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「聖禾様の最後の目撃情報はここね。」

「ただの森にしか見えないんだけど。」

聖禾様の目撃情報があった森にはただ,草木が生い茂っているだけ。

それもそうだろう。ここは元々四聖様が加護していた憩いの森だからだ。魔物や野蛮人,魔族なんかは絶対に出ない聖域だから観光客もかなりと言っていいほどやってくる。今は…人一人いないさみしい森と化しているけれど。

「本当に奇妙な森でしょ?」

声のした方にはフードを被った小さな少女がいた。フードには見たことのない紋章が刻まれている。

「あなたは…?」

「えっと,この森の向こうにある星之村(ひかりのむら),村長の娘よ。」

娘ちゃんは向こう側に見える小さな村の子供らしい。ここ最近魔力が濃くなった後に森の動物たちが消えていったそう。その魔力が濃くなったのは四聖様が天に召された日。四聖様の神聖魔法が消えたと同時に魔力が濃くなったのならわかる。でも四聖様の死期が近づいた日にはもう聖禾様に神聖魔法が渡されていた。ならそれはあり得ない。

「ほかには何か起こった?」

「…この村,いや,町の魔力が嫌な魔力になったわ。」

嫌な魔力とは,神聖魔法と反対に呪縛魔法など闇属性の魔力のこと。私はこの魔法が大嫌いだ。その魔力が多く使われると人は蝕まれ,エルフは成長しなくなる。そんな呪縛魔法がここで使われたとしたら,神聖魔法を使う聖禾様は居ても立っても居られないだろう。

「ありがとう。貴女もしんどくなったらすぐにきれいな場所に行きなさい。」

「うん。おねぇさんもね。」

それだけを言って小さな娘ちゃんは村に戻っていった。

これは急いで聖禾様を見つけないといけなくなった。考えたくはないが,聖禾様がこの呪縛魔法を使っていたとしたら。この町には甚大な被害が出てしまう。

「スカイ,貴方の超能力で聖禾様の居場所わかったりしないの?」

「探知(サーチ)のこと?頑張ったらできなくもないけど…そういうのに使うのは初めてするから成功するかはわからない。」

「それでもいいわ。」

そういうとスカイは目を瞑り,両手を地面に向けて手をかざす。魔力の移動が激しいから回復薬をしれっと鞄から取り出し,いつでも飲ませれるように準備した。

「…長距離探知(ハイサーチ)!」

どんどんスカイの魔力が森じゅうを駆け巡っていく。それと同時にスカイは倒れこんでしまう。額には汗が滝のように放出されていった。

初めての事だったからこういうのはあらかじめわかっていた。けど,こんなに広範囲の魔法になるとは💦

「エアリス…ふぅ,この森から向かいの山まで探知をかけたけど…足跡が,あの大木で途切れて,る。」

指さす方向には大きな禍々しい大木があった。一見普通の木に見えるが私にはわかる。あの木からは濃い魔力が出てきているということが。

「ということは聖禾様はこの木の中に?」

「…そうなるな。」

あまりこの魔力が多い場所には近づきたくないのだけれど…こればかりは仕方ない。鼻をつまんで近づきましょう。

大木に近づき,手を差し伸べた。

「やっぱり無理みたいね。」

「…エアリス,魔法放ってエアリスの魔力を注入するのはどう?」

「そうね,でも…私の魔力だけじゃ足りないかもしれないわ。聖禾様がここに入ったのなら同じぐらいの魔力が必要でしょ?」

「そうだけどどうすれば…?」

娘ちゃんのいるであろう村を見た。村なら子供や大人まで人がいるでしょう。小さい魔力でも,塵も積もれば山となる。聖禾様と同じぐらいの魔力には近づくでしょう。

スカイの魔力だって少ないわけじゃない。魔力をコントロールするのが苦手なだけ。

「…そういうことね。」

スカイと目を合わせ,星之村に足を運んだ。

案の定村人は沢山いて,魔力量もあの大木から身を守れるほどにはある。でも知らない旅人の私たちに力を貸してくれるかどうかはわからないけどね。

「あ,さっきのエルフの人。」

娘ちゃんが私に気付き,近づいてくる。

「あ,名前教えてなかったね。光野月日(ひかりのつきひ)。えっと…。」

「エアリスよ。」

「スカイ・アーツ。」

「で,困ってるんだね。あの大木のことでどうかした?」

「え,どうしてわかったの?」

月日ちゃんはにやりと微笑み,私に向かって指をさした。

「顔に出ているからよ!」

…そういうことだったのね。昔から私は顔に出るって聞いてたけどね。ほんとここまでとは。

「星之村は困っている人を見捨てたりはしない。是非,私たちにできることを。」

村の人たちは私たちに敬礼をした。


to be continued→

最弱騎士(勇者)と最弱エルフの冒険旅

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