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「で、告白されたんだ?」
「うん」
「それでどうしたの?」
「うっ……」
興味津々とばかりに身を乗り出す魚月に、リカは冷や汗をかく。
航太とキスをした――ことはやはり黙っておこうかと逡巡した。
「……えっと、返事してない」
「はあ?」
「いや、だってさ、ずっと先輩だと思ってた人に告白されたんだよ。そんな急に答えられないよ」
「迷ってるってこと?」
「うーん、なんかわかんなくなっちゃった。先輩と一緒にいると自分がおかしくなるみたいで」
「なに? リカやばい人?」
「……そうかも。体の奥の方がぎゅんってなってザワザワする」
「やばっ!」
魚月は大げさに驚いてみせた。
けれどリカは「やっぱりやばいよね?」と真剣になりながら表情を曇らせる。
「待って。やばいけどやばくない」
「なに言ってんの?」
「それはこっちのセリフ! リカ、その先輩にそうとう恋してんじゃん」
「えっ?」
「いや、なんでそうなるの? リカって今まで何人か彼氏いたよね? 恋愛してきたよね?」
「いたよ。恋愛してるよ」
「……それなのになんでそうなるの?」
「なんでって……、先輩仕事ではいつも通りだし、本気だったのかなって思っ――」
「やばい! 本気でやばいよ、リカ!」
リカの言葉を遮るように魚月は叫ぶ。
目の前のビールを一気飲みすると、ジョッキをテーブルにダンッと置いた。そしてリカを見るとぐっと親指を突き立てた。
「リカ、よく聞いて。それは恋。リカは死ぬほど先輩に恋してる。むしろ初めての恋! グッジョブ!」
「は、初めての?」
言われてリカは過去を思い返す。
大学のときの彼氏は好きになって付き合った。一回り年上のおじ様もそれなりに愛を育んで――。
(……あれ? そうだったっけ?)