は見えないが、手が震えている。

右奥にいるのは……バトン部の集団。中には泣いている生徒もおり、その子を励ます生徒もいた。

その他にも二人組の仲の良さそうな生徒や、必死に連絡を取ろうとする先生や生徒も多く居た。

生憎、逃げることに必死でお弁当バックを置いてきた私は、その中にスマホを入れていたため、連絡を取る権利すらも無かった。

いつもなら綺麗な音色を奏でているホールは、重苦しい空気で包まれていた。

さらに奥には校長先生と理事長などの先生達が集まっている。

「……為す術ありませんね、正直」

教頭らしき人がぽつりと不穏な事を口にする。

生きた心地がしなかった。

先生も聞こえていたようで、唾を飲み込むように喉仏が動く。

微かだが、先生も手が震えているように見えた。

その手を握れたら……なんてことが頭によぎる。

しばらくして、召集がかけられた。

先生とは1回分かれて、「校長先生のお話」が始まった。

「……各自後悔ないように最後を過ごしてください」

わずか数秒の出来事だった。

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