テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
12
うたべる
無自覚
私――べるは、夜、友達と何人かで遊びに行くことになっていた。
「うーん…仲いい子としか集まらないし…簡単な服でもいいよね〜っ!暑いし!!」
私は全身鏡で自分を見ながら髪を梳く。
因みに恋人のうたいさんが、私の家の前まで来て一緒に行ってくれるのだそう。
最初は一人で行こうと思ってたんだけどねっ!うたえもんがどうしてもって言うからさぁ〜。
……………………はい、ごめんなさい。正直にいって心強いし嬉しいです。
……ゴホンッ
そ、そろそろ出ようかなっ!
あっ、でも「僕が来るまで出ないでね、心配だから」って言われたしなぁ…(いや普通にサラッと言わないで欲しい。照れるぞバカ!)
…一応窓から覗いてみるかぁ。
……………うーん…まだ来てなさそう?
……って、うん??
なんか、居る…かも?
外を覗いてみると何か小さな物がいた。
…顔を少し赤くしながら凍えてる人間が!!
「ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉ!!??」
あの様子じゃ絶対結構前から居たよね!?
約束の時間はもうちょっと先よ!?
私は急いで階段を降り、全速力で玄関まで行き、扉を開けた。
「うたいさぁぁぁぁん!!!!!!」
私はそのままの勢いでうたいさんに抱きついた。
「!?」
うたいさんは一瞬なぜか体を硬直させた。
「ちょっと、寒いでしょ!?もうちょっと遅く来ていいからね!?待たせてごめんね!?」
私はうたいさんに抱きついて暖まらせながら一気に言う。
「ええっ?そこまで待ってないよ?」
うたいさんは首を傾げる。
だけど、耳まで赤いのはもう見えてるんですよ!!
「……バーカ。うたえもん、普通に体弱いんだからさぁ…。…と言うかなんでこんな早く来たの…まさか私のためとか言わないよねっ!?」
私がそう言うと、うたいさんは一瞬目をそらしたあとにっこりと笑った。
「べるさんのためじゃなくて、僕のためだから。べるさんがもしかすると早く外に出てくるかも知れないと思ったら、心配すぎてさぁ」
……………………うたいさんはさ、そう言うけどね…
「内容が完全に私のためって物語ってるんですけど!」
私は頬を膨らませながらそう言う。
そう言うとうたいさんは、にっこり笑ったのだった。
…この、誤魔化し上手め!まんまと笑顔に釘付けですよーだ!
私は未だにうたいさんをギュっと抱きしめる。
そしたら、うたえもんは少し固まったあと慌てるように口を開いた。
「べ、べるさんっ!そろそろ行こ、ねっ!そろそろ暑くなってきたしさっ!?」
うたいさんはそう言うなり私の手を引いて歩き出すのだった。
その耳がまだ赤くて私は「ええー?」と不満の声を漏らすのだった。
(ちゃんと鍵は閉めたので安心してください)
そして、歩いていると突然うたいさんが私の方を見た。そして、自分のジャンバーを脱いで私の肩にかけてきた。
「……………………これ、少女漫画とかでよく見る『可愛いお前をほかの人に見せたくないから~』とかいうやつ…ですかね」
私は真顔で言う。そしたらうたいさんも真顔で「ちょっと何言ってるか分からないかも知れない」と言うのだった。
そして、うたいさんは私の頬に手を当てた。その優しい壊れ物に触れるような手つきにドキッとしかけたのだった。
「ど、どうしたの」
私が少しドキドキしながら聞くと、
「……………寒いかなって」
と、うたいさんは答えたのだった。
「そういう所も大好きだよ!!!!!!」
いつものうたいさんで安心したよ!!!
私は叫んだのだった。
「べるさん、言う事と思ってること多分反対」
うたいさんはそう言って穏やかに笑ったのだった。
その笑顔に無意識にドキッとしてしまう。
うたいさんの笑顔ほど強力な力を持った笑顔はないと思う。
私はそのドキッとしてしまった自分に腹が立ち、うたいさんの服の裾を握った。
そしたらそれに気づいたうたいさんが、
「やったーっ、べるさんを独り占め!」
と言ったのだった。
こぉぉぉぉぉの無自覚男がぁぁぁぁぁぁ………
私は心の中で叫んだのだった。
ーーーーーーーーーーーー
……………因みに、みんなと合流した時には二人とも余裕がのこっていなかったのだった。
無意識恋人同士
コメント
3件
みぅだよ🤍🥀 14話読んだよ〜〜! うたいさん、待ち合わせより早く来て寒そうにしてるのに「僕のためだから」って言い訳するところ、もう完全にべるさんのためじゃん!ってツッコミたくなった(笑) しかもジャンバーかけて「寒いかなって」の優しさ、無自覚すぎるよ……! 「やったーっ、べるさんを独り占め!」のセリフ、ズルすぎるでしょ😭 二人とも無自覚に愛おしさ漏れまくってて、こっちまで照れるよ…大好きな空気感🌙