〜side小柳〜
「ウェン君のお友達の‥‥‥‥」
「あ、小柳です」
「小柳君、会ったばかりでなんなのだが‥‥君は学校終わったら忙しいのかい?」
「いえ、特には‥‥」
「もし‥‥良かったら君もここでバイトしてみない?」
「え?俺がですか?」
急な誘いに俺はマスターとウェンを交互に見た
ウェンも驚いている
「そう。ウェン君ともう1人働いていた子が急に辞めることになってね。実家にすぐにでも戻らないといけないそうなんだよ」
ウェンとマスターがその人について話している
どうやらフルで入っていたらしく、マスターも困っているようだ
マスターはウェンの人柄を見て、きっとウェンの友達なら心配ないと俺に声をかけてくれたみたい
ウェンが働く予定の残り1ヶ月
その間に俺が入れば、その1ヶ月で次の人を探すんだろう
ウェンもいる事だし、俺も仕事してみようか‥‥
「俺で良ければやってみたいです。学校と親に相談してみますね」
「ありがとう。良い返事待ってるよ」
俺はすぐに学校と親へバイトの許可を取り、ウェンと一緒にここで働き始めた
「ロウのギャルソン服‥‥めちゃくちゃ良いじゃん‥‥でも‥‥なんかイヤ」
「なにがだよ。別に普通だろ」
「俺より似合ってるぅー!」
「ウェン君も小柳君もどっちも似合ってますよ。ウェン君来てからお客様増えたのに、また増えそうだな、これは」
「店の前の看板と一緒にロウを飾っておいたら、お店に入りきらないくらいお客さん来ちゃうかもね」
「お前、適当な事言ってんじゃねーぞ」
賑やかなバイト初日
俺もバイトは初めてだ
飲食店なんて注文とって運べば良いくらいにしか思ってなかった
だが、入ってみると中々の仕事量だ
俺たちは学校が終わってから店の閉店までのシフトで入っている
その時間の中で、店に置いてある商品の知識を身につけるのは大変だった
もちろんマスターがいる時はマスターが対応してくれるが、マスターが接客中は俺たちがしなければならない
ケーキの種類や使われているもの
コーヒーの選び方など‥‥
その他にも注文を受け、お客様へ届ける
そして下げたカップたちを洗い、新しく入荷された材料を検品して棚にしまう
閉店時間が近づくと、店内の清掃とゴミ出し
そしてレジの精算なども任された
店の外から見るカフェとは明らかに違い、目まぐるしく閉店時間を迎える
しかもここは夜はバーに変わるため、ゆっくりはしてられない
そうは言ってもバーを経営しているのは、マスターの息子さん
ある程度片付いてあれば良いとマスターが言ってくれた
今日も気付くと6時を過ぎている
あと30分で閉店時間だ
ウェンと2人で片付けを始める
あっという間に30分が過ぎ、テーブルと椅子のアルコール拭きはウェンに任せた
俺はカウンター内に戻りまとめてあったゴミ袋を持ち、バックヤードにあるゴミと合わせて店の裏にあるゴミ集積所へ持って行く
店の隣が小さな空き地になっていて、そこに金物で出来た上開きのゴミ箱が数個並んでいる
燃えるゴミと燃えないゴミ‥‥
あとは瓶‥‥
俺は手に持っているゴミを所定の場所へ捨てる
全部終わり店に戻ろうとした
「ちょっと‥‥‥」
「‥‥‥‥?」
突然声をかけられて振り向く
辺りに人はいないから‥‥俺だよな?
「‥‥はい?」
「‥‥その服はそこのカフェの店員さん?」
「そうですけど‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
何も言わずにそのまま裏道を行ってしまった
口元だけ笑う男
なんだよ、気持ち悪い奴だな
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コメント
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こや バイト?!服見たい~ 最後の誰だ(꒪𖦹ࡇ𖦹꒪)