# ほわのノベコン
参加失礼します。
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『 ねぇ知ってる? 』
『 カラスって、元々は白い鳥さんなんだって! 』
『 でも〜……とある罪を犯して、その代償として、悪に染まった黒色にされちゃったんだって! 』
『 可哀想〜! 』
『 だ・か・らぁ〜… 』
『 どんなに心が綺麗な人でもいつかは真っ黒になっちゃうんだよ! 』
『 好きな人、親、お友達、親友…… 』
『 次はどんな人が真っ黒になっちゃうんだろうね! 』
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《 弌 》
ピンポーン……
( ぁ………こんな時間に誰だ? )
ふと時計に目を向けると夜中の2時半を映していた、
郵便は一昨日頼んだがこんな時間に来るわけが無い、
……重い身体を上げ、身体より重い瞼を擦りながら廊下を通る
ピンポーン…ピンポンピンポーン
( 煩いな……嗚呼…危ない輩じゃないといいが……… )
恐る恐るドアスコープから外を覗くと、暗いからよく分からないが誰がが寒そうに震えているのが見えた。
( 迷子か難民か……? )なんて思いつつ鍵を開けドアを開く
ドンッ……そんな音と同時に「 ぐちゃ 」なんて音も聞こえてしまった
「 ねぇ、晴人……あたし、人を殺しちゃったぁ…… 」
「 は、な、何言ってんだお前…… 」
彼女は莉恋、かれこれ3、4年は付き合っている俺の交際相手だ。
「 どうしよう……牢屋に入れられちゃうのかなぁ…… 」
「 ………とりあえずその血洗ってこいよ……風呂は貸すから 」
正直匂いがかなりキツイ、今すぐにでも香水をかけて掻き消してしまいたいくらい。
「 ぁ……ご、ごめんね、!晴人も着替える…? 」
「 嗚呼、莉恋がそう言うなら俺も着替えるか… 」
とりあえず莉恋を家に入れるのは成功した。
話……も聞いてやりたいが今は一先ずお互いに落ち着く所からだ、
数十分後、莉恋は髪を乾かし終え俯きながらリビングに足を進めた
「「 ………… 」」
無言が続き、よく分からない深夜ドラマの音がテレビから滲み出ている。
「 ………なぁ 」
「 あ……どうしたの? 」
「 お前………人を殺したって… 」
「 ………うん 」
「 何があったんだ? 」
嫌われても無視されてもおかしくない、でも今の彼女を救うにはこれしか無かった、
「 ……………実は、 」
「 女の子の友達と取っ組み合いの喧嘩になっちゃって、 」
「 ちょうど夜食を作ろうと包丁、持ってたから、 」
「 それで……身体刺したら、当たり所悪かったみたいで…… 」
「 ……何で、何でそんな喧嘩になったんだよ、 」
「 …よく覚えてないや、でも、お互いの恋愛とか、そう言う話だった気がする… 」
「 そうか、ありがとう、言ってくれて。 」
「 うん…… 」
「 とりあえず寝よう……まぁ、もう明るくなってきてるけど… 」
「 …うん、ありがとう 」
……さて、この後はどうしようか、彼女を……いや、警察は莉恋本人が行きたいと行ったら行かせよう、
そういえば、遺体はあの後どうしたんだ?莉恋はスマホも何も持ってきている感じじゃなかったからそのまま放置…か?
そもそもどっちの家で……いや、これも起きてからにしよう、
彼女が殺人をしたら……俺は恋人としてどうするべきなんだ?
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《 弐 》
「ご、ごめんねサツキちゃん… 服選んでたら遅れちゃって……」
言い訳をしながら小太りの見た目アラフォー程度のおじさんが走ってくる。
側から見たらおじさんが地雷女に寄ってくる世にも奇妙な光景だろう。
私だって正直こんなやつに構ってたくはない、スパでも飲んで悠々自適に過ごしてたい。
でも構ってやるしかない、だって数時間耐えるだけで何十万という大金がもらえるから。
「んーん、全然だいじょおぶだよ〜?」
「そ、それはよかった……………は、早く行こうか遅れちゃう……」
「お昼予約してくれてたの~?」
「う、うんそうなんだ……サツキちゃん喜んでくれるかなって………………
「え!ありがと~!ちょ〜嬉しい!」
クソほどどうでもいい話をしながら“予約してくれたお店に向かう、
おじさんのカバンにはミオンのキーホルダー、よくわからない Vtuber とそのVに似ているぬいぐるみ、
……まあ適当に話でも合わせておけば好意を向けてくれるだろう。
一応あとでググっておこう、確か名前は……さくら…なんかだったような、
その後私たちはお店で食事をとり、軽く買い物を済ませ駅前に向かった。 時刻はもう5時半、そろそろ解散どきだろう。
「今日はありがとね!一緒にご飯食べれてよかった〜!」
「そ、そうだねありがとう… まさかサツキちゃんがホ○ライブ知ってるなんて驚いたよ……」
「偶然ネットで見ただけだよ〜!それに有名な会社さんでしょ?凄いよね〜ああいう企業さんって!」
「そ、そうだね…あ、あのさ……… 」
「ん?どうしたの?」
「この後って空いてるかな………………」
「まだどこか行きたいの?(笑」
「あ、あぁうん……ホテル行きたいんだけど良いかな……………?」
あ、久しぶりのこのパターンだ、私との相性が良いと感じて性行為を望む、まあ私値段が弾むから嬉しくはあるけれど……………… ………………あまり長引かないようなら着いて行こう、
「サツキちゃん?どうかな……………… 」
「あっ、あぁ、10時までだったら大丈夫だよ」
「あ、ありがとう、お金、先に渡しておくね、あんまり入れられなかったんだけど大丈夫かな………………」
そう言って渡してきたのはよく見慣れた茶封筒、厚み的にせいぜい7~8万くらいだろう、 それだけあれば十分だ。むしろこの程度のおじさんの中では優秀な方だろう。
でも、まだ足りない。もっともっと、身体を売ってでも稼がなきゃ。 あぁ、そうだ、リモ活なんてものもあったな、 それも今度やってみよう、
私は彼の全てに同意して身を委ねた
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《 参 》
いつも通り朝登校して、友達と電車で合流して、玄関に行って、
靴箱を開けた。
いつもは上履きと外履きしか入っていない靴箱の中に、今日は手紙が入っていた。
[ 雨坂先輩へ、今日の放課後空いていますか?空いていたら学校の向かいにある体育館にきて欲しいです。 ]
差出人は不明、……だが1年の子だろうということは分かる。
行くべきかどうするか…………そんなことで悩んでいると中学からの友達の佐藤が話しかけてきた、
「 お!お前それラブレターか〜?!遂にお前にも青春が来るんだな!! 」
ゲラゲラと揶揄うように祝う、まぁそれもそうだ、
僕みたいな眼鏡で背も低い、勉強しか取り柄のないような奴に青春なんて訪れるはずがない。
正直この手紙だって何かの罰ゲームかもしれないのに、わざわざ放課後の時間を使ってまで行きたくは無い。
そんなことで悩み詰めていると予鈴が鳴る、
僕は急いで教室へ向かった。
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6限の終わり、ホームルームももうすぐの頃、佐藤が僕にこそこそと話しかけてきた。
「 おい、今朝の手紙の件、お前どうするんだ? 」
「 …………どうしようかな、いま凄く悩んでる所なんだ、 」
「 行っといた方がいいんじゃねぇのか〜?今後のお前のためにもさ! 」
「 あぁ、そうだね、放課後の予定を確認して空いてたら行こうかな 」
「 お!よ〜し!頑張れよぉ〜! 」
僕は隠れてスマホのスケジュールを確認した。
( あぁ、駄目だ今日は9時から12時までバイトだ………… )
流石に9時から12時のバイトの為仮眠を取らなければいけない、
( 今回の件は全て放り投げてしまおう、そうすれば相手もそちらに完全に気がなかったと勘違いしてくれるはず………… )
キーンコーンカーンコーン……
学校のチャイムが鳴る。
( 早く帰りたい、 )
その一心でいっぱいだった。
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時刻は夜も更け8時半頃、
僕はいつも通り「 荷物 」を受け取りに行った
「 荷物 」の中身は僕も誰も知らない、依頼人のみその中身を知っている。
「 今日も頼むよ零くん、 」
「 いつもお世話になってるね 」
上司が優しい口調で僕に向けてそう言う、
「 いや〜、凄いね最近の高校生は。 」
「 いえ、全然そんなことは無いですよ( 笑 」
「 だとしてもだろう。闇バイトなんかに手を出すなんて…………親御さんとかは知ってるのかい? 」
「 いえ、1ミリも。……ですが、知った所で僕に何か言うことは無いので大丈夫だと思います 」
「 あぁ、それならいいが………… 」
「 今日はあの車ですか? 」
「 そうだ、お、忘れていたが先月分はもう銀行に入れて置いたから 」
「 ありがとうございます、おかげで今日も食い繋げますよ( 笑 」
「 ほらほら、早く乗りなさい、妹ちゃんの為にも早く帰らなきゃでしょ、 」
「 そうですね、ありがとうございます。 」
正直妹の事なんてどうでもいい、それより今は快感を得たいんだ。
高校生なりのそういう欲望なのかもしれない、けれど、それでも僕は快感を得るためにバイトを続ける。
車が発車した、
その車は知らない場所に向けていつも通り走っていった___ 。
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《肆》
外から叫び声が聞こえる。 いつもの男の人と悠くんの声、
体が痛くて動かせない、息をするだけでようやくだった、
鳴呼、廊下に光が入って来た。悠くんが帰って来たんだ。 うん、きっとそうだ、怖い男の人はもう帰ったんだ、
ドサッ、と人の身体が倒れる音がした。 その音と同時に強い足踏みと唸り声が聞こえてきた。
「お゛い」
そういう低い声のする方に視線を向ける、
「お前、また寝室で動けなくなってのかぁ?w」
「あんなやつにまだ構ってやれるなんてお前も随分とお人好しなもんだw」
「あぁ、そうだそうだ、あいつ、また靴箱んとこ放り投げといたから拾っとけよ〜w」
そう言いわたしたちを嘲笑うようにしてボロいアパートの一室から出て行った。
ドアが強く閉まる音で目が覚めたのか玄関から悠くんがこちらに向かう様な音が聞こえて来た。
「おかえり、悠くん」
「あ、う、おぇ……緋奈ぁ? 」
「うん、こっちおいで 」
今にもちぎれてしまいそうな喉を振り絞って悠くんを呼ぶ、
( 鳴呼、今日のお薬は軽かったんだろうな )
なんて思いつつ私の膝の上にある眠っている悠くんの頭を探げな瞳で見つめ続ける、
痩せこけた頬、暴れて自傷した手脚、怖い人に投げられてそのままの傷口、 今すぐにでも治してあげたいけれどわたしもわたしてもう限界だ。
多分もう、2人で死ぬなら今だと思ってしまうほどに。
悠くんの目が開いた、多分、今日のお薬は軽いから大丈夫なはず。
…それでも怖いものは怖い、悠くんが暴れ始めたら収集がつかなくなってしまうから。
根はものすごく良い人なのに、可哀想。
「んぁ……い、また緋奈に迷惑かけちまった。」
「大丈夫だよ、 」
「 水持ってくるわ」
「ありがとう」
「……もうちょっとだけ、耐えてくれ、倒れられたら……俺が生きられなくなる」
そう言い残して悠くんはリビングに向かっていった
リビングからは2人分のコップを取って水を組む音、汚部屋と化した部屋を少し綺麗にする音が聞こえた、
「 はい、これ水、水道水だけど………… 」
「 大丈夫、ありがとう 」
2人とも水を口に運ぶ、しばらく沈黙が続いた。
ずっと言おうか迷ってることがあったけど、今言おう、今なら、きっと……
「 ねぇ、悠くん、 」
「 な、なんだ、なんかして欲しいことあるなら直ぐに…… 」
「 殺して。 」
「 わたしを、殺してほしいの 」
「 ………………分かった 」
悠くんはそう言うと私を押し倒して首元に手をかけた。
「 大丈夫だ、俺もすぐに行くから、…………愛してる 」
「 ありがとう、わたしもあいしてるよ 」
最期の晩餐は水道水。
ちょっぴり幸せな気分になって体を楽にする、
2人とも幸せそうな顔をして身体を重ね合う、
“ やっと、楽になれる…… ”
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《 ? 》
『 おっかえり〜! 』
『 ねぇねぇ、悲しくなった?興奮した?それとも…… 』
『 何も思わなかった? 』
『 ……………… 』
『 あれ、僕のこと覚えてないの〜? 』
『 ほら!最初に会った人だよ! 』
『 お!思い出したかな〜? 』
『 まあ僕のこと覚えててもなんも無いけど! 』
『 …みんな無事に真っ黒になったけど、あの後はどうなっちゃうんだろうね〜♪ 』
『 まぁ誰も知る由もないけど! 』
『 あれ、時間無くなっちゃう? 』
『 じゃあ、そろそろお開きにしようか! 』
『 また会えたらいいね♪ 』
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著者︰彩依
出演︰??? ・ 莉恋 ・ 晴人 ・ サツキちゃん ・ おじさん ・ 零 ・ 佐藤 ・ 後輩 ・ 上司 ・ 怖い人 ・ 緋奈 ・ 悠くん
コンテスト主催者様︰ほわ様
❥ 2025.5.8 彩依 。
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コメント
2件
後味が悪く気味が悪く最高です 好みをズバズバ突かれた気分です…!! ノベコンへの参加ありがとうございます!
納期ギリギリで大変申し訳ございません。 こちらの作品で応募よろしくお願いします