オレはアメリカ。
資産家の息子で、自分で言うのもなんだが顔も平均的に見てもかなり整っており、学歴や習い事、勤めていた会社まで全て全てザ·エリートって感じの履歴を持っている若者だ。
勤めていた会社は……先月辞めた。
社会経験ということで勤めていた有名大企業だが、物心ついた頃からのお馴染みなこと………例えば周りにちやほやされたり……まぁそんなことが続いていて……
大昔からそんなのがずっと続いてるもんだからついに先月、急に全てに興味がなくなってその日の内に会社に辞めると伝えて翌日辞表を出して自室や街中のその辺でぼーっとするようになった。
こんなオレだからこんなことがあるのもいつものことなんだが……何度も女性達から逆ナンされる。
これも小さい頃からの日常的なことだった。
“顔がいいから”
“お金持ちだから”
“エリートだから”
“すごい人の息子だから”
もう溜め息も出なくなってきたよ。
恋愛目的だけでなく、金銭的な目的でゴマ刷って寄ってくる奴らもうじゃうじゃいる。
だからオレは1人で楽しめる、愛車に乗ってドライブするのとかが結構好きだ。
誰にも邪魔されない、綺麗な景色と綺麗な愛車で流れる時間が荒んでいくオレの心に安らぎをくれた。
恋とかエリートとかどうでもいい。
お金はすぐ稼げる。
オレは一生この愛車と添い遂げていくつもりだ。
そんで、とりあえず現在は1人でブラブラしているオレを見かねた母さん(フランス)が、自分が歌姫を勤めている平凡なレストランのバイトに半ば強制的にさせられたのでそこで働いている。
やってくるお客さん達は年配の人達や物静かな人達が多いので、料理を運びに行ってもキャーキャー言われなくて結構落ち着いている。
というかぶっちゃけ、お客さん達はピアニストのピアノに合わせて歌う母さんに釘付け。
……少し、美人な母さんにうっとりしているお客さん達が羨ましいと思った。
オレはいつも家で見て聞いてたりしてるから、あんまり何も思わないんだけど………
アメリカ「いいなぁ………」ボソッ
フランス「何が?」
アメリカ「うおわっ」
フランス「食事中に呟くなんて珍しいと思ってね~。
で、何が羨ましいの?」
アメリカ「………別に………………レストランのお客さん達が楽しそうだなーって思っただけ」
フランス「あなたにもそう見えた?嬉しいわ~❗」
アメリカ「………あれって恋愛的な意味の楽しいじゃねーよな?」
フランス「そりゃそうよ!皆私が歌う姿と私の歌声に楽しんでくれているのよ」
アメリカ「………ふーん」
フランス「……アメリカは楽しくなかった?」
アメリカ「……………なんというか………よくわからなかった……お客さん達の”楽しい”が羨ましいとしか………」
フランス「………あなたもそういう”楽しい”が味わいたいのね?」
アメリカ「味わいたいっていうか……知りたいっていうか……………」
イギリス「……2人とも食事中に喋りすぎですよ」
フランス「いいじゃない❗ここ最近、ずっとつまらなそうにしていたアメリカが何かに興味を持ったのよ!
親として何かサポートしてみてもいいじゃない!」
イギリス「……それはそうなんですけど 」
フランス「ねぇアメリカ?お母さんのお世話になっている友達がね、お母さんみたいにそういう楽しさを売りにしているお店で働いているの。
最初のお金は私が出すから行ってきてみない?」
アメリカ「………?、お店?」
イギリス「………フランス、もしかしてあの人達の所ですか?」
フランス「ええ、あの人達の所よ❗」
アメリカ「……そこもレストランとか?」
イギリス「まぁ、飲食店ではありますね」
フランス「キャバクラよ」
アメリカ「!?!?(キャ·バ·ク·ラ·!?!?)」
イギリス「あら息子が久しぶりにビックリした顔をしている(笑)」
フランス「ウフフフフっ、そんなに身構えないで?キャバクラと言っても殆どクラブみたいなものでね~、いかがわしさとか微塵もなくて寧ろそういうのは厳禁としている健全さを売りにしている所なの 」
アメリカ「………聞いたことあるかも、そこ」
大学生だった頃、他の学生が噂話で他の大学の奴が~って話を聞いた。
なんでもそこのキャバ嬢にお触りしちまった奴が裏路地に連れていかれてから、そいつの姿は忽然と消えたように何処にも現れなくなったとか……
アメリカ「………合法だよな?」
フランス「今の私の説明聞いてた?」
アメリカ「そうじゃなくて、やらかしちまった場合のお店の対応のこと!」
フランス「あーそっちね、私もぶっちゃけそれは知らないの❗」
アメリカ·イギリス『……………』
つづく
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