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「でも、何でわざわざ幻想なんかを顕すんだ? 現実のままでいれば、その方がシンプルだし、君のよさがさらによく伝わるよ」
実際こうして話していると、電波を通して見るより一層、芯があってカッコいい。以前はもっと、冷めた気取り屋だと思っていた。
「いいかクタイ。見てるのは俺じゃない。俺は顕われ、彼らは見る。彼らはシンプルなものを、複雑にする。幻想を作ってるのは城壁の中にいる彼らだ。そんな中で、不可能は幻想だってことに気付く人が、一人でも出てきたらいい。勇気ある本当の人間が生まれたらいい」
レモネードの、アイスの縁が溶けはじめた。
「何だか、今の俺には言ってることがまだよくわかんないな」
「そのうち分かるさ。心配するな」
彼がストローを廻すと、氷が崩れる音がした。