ガチャ
「しっつれいしまぁーす…!」
「お邪魔します。」
「あ…は、早かったじゃん、」
俺は砂鉄と鈴木ちゃんを警備室に呼んだ。
トコトコと警備室の階段を降りて、手にコンビニ袋のようなものをぶら下げた鈴木ちゃんと、浮かない顔をしている砂鉄がいた。
鈴木ちゃんは、どことなく子供らしい面が見え隠れしている様に思えた。気の所為だろうか。
「桐山さん、これ、沢山、お世話になったので、お礼と言っちゃァなんですが…受け取ってください!」
デスクに座っている俺に、押し付けるようにして手にぶら下げていたコンビニ袋を渡す。
「お、おぉ、さんきゅ…って、全部酒かよッ!」
袋を覗くと、ワインやらほろ〇いやら、スト〇ングゼロやら、ざっと見て10缶くらいだろうか、そのくらいある様に見えた。
「んー、まぁありがとう…」
「…それで?、今日呼び出したのって、何なんです?」
子供らしい声ではなく、それはいつもの鈴木ちゃんの声だった。
「…それが、…いや、…うん、俺もさ、沢山鈴木ちゃんには迷惑かけたし、その……お礼をッ」
「嘘つかなくていいっすよ、別に(笑)」
「え?」
鈴木ちゃんの目は、鈴木ちゃんの今までの人生を物語っていた。
「いや、桐山さんの事なんで、粗方見当は着いてますよっ、 うーん、まぁそーだなぁ、
「真相で大金稼いで、このクソみたいな人生とは今日でおさらばすんだよ!」
とか言ってたら、騙されちゃって、見事に人生詰みかけ〜ぴえーん、って事でしょう?それと、
「だから鈴木ちゃぁん、いい仕事紹介してくんなァい?」
って、思ってんでしょ、ね?」
冷酷さがより際立つ。
鈴木ちゃんが言った事が的確過ぎて、頭から変な汗が滲み出た。
「あは、す、鈴木ちゃんは凄いな、た、助けて欲しいんだ…」
「助ける筋合い無いっすよね、」
その通りだ。
「でも……ッ」
どうにかしないと…生きていけない
「……ろよッ」
「ん?」
「身体でも売ったらどうですか、簡単に稼げるって言うじゃないですか」
「……ッ!チョモ!お前ッ何言って、いくら残りの人生短いって言ったって、切羽詰まってたって、それは言い過ぎだろう?!」
すかさず砂鉄が言動を否定しようと鈴木ちゃんの肩を掴む。
「……桐山さん、僕が、貴方のしたことを許すと思いますか?」
「……」
あまりの衝撃発言に唖然といていると
「う”ッ……ぁ”、はァ」
地面に倒れ込む鈴木ちゃん。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
「チョモ!しっかり…!」
「く、薬は?!どこにある?鈴木ちゃん!! 」
痛すぎて声に出せないのだろうか、自らの腰辺りをパンパンと叩き、薬の在処を知らせた。
服をめくって鞄の中から錠剤を取りだし、急いで水と共に鈴木ちゃんの手元へ持っていく。
「ふ、ぅ”……あ”ぁ…”“フーッヒュ」
「チョモ!はい!薬!」
ゴクゴクと慌てて薬を飲み込む喉の音が、警備室に響く。
「はーッ…はーッ、フッ…はーッ」
鈴木ちゃんをソファに座らせ、様子を見る。
30分後……
「…ありがとうございました、色々、仕事は自分で探して下さい、便利屋じゃないんで」
砂鉄が鈴木ちゃんの腕を自分の肩に預けて、支えながら話す。
「……ふぅ、それと、もう会うのはこれが最後ですから、ね、」
何やら意味深なことを言う鈴木ちゃん。
「それって、どう言う……」
「僕、あとッ…余命1ヶ月なんすよ、」
俯く。(嘘だろ、そんなに、)
「そーゆー事なんで、もう、連絡とか、寄越さなくていいですからね、僕はもう貴方の連絡先から何から全部消してますけど、」
「!ほんとだ」
急いでスマホの鈴木ちゃん宛の連絡先を全て確認する。鈴木ちゃんの言った通り、全て削除、ブロックさてれいた。
「……警備員さん、お世話になりました」
そう言って、彼らは俺の前から完全に姿を消した。
追いかけた、だが、1度見失ってしまってからは、もう何処にも見当たらない。
車も、ない。
あぁ、これからどうしよ、
ここ数日は、ずっと波乱万丈だったからなぁ、借金か、また増えちゃうな、この仕事ももう時期クビだろうし、どうやって生きよう。
まだ希望はあるかな。
でも今、なんのために生きてるんだ?
あれ、
分からない
あぁ、ここからだったら、死ねるだろうか、
俺はいつの間にか、屋上にまで来ていた。
何もかもが……嫌になった。
どうしたら…
そうだ、楽になろう。そうしよう、
天国…いや、地獄か…
「もういいやぁ、」
…昨日午後7時頃、都内の雑居ビルで、屋上から飛び降りたと見られる警備室勤務の男の遺体が発見されました。警察は、自殺と見て、捜査を続けています……
物語はたった2人の物へ…
(めちゃくちゃだな、おい)
コメント
2件
めっちゃ面白いですね!!面白すぎて一気見しちゃいました!! 続き気になります!!これからどんな展開になっていくんでしょうね #真相をお話しますって映画館で見た時面白くて最高に怖かったですw 関係ない話になってすいません💦!続き楽しみにしてます!