・何でも許せる方向け・出てくる全てのこと、物、人に関係なし・ド捏造
・CP表現無し
・つぼ浦が歪みで泣く
上全て理解出来た方のみお読み下さい。
つぼ浦が歪みで泣く話。
『あ、?』
本署前の硬いコンクリートに、1粒の透明な雫が落ちる。
落ちてきたのは、裁判でロケランをぶっぱなし沢山の市民を焼き殺し、自爆特攻も厭わない。特殊刑事課つぼ浦匠の目からだった。
「はや、、!?!?」
つぼ浦の次に声を出したのは、つぼ浦と話をしていたキセキの世代の同期であり、青髪の元気っ子オルカ・トヴォロだ。
「な、ど、どうしたんだ!?!?どっか痛いのか!?!?」
『ん、いや痛くねぇんだけどな…なんだ……??』
あわあわしているオルカとは反対に、つぼ浦は静かに困惑している。グイグイと手で涙を拭っているが、まだ耐えず出ている。
「は、?え、、つぼ浦さん…??だ、大丈夫ですか…?」
近くで別の署員と話をしていた成瀬力二も、オルカの声を聞き近寄ってきたが、つぼ浦が涙を流しているのを見た瞬間、カチリと石みたいに固まって酷く困惑している。
『大丈夫だぞ。オルカもカニ君も落ち着いてくれ。』
落ち着いてくれ、と言っている本人がボロボロ泣いているのだ。落ち着けるわけもなし。ひたすらに困った成瀬は、無線で助けを求めた。
「“つ、つぼ浦さんが泣いてるーー!!!!!”」
つぼ浦が一応付けていた無線と、本署内からバカでかく声が響いた。
「で、なんで泣いてる訳?」
成瀬の無線を聞き、たくさんの署員達が集まった。その中の特殊刑事課対応課である青井が、未だポロポロ泣いているつぼ浦に問いかける。
『いやだからわかんないんすよ。別にどっか痛かったりもしねぇんだけどな……』
手をぐっと握ったりぱっと開いたりして、腕の調子をみている。
「ふぅ〜ん…?じゃあ、まぁ…歪みか。」
『そうだと思います。泣く歪みなんか聞いたことねぇけどな』
「ま、歪みって訳わかんないからね。規則性ないし。」
『まそりゃそうだな。』
他そっちのけで二人で話し、歪みということになったらしい。だが、とても異様な光景だ。
青井が涙しているつぼ浦に心配の言葉一つかけず、市長のところ行こうか。と言っているところとか、泣いている当本人が、真顔でそっすね。と言っているところとか。
「………うん、歪みだな。」
結論、歪みであった。まぁそりゃそうである。
「まぁそうだろうね。」
『まぁな。で、早く直してくれ。さっきより勢いは止まったけどよ。ずっと泣きっぱなしは色々面倒臭いぜ。』
国家ギャングであり、狂人であるこの男に涙はどうも不釣り合いである。既に沢山の署員達から心配されていて、どうも居心地が悪い。
「まぁ私としても直してやりたい気持ちは山々だが…無理だ。他に急遽今日やらなきゃいけないことがあるんでな。明日にならないとどうにも出来ない。」
『んだとォ??』
「文句を言われても困る。出来ないものは出来ない、それだけだ。」
全くこちらには関心がないというように、他の書類に目を通している。
『ちくしょう…』
「あぁ、でも泣く原理については教えてあげよう。」
直すことは出来なくても原理について知り、対策すれば泣かなくて済むな、と少しだけつぼ浦が機嫌を直す。
市長が初めてチラリとこちらを見た。
「…喜怒哀楽、全ての感情が動いた時に涙が出る歪み…らしい。」
『……ハァ?なんだそれ。どうやって回避すりゃいいんだよ。』
眉をひそめて疑問をなげかける。
「それ、回避とか出来なくない?」
「あぁ、らだおが言うように回避は無理だ。諦めて今日は泣き続けるんだな。」
ア?とつぼ浦がバットに手をかけた瞬間、パチンと市長が指を鳴らし、瞬きをした一瞬の間に外へと2人まとめて飛ばされる。
『あんのクソ市長が!!!!』
「まぁこれはほんとに無理そうだね。諦めて一日過ごすしかないわ。」
『クソが!!!』
額に血管が浮き出ており、どう考えてブチギレている。ただ、やはり目からは涙がボロボロでていた。
『犯人いるかー!!!』
現在事件対応中特殊刑事課&対応課。
青井は、別に今日くらい事件対応しなくていいんじゃない?と言ったが、つぼ浦は、いいや!感情を殺せばいいだけだ!と言って銀行強盗の対応をしに行ったので、心配で青井も着いてきたのだ。
「いるぞー!!」
『いるのかー!!』
「あぁそうだー!!」
『早く出てこーい!!』
「ちょっと待てー!!」
『人質いるのかー!?』
「人質いるぞー!!」
『わかったー!!』
いつもどうりの掛け合いだ。人質いるみたいですとつぼ浦は青井に教えたが、声がバカデカかった為普通に聞こえていた。だがちゃんとありがとうは言った。
「出来たぞー!人質解放条件..は、….」
犯人が愉快に銀行から出てきた。が、発そうとしたその言葉は小さくなって消えた。
つぼ浦の目からポロポロと涙が出ていたからだ。
「え。つ、つぼ浦、お前どうしたんだ!?!?」
『んあ?..あ!また出てきてやがるちくしょう!』
つぼ浦はゴシゴシと目を擦って解放条件はなんだ!と聞いている。
「いやいやいや!!ど、な、なんだどうしたんだほんとに!?!?」
『歪みだ!!!気にするな!!!』
「あーこれホントに歪みだから気にしないで〜。つぼ浦、あんまり目擦ると良くないよ。」
『で!解放条件はなんだー!!!!』
「ほ、ほんとに大丈夫なんだな…!?解放条件は3分間アタック禁止だ!」
『わかった!』
犯人が人質を解放しチェイスが始まる。それでもまだポタポタと涙が流れている。やはり感情を無くすというのは難しいらしい。
『くそ!涙のせいで運転がしづらいぜ!!!』
「俺が変わろうか?」
『今変わったら犯人逃がしちまうだろうが!』
「それもそうだね。」
片手でなんとか涙を拭いながら、もう1つの手でアタフタ運転している。正直事故るのは時間の問題だ。
「お前今どういう感情で涙出てんの?」
『あ?…んーそうだな…面白い、とかか?』
青井はつぼ浦の顔を見ながら問いかけるが、チェイス中なのでつぼ浦は前を見ながら答える。
「チェイスが?」
『それも。あと犯罪者をボコボコにするのが。』
「あーね。…いやそれに楽しさを感じてんの??犯罪者じゃん。」
『何言ってんだアオセン。俺は警察だぜ』
「いや知ってるよ。警察なのが尚ヤバいだろ」
『あ?ちくしょう埒があかねぇな。てか今チェイス中なんすよ?気が散るんで話しかけないでください』
「もうこいつヤバいw」
チェイスの末無事に犯人を確保することができ、調べると犯人はジョーカーだった。
『オメェジョーカーじゃねぇか!』
「そうだ!ていうか、つぼ浦が泣いてるのなんかすげぇ違和感あるな。」
『俺も違和感あるぜ!ずっと流れてきてウゼェしな。』
「まぁつぼ浦とか泣かなそうだもんね。涙とか初めて見たわ」
『まぁな。…取り敢えず切符切って行くぞー!』
「おう。」
なんやかんやで色々盛り付けて、結局ジョーカーはプリズン送りになった。南無三。
『よし、パトロールでも行くか!』
「うぇーお前また厄介事起こす気?」
『またってなんすかまたって。1回も起こしたことないっすよ』
「お前1回スマホ開いて記事見てみろw」
『あぁあんなん嘘ばっかだぞ。』
「お前www…はぁ、もう今日はお前とバディだな。」
呆れたように青井がそう言うと、つぼ浦は一瞬目を見開き、ポロポロと涙を流した。
「え、止まってたのにまた涙出始めたじゃん。」
『うお、…だりぃな。』
「んもー…今何処で感情揺れる部分あったのさ。…あ?もしかして俺とバディだから?」
少し、ほんの少しだけつぼ浦の肩が揺れた。
「お前〜…まだなんかやろうとしてたわけ?絶対止めるからな。」
ただ、その微量の動きに青井は気づいていないようだ。
『まぁ、…特殊刑事課のエースである俺とバディになれることを誇った方がいいっすよ』
「はいはい、言ってろ。」
青井は呆れ、つぼ浦はだるそうにしているが、2人共、お互いの口角が緩く上がっている事には気づいていなかった。
喜怒哀楽どの涙?ー終ー
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