TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

貴方には 。

一覧ページ

「貴方には 。」のメインビジュアル

貴方には 。

1 - 捨てたりしない 。

♥

1,252

2024年02月25日

シェアするシェアする
報告する

              『何時迄も』

恵side

起きた瞬間から感じるのは、頭痛と重怠さ。これは、風邪を引いたかも知れない。思い当たる節は…。昨日の出かけた帰り、傘を持ってない少年に傘をあげて、自分はびしょ濡れで帰ってきたことだろうか。そして、疲労で免疫が弱って…。というところか。よりによって、貴重な休み。先生に稽古をつけてもらおうと思っていたのに。本当についてない。それでも、稽古をつけてもらいたい俺は、先生に「今日稽古お願いします」とLINEを送った。すると、意外に速く「了解。お昼過ぎから始めるよ。」というメッセージが届いた。それまで、少しでも良くなるように寝ておこうと思い眠りについた。

五条side

遅い。お昼過ぎで伝わらなかった??そんな事無いはず。僕らの中でお昼過ぎと言ったら、13時30分頃なのだ。いつも時間より5分以上早く着いて待っているのに、もう13時45分を過ぎようとしている。流石に心配になってきて、恵の部屋に行こうと思った時慌てた様子で、走ってきた。

恵「すいません。遅れました。」

これは…。寝てたな。はぁ少し溜息を零してから、

五「恵遅い。稽古つけて欲しいって言ったの恵でしょ?」

と呆れたよう言ってしまう。自然と出てきてしまうのだ。

恵「ごめんなさi」

五「もう良いから始めるよ。」

謝る恵の言葉を遮る。

恵「…お願いします。」

20分位経った頃恵が疲れてきたのがわかった。

五「はい。一回止め、何?恵、やる気ない?もう止める?」

恵「まだっできます。」

本人の限界まで、恵が言ってくれるまで止めない。僕は、そう決めた。理由は、体調が悪いのに隠そうとする、恵の癖。恋人の僕にも何も言ってこない。この癖をやめさせようと思ったから。

恵side

やばい。これは、流石にやばい。吐き気も加わってくる。でも、五条さんに迷惑。少したつとそんな事言っている余裕も無くなってきた。

恵「ごじょっせ、せハァ」

その一言で攻撃がピタッと止まる。

五「どうしたの」

そう言った。怒りを含んだ声で。

恵「あ、のトイレ、行ってもハァハァい、ですか。」

五「なんかあった?いつもトイレなんて行かないじゃん。ま、良いけど。」

そんなの、行くなって言っているようにしか聞こえない。

五「…恵。今日なんなの?いっつも弱ちぃけどさ、いつもはこんなボロッボロになってないじゃん。こうやって、どんどん悠二と野薔薇に置いてかれるよ。」

俺を、使い物にならないと言っているのだ。ここに行ちゃダメだ。五条先生の側に俺のいる価値なんて、ないんだ。

恵「…今日はっちょっとハァあたま、ひやっしとき、んぁますっ」

本当は、体調が悪いと言おうと思ってたのだ。でも、こんな状況で言えるわけがない。そんな事を思い回れる右をする。

五「は?まって、お前なんかないの?」

なんかってなんだよ。

恵「なんもっない、す…っ」

なんとかそれだけ言い自分の部屋に向かう。通常なら、1,2分しか、かからない所まで、10分以上もかかった。部屋に入って一番にトイレに駆け込む。

恵「うぇっゲホ、んぇゲホゲホ、ゼェーハッうっ、んうぇ」

暫くして落着くと、五条先生の言葉を思い出し涙が頬を伝う。その時ギィと、扉が開いた。

五条side

はぁーなんで最後まで言わないのかな。恵の薬などを取りに硝子の元へ向かう。

五「…ってことがあってさ。」

僕は、今までの事を全部話した。

硝「あのなぁ。あの子がそういう事言うの苦手ってお前が一番知ってるだろ?」

五「でも、自分の事くらい自分で言えるようにしないと。」

硝子に半分叱られ、言い訳のような物を口にすると、はぁーーー。と、聞いたことない位に長い溜息を吐かれた。そして僕に看病セットを突きつけてこう言った。

硝「伏黒に土下座して謝れ。」

急いで恵の部屋へ向かう。

五「めーぐみー。ごめんね。強く言いすぎたね。」

ってか、開けても良いよね。僕がドアを開けて目に映ったのは、独りで泣きじゃくる恵の姿。

五「めぐ‼︎独りにしてごめん‼︎めぐ‼︎」

折角、硝子に貰った看病セットを投げ捨て、恵に駆け寄る。

恵「さっとうっあさっ、んっハァケホ、さ、どるざっフッあ、」

五「うん。悟さんだよ。恵の悟さん。ね、落ち着こ?ほら、もう大丈夫。僕が来たから。熱上がっちゃうからね?」

悟さん呼びなんていつぶりだろう。中学に上がると同時に呼ばれなくなったその名前。十数分ほど経った頃、やっと涙が止まってきた。

五「落ち着いた?」

恵「…はい。」

さっきのが嘘かのように、静かになってしまった。

五「めぐ?」

ビクッと大袈裟なほどに、肩が跳ねる。

五「お熱測ろ?」

コクっ。こんなにされるがままの恵は、久しぶりだ。ピピピッ。

五「お、鳴ったね、39.5。ごめんね。無理させて。もしかしてだけど、吐いちゃた?」

恵「…はい。少しだけ。でも俺、の体調管理ができて無かっただけなのでハァ」

何故この子は、人を優先するんだか。

五「恵ごめん。我慢させてごめん。いつもキツい言葉ばっかり言ってごめん。ね、何して欲しい?お願いなんでも聞いてあげる。」

とびきり優しい声で。もう我慢なんてしないように。すると、また恵の目から涙が溢れてきた。

恵「すて、ないで、くださいっズビッ」

五「うん。ごめん。」

恵「おいてかれっるなんて、いわないっで。」

五「うん。二度と言わない。」

恵「ギュってし、てもうあぅっいたどりたっちとくらべっな、で」

五「ん。ギュー。ごめんね。も、泣かないで。」

ああ。僕まで泣いちゃいそう。

五「もう寝よっか?早く良くなるようにね。」

恵「はぃっ…」

恵が寝た後、熱さまシートを張り替えたり、服を着替えさせたりしていた。するとどうだ。次の日には、すっかり治っている。

恵side

恵「んっ、んぁ?」

五「お?恵起きた?」

恵「はい…。あの、昨日、」

全て覚えていて恥ずかしくなる。

五「ああ、あれは良いよ。僕が全部悪いし。」

でも…

五「謝んないで。今日は、ゆっくり休も。」

恵「悟さんは?」

心配になり一応聞いてみる。

五「ずっーと一緒。悟さんとね。」

恵「あ、」

悟さんを強調されて思い出す。

五「ねー。もっかい悟さんって言って‼︎」

恵「イヤです。」

五「一回。一回で良いから。」

恵「もう寝ますよ。」

暫くの間俺と五条先生でこのやり取りが続いた。




この作品はいかがでしたか?

1,252

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚