吉田隆文。俺の5つ年上の兄貴。
頭が良くて明るくて、誰にでも優しい人気者だった。
思い出すのは、今から28年も前のこと。
「裕孝っ、お前なぁ…どうすんだ、犬なんか拾ってきて…」
「だ、だって…こんなに小さいのに。かわいそうだ」
「母犬はそばにいなかったのか?」
「…1時間待ったけど、大人の犬は来なかったよ」
俺の腕に抱えられた、茶色い仔犬。泥だらけでみすぼらしい雑種犬。下校時に毎回通っていた土手の茂みの中で悲しそうに鳴いていた、親のいない哀れな子。
母犬は子供を置いて行ってしまったのか、それともこの子のための餌を探している最中、どこかで死んでしまったか。とにかく独りぼっちで鳴いていた仔犬を、俺は見捨てることができなかった。
「でも母さん、絶対俺のお願いなんてきいてくれないし…。どうしよう、兄ちゃん」**************
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