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「」せりふ ()こころ
桃 side .
外のノイズがこの平屋のすぐ近くまで這い寄ってきているというのに、俺たちの部屋には、かつてないほどおだやかで甘い時間が流れていた。
捕まるくらいなら、二人で一つのまま終わる。
その約束を交わしてから、俺たちの毎日は、まるで世界でいちばん美しい結婚式の準備をしているかのように、特別な熱を帯びていた。
「ねえ、すち。最後の日は、これ着て死にたいな」
俺はクローゼットから、すちが俺のために買ってきてくれていた、真っ白な上質のシャツを取り出した。
まだ一度も袖を通していない、ノイズのない世界にふさわしい、綺麗な白。
「うん、すごく似合うよ、らんらん。らんらんがそれを着るなら、俺も同じ白を着るね。二人のセカイが終わるその時まで、誰の血でも汚されないように」
すちは俺の後ろからそっと身体を密着させ、その白いシャツごと俺を愛おしげに抱きしめた。
人を何人も消してきたその両手は、今、心中という名の最後の計画を前にして、歓喜で甘く震えている。
「ご飯も、いちばん美味しいものにしようね。すちの得意な、あのトマトスープ。おれ、あれをすちと半分こして飲むのがいちばん好きなんだ」
「いくらでも作ってあげる。らんらんの最後の記憶が、俺の作ったスープの味で満たされるなら、これ以上の幸せはないよ」
すちは俺の首筋に、まるで壊れ物を愛でるように何度も何度も優しいキスを落とした。
俺たちのしていることは、外の世界から見れば、ただの狂った犯罪者の現実逃避であり、破滅への暴走だろう。
でも、今の俺たちにとっては、これこそが至高の純愛であり、完璧な幸福だった。
俺の言葉ひとつで動く怪物を、俺は「甘い支配者」として、優しく、完璧にコントロールしている。
「準備、楽しみだね、すち」
「うん、らんらん。お前と一緒に逝けるなら、俺は地獄の底だって、喜んでついていくよ」
俺たちは鏡の前で、お互いに真っ白なシャツをあてがいながら、濁った、けれど世界でいちばん幸せな笑顔を交わし合った。
窓の外では、雑木林の木々の隙間に、地味な車が何台も停まり、無線を交わす大人たちの影が確実に増えている。
完璧な包囲網が完成するその瞬間を、二人はむしろ自分たちのご褒美のように待ち侘びながら、最後の夜の準備を笑顔で進めていった。
【い】
episode 21 . fin_
現世くるり ◤ ペア画なう ◢
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コメント
3件
🌾失っ.ᐟ.ᐟ やばいもうちょいで終わるぅぅぅぅぅ(泣 でも展開はものすごく大好きなのですき(?) 警察くんなぁ"ぁ"ぁ"ぁ(( 最近喜びを表現するレパートリーが少なくなってきた。 取り敢えず喜びの舞でも踊っときますね。(?) 今後またどうなるのか楽しみっ.ᐟ.ᐟ
ああ…これ、読んでて胸がぎゅっとなったわ。 「捕まるくらいなら二人で一つのまま」って覚悟、正直重いけど、その中にたしかな愛があるのがすごく印象的。 白いシャスをウェデングドレスに見立てて、最後の準備を笑顔で進める二人の温度差——普通じゃないのに、すごくキレイで切なかった。 包囲網が迫る外と、甘く狂った内側の対比がたまらん。 桃がすちを"甘い支配者"としてコントロールしてるところ、ぞくっとしたわ。