ある日、僕のストーカーが声をかけてきた。
m「知り合いからでいいです。僕と仲良くなってくれませんか?」
なぜか悪い気はしなかった。
だから、思わず了承してしまった。
LINEも交換してその日は解散した。
あの人、何気に綺麗な人だった。
メガネをかけていてサラサラな黒髪、俺より身長は小さいけどきっと繊細な人だ。
このことを信頼している親友に話した。
r「ストーカー!?なんで連絡先交換しちゃうんだよ…!なんかされたらどうすんの!?」
h「いや…男だしなんもないでしょ…」
r「馬鹿!!ストーカーなんだからそう言う目的で狙われてんの!」
涼ちゃんは必死に否定してきた。
そんなにも俺のことが心配なんだって嬉しく思った。
でももう遊ぶ約束しちゃったし…。
その日で今後、関わるか関わらないか決めようとは思っている。
また会いたい、そう思ってしまうのは可笑しいのだろうか。
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俺のストーカーと遊びに行く日、集合時間の5分前に着くと既にあいつはいた。
結構、俺好みの服装で釘付けになった。
するとこちらに気づいたあいつは笑顔になって、歩いてきてくれた。
m「来てくれたんだね、嬉しい。今日も可愛い」
垂れた眉に上がる口角を必死に抑えている、そんな顔で言われる。
h「今日は、どこ行くの?」
m「水族館に行こうと思ってさ…ちょっと遠いから車で行こう。勿論、運転は僕がするよ」
思わず吸い込まれそうになる瞳だ。
こんな魅力的な人がストーカーだなんて、正直認めたくない。
だけど帰り道によく人の気配がして結構な頻度で涼ちゃんに相談していた。
一回それで引越しをしたが、またすぐに人の気配がして無駄なことを自覚した。
怖かったが、話してみると案外かわいらしくて優しい人だ。
h「そういえば、お名前は?」
m「..元貴って言います。」
さっきまでは話したそうにしていたのに会話はもう終わってしまった。
シーンとする車内はどうも居心地が悪かった。
悪いけどスマホを見ていると、突然大音量で生活音のようなものが聞こえた。
しかも生々しいし、慌てて元貴は音量を小さくしていたし…。
h「なに、今の?」
m「気にしないで…あ、なにか音楽かけようか。何聴きたい?好きなアーティストは?」
絶対何かあるよな、と思いつつ好きなアーティストの音楽をかけさせてもらった。
しばらくすると、水族館に着いた。
水族館なんていつぶりだろう…
車を降りて建物内へ入る。
m「行こっか。何見たいとかある?」
h「大きいの見たいな〜」
m「お、大きい…ぁ、ジンベエザメとか巨大魚の水槽があるよ。そこ行こっか」
わざとらしく言ったのに元貴は考えて答えてくれた。
でも、お喋りじゃないのか基本的に静かであまり会話は楽しいものではなかった。
無言か一言二言だけで終わる会話。
気まずい、それが一番最初に出てきた言葉だ。
ならばもう関わることはないかな…と魚たちを見ながら思う。
早くもジンベエザメや巨大魚の水槽についた。
平日だから人が少ないから見やすかった。
思わず見入っていると、右手をぎゅっと握られるような感覚がした。
右手を見てみると、元貴が両手で俺の手を縋るように握ってきていた。
h「どうしたの?」
m「若井さん、消えてしまうかと思うほど綺麗なものだったので…手を繋ぎましょう。」
子どものように笑う元貴は愛らしく見えた。
そして小さなドーム型の水槽に小さな魚たちが入っている、 ちょっとしたコーナーに来た。
ここは照明が暗く、水の色が反射して深い青色の空間で作られた場所だった。
m「小さいけど、可愛いよ。若井」
名前を呼びながらこっちを見た元貴は、消えてしまいそうな儚さを持っていた。
人魚姫のように、泡になって消えてしまいそうで思わず繋いだ手を離し頬に手を伸ばした。
m「若井さん、僕は貴方を手放したくない…僕は明日も貴方に会いたい。」
あともう少しで俺は元貴の虜になってしまいそうだ。
ダメだと自分に言い聞かせ、人の少ない水族館を見て回った。
m「今日はありがとうございました。僕はとても楽しかったです、良ければ明日…」
h「ありがとう!!その、俺も楽しかった!また、遊ぼう…?」
m「ぁ、こんな僕で良ければ…」
控えめに笑う元貴が美しい。
こんなにも美しいストーカーが居てたまるか。
家まで送ったらもらい、車代を払おうとしたが呆気なく断られてしまった。
「若井さんが来てくれる、それが車代でいいよ」と笑って見送ってくれた。
あの笑顔はとても幻術のようで麻薬のようにまた欲してしまう。
あの人はストーカーなんだ。
あんなやつに“美しい”なんて思ってはダメだ。
そう思いながら風呂へ入った。
見たことないけどあるドラマを参考に書いてみたもの。
もしかしたら続き出すかも…しれない。
人気が出たら連載確定ですな。
まぁ、期待しないでお時間がある時にご確認くださいな。
コメント
6件
すっごく面白かったです!!❤️さんにもまだ裏がありそうな……!!相手はストーカーなのにも関わらず虜になりかけてしまう💙さんも、この先どうなってしまうのかとっても気になります……最高です🥹✨✨
最高です✨人気になるべき作品がまたでてきた✨続きめっちゃ待ってます!!!
ストーカー、、、最高だ、!!✨こういう感じの小説好きなんですよ!👍 ドストライクです!💓本当にありがとうございます!!