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#ゲーム
#風見裕也
緑茶は飲めないが紅茶は飲める
ガルドがプラミアを倒して、部屋から出ると――広い廊下の向こうから、メルヴィナが歩いてきた。
ただ、壁に手を付きながら、どうにか……といった具合だ。
「お嬢さん、大丈夫ですか!?」
「あ……ガルド。うん、私は大丈夫……」
……しかし、ガルドに会って気を緩めた途端、メルヴィナは地面に膝を突いてしまった。
「腕に、黒い痕が……。オレの治癒薬で治しましょう。……よろしいですね?」
「うん、ありが――つぉうッ!?」
慌てたガルドは、メルヴィナの言葉を待たずに治癒薬を掛けてしまった。
あまりの痛みにメルヴィナは変な声を出してしまい、気まずい空気が一瞬流れる。
「……おほん。うん、傷は……綺麗になったかな?」
「ええ。ただ、ここから戻ったらきちんと医者に行きましょう。
細かい傷でも、残してはいけません」
「そうだね。戻ったら……。ここから、戻ったら――
……うっ。……ふぇっ、ふえぇーん……」
まだ話は聞いていないが……メルヴィナも戦って、勝ったのだな。ガルドはそう思った。
異能を持っているとはいえ、それは戦闘には向いていないはず。
こんなにも、いつの間に成長してくれたものか――
……ガルドは思わず出た手を少し眺めてから、メルヴィナの頭を優しく撫でた。
「――お、旦那!
それとメルヴィナ! 大丈夫だったか?」
ガルドとメルヴィナの前に現れたのは、ザインと……その背中に乗せられたレイラだった。
そしてその後ろには――なんと、フィオナが付いてきていた。
「フィオナ様!!」
「心配を掛けました。メルヴィナさんも、こんなところまでありがとうございます」
「い、いえ……!」
メルヴィナは慌てて、ガルドの手を頭から振り払った。
ただ、頬の赤みはすぐには消えない。
「オレは向こうの部屋に転移させられて、四戒司祭やらと戦ったんだが……お前らは?」
ガルドは主に、ザインに対して聞いていた。
「旦那さぁ、そろそろ俺のこと、名前で呼んでくれない?
アリアもそうだけど、名前で呼びにくいのかなぁ?」
「お前こそ、オレのことを旦那って呼んでるだろう……。
まぁいい、それでザインの方はどうした?」
「うっ、素直に呼んでくれると嬉しい……!
えっと、俺も四戒司祭のひとりを倒したんだが、そのあとにレイラに会ったんだ」
「私も頑張って倒しましたよ~……。とっても怖かったです……!」
レイラの言葉に、それは真実なのか……とザインとガルドは思ってしまった。
しかし何だかんだで、相手のペースを乱して勝ちそう……ではある。
「それで、3階の謁見の間に行こうとしたら……レイラが5階に行こうと言い出したんだ」
「ピン、とキタんです!」
もちろん、レイラが持つ『直感の才能』によるものだろう。
レイラの直感はザインも信用していたので、アリアのことは気にしつつも5階に行ってみると――
……ふたりは、扉に複雑な鍵が掛けられた部屋を見つけた。
そしてザインの知識とレイラの直感を組み合わせることで、無事に開錠。
無事にフィオナを助け出した……というわけだ。
「本来なら、そうはならないはずですよね……」
メルヴィナはある意味、敵に同情した。
いくら準備をしようとも、このふたりに掛かってしまえば無駄になってしまう……。
「それよりも、アリア様です!
フィオナさんを助けたんですから、あとはアリア様を助けて――」
「ああ、帰ってメシにでもしようぜ!」
ガルドは頷いてから、メルヴィナを背負った。
あとは急いで、3階の謁見の間に行く。
そしてアリアと合流して、今回の事件の元凶――ダリウスを倒すまでだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
5人が謁見の間に戻ると、アリアとダリウスが戦っていた。
ただ、透明な壁のようなものが、ふたりを大きく取り囲んでいる。
「お、みんな無事だったー? ……って、フィオナさんもいるじゃん!」
「な、何だとッ!?」
アリアの言葉に、ダリウスは大きく距離を取った。
そしてアリアの仲間たちを全員眺める。
「私の部下は……四戒司祭たちはどうした!?」
「全員倒したぜ! 大したことはなかったな!!」
そう言うザインの後ろで、メルヴィナとレイラは微妙な顔をした。
自分の大金星を、大したことが無いと言われたのだ……。
もちろん悪気があってのことではないとは分かるが、それでも――
……とりあえずメルヴィナは、ザインを蹴飛ばした。
レイラはそれを真似て、ザインを人差し指で突いた。
「ま、まさか……。そこの大男ならまだ分かるが……!」
「ふっふっふっ。あたしの仲間の方が強かったねぇ!」
「ふざけるな、何かの偶然だッ!!」
ダリウスは吠えた。しかしアリアは動じない。
「でも、そういうアリアは大丈夫なのか!? お前にしては苦戦しているだろ!?」
アリアは無敵である。
そう断言できるほど、ザインの目にはアリアのことが無敵に見えていた。
「このバリア、一定時間経たないと消えないみたいなんだよ……。
だから、みんなのことを手伝いにいけなくて――」
「ふははははっ! 手伝いに行く前に、私を倒すことができるかな!?」
「――……よし。それじゃそろそろ、倒すかな」
「な、何だと!? 馬鹿にするな! 私の光魔法は……無敵だっ!!」
ダリウスは両手に大きな魔法陣を作り出して、アリアを弾き飛ばした。
そして自身は逆方向に向かい、大きく距離を空ける。
「食らえ! 我が光の――矢の雨をッ!!」
ダリウスの後ろには強い光がいくつも現れ、鋭い矢のようなものがアリアに襲い掛かった。
しかしアリアは小気味よくステップを踏み、軽やかに避けていく。
そして地面に落ちた瓦礫を拾って、ダリウスに投げ付ける。
「――ぐぁっ!?」
「レイラはねぇ。あたしよりも避けるのが上手いはずだから、まずは落ち着いて、無駄な動きをしないようにね。
あとは隙を突いて、遠くから攻撃を当てられるように。――課題は2点、かな?」
「うぅ、まさに私に足りないところです……。今のお姿、まぶたに焼き付けます……!」
「ふッ、ふざけやがって……ッ!?」
怒りを露わにしたダリウスは、右手と左手に魔法陣を生み出して、それぞれから光の鞭を撃ち放った。
光の鞭はアリアを捕らえようとするが、彼女は宙を舞って、光の鞭を翻弄する。
「メルちゃんは~……。『光の饗宴』は、頑張れば像を動かせるはずなんだよ。
例えばこの鞭みたいに動かせれば、相手を狙い通りに動かせるかも?」
アリアは光の鞭を避けながら、ダリウスの正面、下段に潜り込むと――
杖で、ダリウスの顎を小突いた。
「――ぐぉッ!!」
「おぉ……。動かすのは全然、考えていませんでした……!」
……ダリウスは激怒した。血が煮えたぎるのを感じた。
明らかに、自分は相手にされていない。まるで教材。そのためだけに、今ここで戦わされている。
「くそ! くそくそ! くっそーッ!!
ふざけやがって!! 跡形もなく、消し去ってくれるッ!!」
ダリウスは右腕を伸ばし、それを支えるように、左手を添えた。
瞬間、全てがそこに引き込まれるような――そんな錯覚を、この場にいる全員が覚えた。
「消え去れッ!! 私の異能――『爆裂波動砲』ッ!!」
ダリウスの右腕が光に包まれる。
「ガルドさんは――」
強い輝きに包まれた後、収束された光がアリアに向けて撃ち出される。
しかしその光は――アリアの杖で軽く弾かれ、窓の彼方へ飛んでいく。
「――真正面から全部受け止める節があるから、攻撃の軌道を予測して、いなすことを考えた方が良いですよ~」
「いや、それを真似るのは……無理だろ」
アリアはダリウスの横に入り込み、右腕を捻り上げて、地面に押し倒した。
そして関節を極めて、即座に折る。
「ぐおぉっ!!? わ、私の腕があああーッ!!」
「フィオナさんは、護身術ができるとクールですねぇ♪」
「素晴らしいですね! 是非、教えてください♪」
ダリウスが腕の痛みに苦しむ中、アリアは彼をぐるぐる巻きにしていった。
骨折など知ったことではない。それほどの罪を犯したのだから。
アリアが立ち上がって一息ついたところで、ザインが恐る恐る、話し掛けてくる。
「あのー……、アリアさん? 俺には、何か……無いの?」
振り返ってみると、ザイン以外には何かしらの教えがあったのだ。
ただひとり、何も無かったザインは不安に思って声を掛けたのだが――
「うん? 別に無いよ?」
「無いのかよ!!」
「そうそう、それそれ! ツッコミはそのタイミングね。上出来、上出来♪」
「えぇ……。えぇー?」
そうこうしている内に、ダリウスの張ったバリアは静かに消えていった。
もしも誰かが倒されていれば、ここまで上手くはいかなかっただろう。
きっと誰かの悲惨な結果に、みんなが悲しんでいたに違いない。
しかし今は、全員が揃っている。だから――
「これで解決だね。みんな、お疲れ様ーっ!!」
アリアの声と共に、全員がハイタッチで喜びを分かち合った。
……今回の事件はこれで終了。
考えるべきことはたくさんあるが――今はこの達成感に酔いしれていたい。
全員、そんなことを思うのだった。
コメント
1件
ガルドとメルヴィナの再会シーン、めっちゃ良かった…!!😭💕 メルちゃんが髪撫でられて照れてるとことか、尊すぎて反則だよ!! そしてアリアの戦闘中のアドバイス、一人ひとりに合わせてて神対応すぎる…✨ 特にザインにだけ教えなかったオチで笑ったww みんな無事で揃ってハイタッチ、完璧なバトル回でした🔥🔥