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『何時迄も』
恵side
起きた瞬間から感じるのは、頭痛と重怠さ。これは、風邪を引いたかも知れない。思い当たる節は…。昨日の出かけた帰り、傘を持ってない少年に傘をあげて、自分はびしょ濡れで帰ってきたことだろうか。そして、疲労で免疫が弱って…。というところか。よりによって、貴重な休み。先生に稽古をつけてもらおうと思っていたのに。本当についてない。それでも、稽古をつけてもらいたい俺は、先生に「今日稽古お願いします」とLINEを送った。すると、意外に速く「了解。お昼過ぎから始めるよ。」というメッセージが届いた。それまで、少しでも良くなるように寝ておこうと思い眠りについた。
五条side
遅い。お昼過ぎで伝わらなかった??そんな事無いはず。僕らの中でお昼過ぎと言ったら、13時30分頃なのだ。いつも時間より5分以上早く着いて待っているのに、もう13時45分を過ぎようとしている。流石に心配になってきて、恵の部屋に行こうと思った時慌てた様子で、走ってきた。
恵「すいません。遅れました。」
これは…。寝てたな。はぁ少し溜息を零してから、
五「恵遅い。稽古つけて欲しいって言ったの恵でしょ?」
と呆れたよう言ってしまう。自然と出てきてしまうのだ。
恵「ごめんなさi」
五「もう良いから始めるよ。」
謝る恵の言葉を遮る。
恵「…お願いします。」
20分位経った頃恵が疲れてきたのがわかった。
五「はい。一回止め、何?恵、やる気ない?もう止める?」
恵「まだっできます。」
本人の限界まで、恵が言ってくれるまで止めない。僕は、そう決めた。理由は、体調が悪いのに隠そうとする、恵の癖。恋人の僕にも何も言ってこない。この癖をやめさせようと思ったから。
恵side
やばい。これは、流石にやばい。吐き気も加わってくる。でも、五条さんに迷惑。少したつとそんな事言っている余裕も無くなってきた。
恵「ごじょっせ、せハァ」
その一言で攻撃がピタッと止まる。
五「どうしたの」
そう言った。怒りを含んだ声で。
恵「あ、のトイレ、行ってもハァハァい、ですか。」
五「なんかあった?いつもトイレなんて行かないじゃん。ま、良いけど。」
そんなの、行くなって言っているようにしか聞こえない。
五「…恵。今日なんなの?いっつも弱ちぃけどさ、いつもはこんなボロッボロになってないじゃん。こうやって、どんどん悠二と野薔薇に置いてかれるよ。」
俺を、使い物にならないと言っているのだ。ここに行ちゃダメだ。五条先生の側に俺のいる価値なんて、ないんだ。
恵「…今日はっちょっとハァあたま、ひやっしとき、んぁますっ」
本当は、体調が悪いと言おうと思ってたのだ。でも、こんな状況で言えるわけがない。そんな事を思い回れる右をする。
五「は?まって、お前なんかないの?」
なんかってなんだよ。
恵「なんもっない、す…っ」
なんとかそれだけ言い自分の部屋に向かう。通常なら、1,2分しか、かからない所まで、10分以上もかかった。部屋に入って一番にトイレに駆け込む。
恵「うぇっゲホ、んぇゲホゲホ、ゼェーハッうっ、んうぇ」
暫くして落着くと、五条先生の言葉を思い出し涙が頬を伝う。その時ギィと、扉が開いた。
五条side
はぁーなんで最後まで言わないのかな。恵の薬などを取りに硝子の元へ向かう。
五「…ってことがあってさ。」
僕は、今までの事を全部話した。
硝「あのなぁ。あの子がそういう事言うの苦手ってお前が一番知ってるだろ?」
五「でも、自分の事くらい自分で言えるようにしないと。」
硝子に半分叱られ、言い訳のような物を口にすると、はぁーーー。と、聞いたことない位に長い溜息を吐かれた。そして僕に看病セットを突きつけてこう言った。
硝「伏黒に土下座して謝れ。」
急いで恵の部屋へ向かう。
五「めーぐみー。ごめんね。強く言いすぎたね。」
ってか、開けても良いよね。僕がドアを開けて目に映ったのは、独りで泣きじゃくる恵の姿。
五「めぐ‼︎独りにしてごめん‼︎めぐ‼︎」
折角、硝子に貰った看病セットを投げ捨て、恵に駆け寄る。
恵「さっとうっあさっ、んっハァケホ、さ、どるざっフッあ、」
五「うん。悟さんだよ。恵の悟さん。ね、落ち着こ?ほら、もう大丈夫。僕が来たから。熱上がっちゃうからね?」
悟さん呼びなんていつぶりだろう。中学に上がると同時に呼ばれなくなったその名前。十数分ほど経った頃、やっと涙が止まってきた。
五「落ち着いた?」
恵「…はい。」
さっきのが嘘かのように、静かになってしまった。
五「めぐ?」
ビクッと大袈裟なほどに、肩が跳ねる。
五「お熱測ろ?」
コクっ。こんなにされるがままの恵は、久しぶりだ。ピピピッ。
五「お、鳴ったね、39.5。ごめんね。無理させて。もしかしてだけど、吐いちゃた?」
恵「…はい。少しだけ。でも俺、の体調管理ができて無かっただけなのでハァ」
何故この子は、人を優先するんだか。
五「恵ごめん。我慢させてごめん。いつもキツい言葉ばっかり言ってごめん。ね、何して欲しい?お願いなんでも聞いてあげる。」
とびきり優しい声で。もう我慢なんてしないように。すると、また恵の目から涙が溢れてきた。
恵「すて、ないで、くださいっズビッ」
五「うん。ごめん。」
恵「おいてかれっるなんて、いわないっで。」
五「うん。二度と言わない。」
恵「ギュってし、てもうあぅっいたどりたっちとくらべっな、で」
五「ん。ギュー。ごめんね。も、泣かないで。」
ああ。僕まで泣いちゃいそう。
五「もう寝よっか?早く良くなるようにね。」
恵「はぃっ…」
恵が寝た後、熱さまシートを張り替えたり、服を着替えさせたりしていた。するとどうだ。次の日には、すっかり治っている。
恵side
恵「んっ、んぁ?」
五「お?恵起きた?」
恵「はい…。あの、昨日、」
全て覚えていて恥ずかしくなる。
五「ああ、あれは良いよ。僕が全部悪いし。」
でも…
五「謝んないで。今日は、ゆっくり休も。」
恵「悟さんは?」
心配になり一応聞いてみる。
五「ずっーと一緒。悟さんとね。」
恵「あ、」
悟さんを強調されて思い出す。
五「ねー。もっかい悟さんって言って‼︎」
恵「イヤです。」
五「一回。一回で良いから。」
恵「もう寝ますよ。」
暫くの間俺と五条先生でこのやり取りが続いた。