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「着いちゃったぁ〜…」
会社のビルの前で立ち尽くす。電車の中で(今すぐ会社爆発してくんねぇかな〜)とか、(宇宙人が攻めてきたら会社行かなくていいんじゃね…?!)とか、考えるだけ無駄なのに考えてしまう。 まあ一言で言うと、
「憂鬱だぁ〜〜…。」
〈だいたいねぇ、無断欠勤するとか社会人としてどうなの?その分他の人に迷惑がかかるって分かんないのかな〜?分かるわけないか!!無能だしねww
てか、他の場所でも成績残せてない君が、ここで働けていることがどれだけ有難いことか分かってる?お前なんかすぐにクビになる立場なんだからww 〉
「はい、大変申し訳ございません。」
…加賀美さんに会社まで着いてこなくても大丈夫って言っておいて、本当によかった。こんな姿、加賀美さんには見られなくないし、知られたくもない。
ハゲ頭の上司が唾を飛ばしながら怒鳴ってくる。覚悟はしていたが、やはり辛いものは辛いわけで(もう死んでやろうかな…。そうしたらこのハゲにも、ほんの少しの罪悪感とか生まれるかもしれない。もし死んだらぜってぇ呪い殺す。)とか思い初めた矢先、
〈おい聞いてんのか?!〉
(あっ、これ叩かれ…)
視界が霞むほどの衝撃、その後を追いかけるようにやってきた痛みに涙が溢れる。叩かれたであろう左頬が熱いのに他の部分は冷水を浴びたように冷たい。
(あ、僕叩かれたんだ…)
もう何も考えない方が楽なのに、頭は妙に冴えて、上司の罵詈雑言を瞬時に理解する。頬を叩かれた物理的な痛みと、言葉による心理的な痛みに、心をズタズタにされていく。
(嗚呼、死にたいなぁ)
「……え?」
頭上から聞こえてくる怒号。優しく抱きしめられる感覚。困惑の色に染まる上司の表情。 急にガラリと変わった状況に困惑しながらも顔を上げると、同期の○○さんが上司をものすごい剣幕で睨みつけていた。
《甲斐田さんへの暴言、暴力、その他諸々の問題行動は全て撮影させてもらいました。もちろん社長に報告させていただきました。》
〈はっ?!?!何言っているんだ君は!!!!!〉
《あなたが今までしてきたことは立派な犯罪です。然るべき処罰を受けてもらいます。》
〈ふ、ふざけるな!!!!!なぜ君にそんなことをっ、〉
その時、上司の携帯が鳴った。上司は何かを察知したようで、顔がどんどん青くなっていく。震える手で携帯を確認すると、顔がより一層青くなる。
その後、上司は社長室に呼び出されたらしく、ふらつく足取りてオフィスを出ていった。