テラーノベル
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僕は庭でバルトをじっと見ていた。
枝に触ると叱られるし、ハサミに触っても叱られる。
だから、考えた。
(葉っぱを集めるのは良いと思う!)
葉っぱを集めて焚火にしたら、焼き芋が焼ける。
この世界にサツマイモがあるか、知らないけど。
僕はせっせと葉っぱを集め始めた。
「にゃ、にゃ」
葉っぱの山ができ始めた頃、バルトに見付かった。
「リンネ、葉っぱを集めているのか?」
「うにゃ!」
これ燃やしたら、お庭も綺麗になるよ。
お芋も焼けるよ。
「にゃにゃ、あにゃ」
一生懸命、バルトに説明する。
葉っぱの山をバルトが眺めた。
「枯葉なら焚き付けにできるけどなぁ」
そう言って、葉っぱの山を両手で持ち上げた。
そのまま、切った枝葉を捨てる穴に放り込んだ。
「ぎにゃ!」
ショックのあまり、普段出ないような声で僕は叫んだ。
「ゴミ集めてくれて、ありがとな。怪我すると危ないから、じっとしてろ」
バルトの言葉に圧を感じる。
僕は仕方なく、その場でじっとバルトの仕事を見守った。
伸びている植木にハサミを入れていく。
適当に刈っているように見えるのに、どんどん形が綺麗に整っていく。
(凄いなぁ。魔法みたい)
森の中で働くバルトも、木を切る姿は魔法みたいだった。
時々、風魔法を使っていたけど、基本は人力だったのに。
(格好良い……あれ、また記憶が)
記憶が浮かんでくることに、最近は違和感がない。
僕は知っているんだってことを、今の僕が受け入れつつある。
(でも、わかんないから不安になるんだ)
どうして記憶をなくしたのか。
その時の僕が、何者だったのか。
あれは夢なのか、この世界で生きていた過去なのか。
考えていたら頭が痛くなってきた。
(何かしよう!)
僕は立ち上がった。
周囲をきょろきょろと見回す。
ちょうどいい木が合った。
(昇ろうっと。それで、飛ぶ練習しよう)
僕は飛ぶのが苦手だってバルトが話していた。
前世は普通の人間だったし、飛ぶって意識が僕の中にない。
だから、今の内に練習して、いざって時に飛べるようになるんだ。
「うにゃ、うにゃ」
爪を立てて木によじ登る。
太い枝の上まで、なんとか行けた。
「にゃふぅ」
木登りって、結構大変。
かなり息が切れた。
サァっと水が流れる音がした。
バルトが植木に水を撒いている。
ホースから吹き出す水がシャワーになって、植木に虹をかけた。
「見てみろ、リンネ。虹ができたぞ」
「あにゃぁ!」
綺麗、綺麗、とっても綺麗!
僕は大興奮で返事した。
「あ! そんな高いところ、いつの間に昇ったんだ」
バルトが驚いた顔をしている。
僕は得意げに顎を上げた。
(見ていてよ、バルト。今から僕、飛ぶから!)
パタパタと羽を動かし助走をつける。
バルトが顔色を変えた。
「馬鹿、やめとけ。落ちるぞ」
その発言には、ムッとする。
僕だって、もう何回も飛んでるし。
ちゃんと飛べる時だってあるんだから。
「今、降ろしてやる」
ホースを投げだし、バルトが木に駆け寄る。
ダメダメ、助けてもらったら昇った意味ない。
「リンネ、バルト。そろそろ休憩しないかい」
屋敷のほうから、シュメリが歩いてきた。
「何してるんだい、バルト」
木に抱き付いているバルトを、シュメリが不思議そうに眺める。
「リンネが木に登って」
シュメリが険しい顔で木の上を見た。
(シュメリも来た。僕の雄姿を見てもらおう)
僕は得意な気持ちで、思い切り枝を蹴って飛び上がった。
「リンネ!」
シュメリが叫んだ時には、僕の体は宙に舞い上がっていた。
(ほらね、ちゃんと飛べるもーん)
パタパタと羽を動かしながら、下を見た。
思った以上に高い。
(え! こんなに高いの? 地面が遠いよ……怖い!)
森の中で飛んでいた時は、気の枝とか近くにあったから。
シュメリの庭は、高い木があまりない。
だから、高さを感じて余計に怖い。
ふらりと、体が傾いた。
上手くコントロールできないのにスピードだけが速くなる。
目の前に、さっきまでバルトが剪定していた植木が迫った。
「今、魔法で……あっ!」
シュメリが叫んだ時には、僕の体が植木に突き刺さった。
「ふにゅ……」
「リンネ!」
シュメリとバルトが駆け寄るより早く、僕の体が植木から抜けた。
地面にポトリと落ちた。
べっちゃりした感覚があった。
「うな!」
そうだった。
さっきまでバルトが水やりをしていたから。
地面が泥んこだ。
僕は泥まみれになったまま、茫然と倒れていた。
「リンネ、大丈夫かい?」
シュメリが僕を抱き上げた。
綺麗なお洋服が泥まみれになっている。
「怪我なんか、していねぇだろうな」
僕の泥んこの体に触れて、バルトが隈なく怪我を確認している。
「怪我はしていなそうだな」
「意識はある? リンネ!」
「……なーぅ」
意識はあるよ。
ただ、自尊心は著しく怪我をしたよ。
僕は猫魔なのに。
羽が生えているのに。
この羽は飾りなのってくらい、飛べないじゃん。
(低い所なら、普通に飛べるのにな)
高い所を格好良く飛んでみたかった。
「良かった」
「意識もあるな」
シュメリとバルトは安心しているけど。
僕は心が痛いよ。
「こんなに泥まみれになって、お茶どころではないね」
「あーぁ、リンネ。自業自得だぞ」
「うにゃ?」
二人が僕を抱えて屋敷に向かった。
この後、僕に人生最大の危機が訪れるなんて、まだわかっていなかった。
コメント
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第11話読了〜!!🎀✨ リンネの「葉っぱ集めて焼き芋計画」がめっちゃ可愛くてニヤニヤ止まらんかった🥺💕 虹見て「あにゃぁ!」って興奮するところ、もう尊すぎ〜!そして飛び立ち→植木ダイブ→泥んこな展開、翼あるあるすぎて笑ったけど、リンネのプライドの傷みが痛いほど伝わってきたよ😭 ラストの「人生最大の危機」フラグ、めっちゃ気になる…!次話も絶対読む!!
お股ポテト
29
はるにし
72