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初投稿です。
ご覧いただきありがとうございます。
・ご本人様とは一切関係ありません。
・読了後の苦情は受け付けません。
・ハチミツバースという設定をお借りしています。
・当作品はrbmnになります。自衛をよろしくお願いします。
・Xに投稿している短文になります。
X(@0_____ray__0)
以下本編
星導が体調を崩しているらしい。その話を聞いた時、もしかしてと頭をよぎった可能性はあった。…星導は誰かに恋をしているのではないか、と。以前から星導が花である事は知っていた。何せ俺は星導の匂いを、美しさを知って己が蜜蜂であることを自覚したのだから。花は恋した蜜蜂が側にいないと酷い頭痛に苛まれるようになる。星導の症状はもしかしたらと思うには十分すぎた。
今日は東西ヒーロー全員で会議がある日だった。星導は来ないだろうと踏んでいたが、会議室に彼は居た。しかも、一番乗りで。
「…マナ?」
机に伏せていた彼が俺の名前を呼びながら顔を上げる。俺は扉を開けて声すら発していないのに、なんで気付いたんや?
「お疲れ様。体調は大丈夫なん?」
「…うん。大丈夫だよ」
「本当に?寝てたんやないの?」
「…本当に」
声を掛けながら星導の隣に荷物を置く。歯切れの悪い返事を返す星導に、疑問は確信へと変わろうとしていた。扉を開けた時、星導は確実に体調が悪そうにぐったり机に突っ伏していた。けれど、今の星導が通常通り元気そうなのは紛れもない事実だ。…言うべきか、言わないべきか。けど、星導がまたどうしようもない頭痛に苦しむのは不本意だ。それに、俺の星導への想いも決まっている。
「………俺、蜜蜂なんやけど。るべは?」
「そうだよな〜バレるよな〜」
星導はまた机に伏せた。今度は恥ずかしそうだ。かく言う俺も少し頬が暑くなっているのは、きっと気のせいではないだろう。
「ズルイよ。分かってる癖に。まぁ、花だけどさぁ…」
ガバッと上げた星導の顔はほんのり赤くなっている。照れているのだろうか。ま、そうだろうな。明らかに楽になった様子を見せた上で己は花だと言ったのだ。ほぼ答え合わせみたいなものだろう。
「…マナ」
「ん、わっ」
星導に抱きしめられる。あ、これヤバいかも。匂いが近すぎて、よくない。匂いに堕とされてしまいそうや。
「好きだよ。マナ。…俺だけの蜜蜂になって」
「俺はもう、とっくにるべの匂いの虜やで」
甘美な匂いに包まれながら応える。肩に顔を埋めればさらに匂いが濃く感じられた。星導の甘くて、けれど上品な匂いの中に金木犀の匂いが混ざっていることに気付く。花の匂いは、恋した蜜蜂の好みに変化していく。星導は本当に俺に恋してくれているのだと匂いで思い知らされた。匂いに包まれて体が痺れるような甘さに侵されている。多幸感と快楽に包まれてどうにかなってしまいそうだった。
「俺の匂い、気持ちいいの?」
「うん、きもちい」
髪を掬われて、撫でられて。その動作の繰り返しにも快楽を感じてしまいそうだった。これが酔う感覚なのだろう。
ああ、離れたくない。
みんなが来るまでの少しの間だけだとしてもこの甘い感覚に包まれていたくて、思い切り抱き締め返して目の前の花にくっついた。