テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

桜の花びらが地面に着くたびに、涙が零れる。

色鮮やかな桃色で光に反射する度に儚げな雰囲気を浮かべる。

桜とは、本当に美しくて儚い。


そして…桜と同じく、美しくて儚い人がいた。


その人は川上さんと言い、鮮やかなピンク色の看守服を着ていたノイン刑務所の看守長だ。


まるで、俺が触れただけで、消えてしまうような、そんな気がした。


苗字しか聞いたことがないが、名前もきっと華やかに違いない。


だが、川上さんは悩みを持っていた。


俺は救いたかった。それだけだった。水底に沈む前に、手を差し伸べたかっただけ。


俺は日の光になりたかった。あの人を照らせる様に。

桜だって、暗闇に居ては目立たない。日の光で照らされるからこそ、目立ち、美しいオーラを放つ。


暗いままは嫌だったんだ。


でも、川上さんは、静かに、水底に沈んでいった。水面に浮く間もなく。


暗闇に迷い込んだ。静寂に包まれた。


桜の花弁は、いつ散るかわからない。だから、照らし合わせたくなかった。さようならも言えずに、急に消えて行っちゃう気がして。


でも、現実は簡単には行かないようだ。さようならも言えないまま散って行った。


今…俺が見ている、桜のように。

この桜の花びらは、花筏になる間もなく、花びらはすぐに水底に沈んでいってしまうようだ。


まるで、あの人みたいに。


川上さんに最後に会った日。まるで、眠り姫のように美しかった。


闇に沈む前に、もっと照らせていれば、何か変わったのかな。

 

そう言いながら、桜の花びらが舞うのと同時に、俺は大粒の涙を流した。

ーFinー

看守達の短編集!

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

54

コメント

4

ユーザー

川上さん…どうしてあんなことを……中島さん…😢

ユーザー

川上さあああん!!なかじまさああん、!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚