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ピアノの上に、指が滑る。
ギターの弦が、かすかに鳴った。
ふたりの呼吸が、重なっていく。
——どちらからともなく、求め合った。
滉斗は涼ちゃんの細い手首を引き寄せ、
何度も、何度も、唇を重ねた。
触れるたびに、涼ちゃんの身体が小さく震える。
それが、たまらなかった。
「……涼ちゃん」
名前を呼ぶだけで、甘い吐息に変わる。
シャツ越しに撫でた背中。
涼ちゃんは最初、戸惑ったように身をよじったが、
やがて自分から身体を預けてきた。
ふたりきりのスタジオ。
誰にも邪魔されない密室。
そんな状況が、背徳感を煽る。
滉斗の手が、涼ちゃんのシャツの隙間に滑り込む。
熱を持った素肌に、指先が触れるたびに、
涼ちゃんは、微かな声を漏らした。
「っ……滉斗、ダメ、かも……」
それは、拒絶の言葉じゃなかった。
むしろ、もっと深いところで、
涼ちゃん自身も抗いきれないのだと、滉斗は直感した。
だったら、もう、止めない。
止まれない。
ピアノの端に、涼ちゃんを押し倒す。
細い指が、必死に滉斗のシャツを掴んでいる。
「……っ、涼ちゃん……!」
熱と欲望に支配されながら、
滉斗は涼ちゃんの首筋に唇を這わせた。
涼ちゃんも、小さな喘ぎを漏らしながら、
滉斗の肩に爪を立てる。
(もう、無理だ……)
互いに必死に抱きしめ合いながら、
限界へと一気に駆け上がっていった。
——
別室モニタールーム。
「…………へぇ」
モニター室の暗がりで、元貴は足を組み、
スクリーン越しの光景をじっと眺めていた。
涼ちゃんが、
滉斗が、
互いに必死に求め合っている。
その姿に、笑みが零れる。
「2人って……そういう関係だったんだ」
冷たく艶やかな声。
コーヒーのカップを手放し、
ゆっくりとズボンの上から自分を撫で始めた。
スクリーンに映る、甘く堕ちた涼ちゃんの顔。
熱っぽく涼ちゃんの名を呼ぶ滉斗。
——ああ、最悪だ。
最高だ。
「……嫉妬しちゃうな」
喉を震わせるようにそう呟きながら、
元貴も自らの熱を高めていった。
—— スタジオでは、滉斗が、
涼ちゃんの名を叫び、
涼ちゃんも、滉斗にしがみつきながら、
声にならない喘ぎを上げた。
ピアノの上、
交差する熱と、感情と、欲望。
別室では、元貴が、
スクリーンの中の二人を見ながら、
自らの昂りを加速させる。
そして——
「——涼ちゃんっ……!」
「——滉斗……っ!」
「——あっ……っ……んっ‼︎」
三人の声が、重なった。
滝のような絶頂。
飛び散る滉斗の熱。
涼ちゃんも小さく震えながら滝のように果て、
モニター室では元貴の白濁がモニターに弾け飛んだ。
——はぁっ、はぁっ……。
荒い呼吸の中、
滉斗は涼ちゃんを強く抱きしめ、
涼ちゃんも、力なく滉斗に凭れかかった。
モニター越しにそれを見つめながら、
元貴は、にやりと笑った。
「はぁっ、はぁっ……最高じゃん。お前ら」
ゼェゼェと荒い呼吸のまま、
自分の手にかかった液体をぺろりと舐め取る。
その瞳には、異様な熱と、
底知れぬ暗い感情が宿っていた。
「……このまま、俺が壊してやろうか」
スクリーンを見つめながら、
静かに、狂気を孕んだ声で、
元貴は呟いた。