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凛花です。
今回は『我ナポの夏』を主題とした作品を執筆致します。
『我ナポの夏』を視聴した方もしくは、ネタバレ大丈夫だという方のみお読み頂けると幸いです。
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アテンション
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・『我ナポの夏』のネタバレを多く含みます。
・誤字、脱字を含むかも知れません。
・主は文才がありません。
・ご本人様は全く関係ございません。
・地雷の方はフィードバックを推奨いたします。
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表記
猫乃 仁也 様 (ねこの にや)→ni
四谷 八彦 様 (よつや やつひこ)→ya
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他の方々は控えさせて頂きます。
では、お話の世界へいってらっしゃいませ。
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main 仁也
sub 八彦
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仁也視点
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あの特別な夏が過ぎて約2年。
同じ1年を繰り返し、今日で2年生。
ni「来たで〜。今日は起きとる?」
カラリと小さく音を鳴らしながら病室の扉を開ける。
中には真っ白な壁に、真っ白なカーテン。
その部屋の中央にいるのは━━━━━━━。
ni「やっちん。」
ふわりと靡く、白髪の混じる黒髪。
真っ白な雪のように、細くなった手足。
そして━━━━━━━━━━━━━━
光を失った青磁色の瞳を持った。
四谷八彦だった。
八彦は、光の無い瞳を宙に彷徨わせている。
ni「いつも通りやな、やっちん。」
キュッと心が苦しくなるのを感じながら、努めて明るく声をかける。
ni「今日な、やっちん。」
ni「始業式あったんやけどさ。」
ni「やっぱり校長せんせーのめっちゃ長い話、タイムリープする前と一緒やってん。」
ni「やっぱり、同じ1年なんやなって思ったんよw」
そっと力無く下げる八彦の手を握りながら、今日1日にあった出来事を話すのが、仁也の毎日の日課。
ni「にや、毎日やっちんに会いに来てるからいつでも目覚めてもいいんやで?」
ni「また、昔みたいに『にーくん』って呼んでや。」
ni「いつからやっちん、にやのこと『にーくん』って呼んでくれんくなったん。」
ni「やっちんの言う『にーくん』好きやのに。」
そう言って、目を閉じるといつでもあの時の情景が浮かび上がる。
まだ、八彦の心が壊れてなかったあの日。
ya「ねぇ、仁也くん。」
ni「あんさ〜、やっちん。」
ni「やっちんもにやのこと『にーくん』って呼んで〜や。」
ni「昔は、呼んでくれとったんにさ。」
むすっとした顔で、そう言うと。
八彦は、ポッと顔を赤く染める。
…八彦の顔にあるアザは相変わらず青かったが。
ya「だって、高校生になってまでそう言うのは…。」
ya「なんか、恥ずかしいし…。」
ni「なんで〜よ。にやは、『やっちん』って言ってるやん!」
ya「…勇気が出たら呼ぶから。約束。」
小さな声で呟かれたその言葉。
ni「……めっちゃ、嬉しかったんやで。」
ポツ ポツ
自身の目から零れ落ちる雫が、冷たく冷えきった八彦の手を濡らす。
やっちん、今は許して。
今だけは、今だけは前向けへん。
でも、必ず君の為に前に進むから。
後編に続く。