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「じゃーまたな」
「またね〜」
俺は現在青春満喫中の高校2年生さとみ。
そして、少し寂しそうな顔をして今別れたのが幼馴染で親友のころん。
本当なら一緒に帰るところだが、今日は用事があるからと言って1人で早めに帰ることにした。すまないころん。
その後家に帰って直ぐに早めの晩飯をかき込んでお風呂に入り、自分の部屋で待機した。
親が寝たことを確認した午前1時ごろ、俺はこそこそとキッチンへ向かい、ある物を作り始めた。
「っし、上出来じゃね」
時計の針が4の数字を指した時、ついに満足のいくものが出来た。
キッチンを使った証拠を隠滅して、俺はその完成したものを冷蔵庫の奥の方に隠した。
親に見られる訳にはいかないのだ。
そのまま明日に備えて少しでも睡眠をとるために、そそくさと自室に退散した。
というのが昨日までのこと。
そして今、俺は凄く焦っている。
「うわ、本当に昨日の俺、どうしたんだ…」
その悩みの種は、目の前にある手作りのカップケーキと幼馴染のころんにある。
実は俺はあいつの事が中2の頃から好きだ。
でも俺もあいつも男だし、それにあいつは同性愛というものが苦手らしい。
だから今までこの気持ちをずっと抑えてきた。
だけどこの前、僕あの子と付き合う事になったんだ、ところんが照れくさそうに言ってきた。
そんな、と思ったが俺のころんへの気持ちは元々届かないものだった。
これを機にずっと諦めきれずにいた想いを断ち切ろうと思い、どうせ砕けるなら後悔しないように当たって砕けることに決めた。
と言う事で昨日、いや今日の朝、バレンタインで渡そうと思って作ったカップケーキ。
なのだが、昨日の俺はデコレーションとラッピングが完全に頭から抜けていたようだ。
デコレーションは朝起きてすぐに気づいたからなんとか終わったが、今家を出ないと遅刻確定という時刻になっていた。
本当はラッピングを凝ったものにしようとあいつの好きな水色のオシャレな箱やリボンを買っていたのだが、こればっかりは仕方が無いから普段お母さんが使っているであろう可愛らしい猫のプリントがついた桃色の袋に入れるだけにした。
そしてそれを目にも止まらぬ速さで鞄に突っ込み、カップケーキの余りを口に突っ込み、いってきますと叫びながら家を飛び出した。
「っはぁ、はぁ、あー…」
遅刻まで残り僅かのところで、ギリギリ間に合い教室に滑り込んだ。
近くにいたそこそこ仲の良い女子グループがこちらを怪訝そうに見てくるから心が痛い。
家から走って来た分を回復する為に机に突っ伏していると、頭上から聞き慣れている元気な声が飛んできた。
「あ、さとみくん!おはよ!」
それは昨日からずっと頭から離れなかった声と顔の持ち主だった。
「あ、ころ、ん、おは、よ…」
「息切れすごwどんだけギリギリだったのよw」
ははは、と笑って流すといつも通りころんが説教を始める。
「大体なんでこんな遅いの?どうせゲームが原因でしょ?全然昔から変わってないじゃん。というかあなたね、…」
と言う風にグチグチと言い始めた。
大きなあくびを1つすると、俺が聴いていないことが分かり諦めたのか他の話に移った。
「…そうだ!今日一緒に帰らない?」
「え?」
なんと自分から言おうとしていたことをあっちから言ってくれたのだ。
「どうかした?」
「あ、いや、一緒に帰ろうぜ」
今日はお互いに委員会と部活があるから、と4時にこの教室で待ち合わせをすることになった。
それを決めた後、すぐにチャイムがなって先生が教室に入ってきたから解散をした。
そして、その待ち合わせの時にカップケーキを渡そうと決めた。
3時50分。ころんとの約束の10分前。
俺は既に教室にいた。
手にはカップケーキを持っていたが、どうしてカップケーキを渡そうと思っていたのか後悔し始めていた。
何を作ろうか調べた時に、カップケーキには「あなたは特別な人」という意味があると知り、それを作ることを決めた。
しかし大きさ的に凄く持ちにくい。
だから直前で隠したり片付けたりと言うのができない。つまり後戻りができない。
いや別に後戻りする気はないんだけど、と心の中で考えを否定していると扉が開いた。
「あ!遅れてごめん!さとみくん!」
「いやお前毎回だしもう慣れたわ」
ちょうど4時10分だった。
「本当にごめんて〜」
「……許す」
そこから少し沈黙が続いた。
今までお互いが黙っていたって気まずいなんて気持ちあり得なかったのに。
普段なら心地よいはずの2人の空間の重い空気に耐えられず俺は伝える決心をした。
『あのさっ、』
2人の声が重なった。
「あ、いや、先いいよ」
「え、あ、うん」
譲られたから、素直に先に話す事にした。
「あのさ、ころん。」
「うん」
「俺…さ、お前のこと、結構前、から…」
言っていて、自分の顔が赤くなるのが感じられた。一度止まってしまうと中々続けられずに、時間がたった。実際は30秒くらいだろうが、体感では3時間くらいに感じた。
ふっところんの綺麗な瞳と目が合った。
とても優しい顔をしていて、それでいて真剣に俺の話の続きを待ってくれていた。
それに後押しされ、カップケーキを差し出して勢いに任せて最後まで言い切った。
「…前からころんのことが好き、でした」
本当は言いたかった「付き合ってください」はころんを困らせないために我慢をした。
「…え、ほんとに?ガチで?」
「…うん」
俺はカップケーキを差し出してお辞儀をする形になっているからあいつの顔は見えないが、多分凄く困っているだろう。
声から困惑が伝わる。
迷惑かけちゃったな、やっぱり告白なんてしなきゃよかったかもな、なんて考えているうちに自然と涙が溢れてきた。
こんなことになるなら告白なんてしなきゃよかった、これじゃもう親友で幼馴染だった今までには、もう戻れな
「…さとみくん?」
ころんの発した声で俺の悪い思考は止められた。びっくりして顔を上げるところんは困ったように、けどびっくりするほど優しく笑っていた。
「…さとみくんに先、越されちゃったんだけどさ…僕からも言うね、?」
色々と理解が追いつかなくて落ち着かずにいるとそこで目があったころんが微笑んだ。
「僕もさとみくんが好きです、」
「え、まじで、?」
「うん、あともう一つだけいい?」
今度はころんの目を真っ直ぐ見て、頷いた。
そして相手も俺の方を真っ直ぐに見て言った。
「付き合ってくだしゃ……くだ、さい!!」
そこからしばらくお互いが黙った。
がすぐにお互いの目があって、同時に吹き出したことで沈黙が破れた。
俺もころんも大きな声で笑い合った。
ころんが言葉を間違えただけじゃなくて、今までの俺の葛藤も、この不思議な空気感も、なにもかもが凄くくだらないものに思えた。
ひとしきり笑ったあと、ころんがもう一回言った。
「僕はさとみくんが大好き。
だから僕と付き合って?」
「あぁ、よろしくな」
返事をするとお互い安心からなのか、また無性に笑いが込み上げてきた。
ムードぶち壊しじゃん、なんて笑いながら言うと、でもこれが僕達らしいんじゃない?と返された。
いつもなら言い返すところだけど、今は夢が叶った嬉しさと謎の込み上げてくる笑いで気分がよかったのもあって、確かにと笑って返した。
笑いが収まり始めた頃、ころんが外を見てある事に気づいた。
「てか時間やばくない?」
つられて俺も窓の方を見ると、外は夕焼けの綺麗な橙から、深い夜の藍色に移り変わりかけていた。
「うわやっば、早く帰ろーぜ」
「うん!」
2人で急いで校舎を出ると、俺の興奮していた精神も落ち着いてきた。
そしてある疑問が浮かんできた。
「なぁ、お前が前言ってた彼女ってのはどうしたんだ?」
ころんがびっくりしていて、触れてはいけないものだったかと心配しながら、いやでも付き合うんだし聞く権利ぐらいあるよなと自己解決していると、相手が喋り始めた。
「あーあれね?実はあれさとみくんにどうしても振り向いてもらいたいなーって考えて考えた結果、迷走してあぁなった。」
「……」
衝撃の事実に声が出ない俺に対し、ころんはまだペラペラと話し続けた。
「いやでもあれで本当に振り向いてくれたなんてびっくりだなー、ねぇねぇ、あれ本当だと思った?」
自分がそれを真に受けて、ここまで行動したのが悔しくて言い返した。
「別にそれでころんが好きになったんじゃないからな!もっと前から結構好き、だ、った、んだか、ら、な……」
勢いに任せて言い始めたが、途中から恥ずかしくなってだんだん小さくなっていった声に、ころんが面白がって、
「あれあれ〜?ツンデレですか〜?」
と煽られてさらにイラつきと恥ずかしさが大きくなり無視をすると、すぐに焦って謝ってきて、その様子が面白かったから許してやった。
その後家の前で別れて、部屋に戻りスマホを開くと、ころんからのLINEが来ていた。
それは明日の登下校の約束についてと、今週末のデートのお誘いだった。
早速初デートが決まり、少し浮かれながらベッドに寝転んで今日一日を振り返ってみた。
全然ロマンチックではなかったけど、すごく俺達らしくて、楽しくて、キラキラしていた。
それを思い出していると、自分がにやにやしている事に気がついた。
キモイぞ、自分。とつっこんでも引き締まることのない頬にため息をつきながら、諦めた。
そして最後に柄では無いのだが、神様にお願いをした。
この幸せが、出来るだけ長く続きますように
と。
はいおしまいです!
色々適当になってしまいましたが、気に入ってもらえると幸いです!
そして遅れてしまいすみませんでした!
ここまで見ていただき
ありがとうございました!
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この表示されてる15件のコメントはどちらにあるのです???? 見えないのですが????