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「定時なんで…帰りますね」

「はーい、お疲れ様でした〜」

今日もまた、上司に怒られた。怒られる原因は二つで、一つは上司の八つ当たり。二つ目は単に僕のミス。

「はぁ、疲れた。今日は何処かで食べて帰ろうかな…」

…あ、そういえば今週末、彼女とデートだったな。少しでも節約して彼女と少し贅沢したいな、なんて妄想を膨らませながら足速に帰路を歩む。

「わぁ…綺麗な人だな」

思わずそんな言葉が出てくるほどの綺麗な女性が、反対側から歩いてきた。

勿論僕の彼女の方が可愛いんだけど、すれ違った女性は美しかった。



美しい女性とすれ違って数分経った頃、僕は何か違和感に気づいた。

“あれ、この人、さっきもすれ違わなかったか?”と。

もしかしたら僕は疲れているのかもしれない。

流石にすれ違った人ともう一度すれ違う、なんて言うことはないだろうから。

「怖…早く帰ろ」

僕は走って家に向かうことにした。


「な、なんでだ…!?」

進んでも進んでも、あの女性とすれ違い続け、僕の体に疲労が蓄積されていくだけ。

もしかして、とスマホを起動して時間を確認してみる。

時間は正常に進んでいる。よくよく考えればすれ違う車は違う車種に色だし、同じ時間や道を延々と繰り返しているわけではなさそうだ。

「やっぱ小説の見過ぎ?それとも幻覚?」

…まぁ、そんなことがあるわけもなく。

なんでずっとすれ違うのか、本人…彼女に聞いてみることにした。

「あの…すみません」

「…はい?どうかされましたか?」

「さっきからずっとすれ違ってますよね…?」

「え?」

「し、シラを切らないで下さい!何度も何度もすれ違うなんてこと、普通じゃ起きないです!」

「はぁ…やっと気づいてくれたんだ?」

「…え?は?」

「私さあ?ずっと貴方のことが好きだったの。学生の頃からさ、ずっと、ずっと。こうやって貴方の家や職場も頑張って突き止めて、貴方に気づいてもらう為に今まで頑張ってきたの。」

「え、な…は?何言ってるんですか?」

この人が何を言っているのかわからない。

僕に気づいてもらいたい、たったそれだけの動機で家と職場を特定した…?狂ってる。

「でね、でね?私、貴方のことが好きなの!私と付き合ってくれない?」

「いや、僕、恋人がいるので!それじゃあ!!」

「…ふーん」

語尾にハートがつきそうなほどの甘ったるい声での告白に、僕への異常なほどの愛情。気持ち悪くて仕方ない。

僕は彼女がいることを女性に伝え、その場を全速力で走って家に着いた。


家まで全力で走ったから、とても汗をかいていたから、シャワーに入ることにした。

シャワーから上がると、彼女から数件のメールと不在着信が来ていた。

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『た』

た?なんだろう。そう思いつつもケータイをスワイプしていく。

『たすけて』

『ころされる』

『れんなひとにおわへてるよ』

助けて?殺される?なんで?最近ニュースでやってた通り魔殺人か?なんてそうこう考えてたらまた彼女から着信が入った。

「もしもし!?殺されるって何?大丈夫!?」

『あ、やっとでたぁ!』

「…え?この声、さっきの…?」

『覚えててくれたの?嬉しい〜!』

子供みたいな無邪気な声。どうして彼女のケータイからこの女の声がするんだ?

「なぁ、なんで俺の彼女のケータイからお前の声がするんだ…?」

恐る恐る聞いてみる。すると電話越しから

『今貴方と話してるのは彼奴じゃなくて私なの!!!他の女の話すんな!!』

と、とても大きな声で聞こえた。

そこらへんの人を殺してしまいそうな迫力に、僕は「はい」と返事をするしかなかった。

『あっ、大きい声出してごめんね♡でも貴方が悪いんだよ?”彼女”と話してるのに元カノの話するからさ♡』

「え?僕は君と彼女になった覚えはない」

『は?貴方がさっき言ったんだよ?”彼女がいるから無理だ”って。でももう彼女は居ないでしょ?だから私が今カノで、さっき死んだコイツは元カノ。』

『わかった?今迎えに行ってるから待っててね、ダーリン♡』

今カノ、と自称する女との通話が終わった瞬間、家のインターホンが鳴った。

「ダーリン♡着いたよ、開けて?」

僕は怖くなって居留守をすることにした。

「ねえダーリン?居ることはわかってるんだよ?なんで開けてくれないの?」

「ねえ。開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて」

「あ、合鍵元カノちゃんから貰ったんだ〜!

私ってばお馬鹿さん!」

ガチャ、言う音が鳴った。

怖い。彼女が死んだと言うのに、自分のことしか考えられない。ごめん、なんて思ってもない言葉を口にする。

「あ!見つけた!これでずっと一緒だね!」

僕の胸がチクリと痛んだ。


作者です。初のホラー小説でした。

解説としては、自称今カノさんが、一生隣に居たいと思ったが為に僕さんを無理心中させた感じですね、分かりにくくてすみません!

見てくれてありがとうございました!

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