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大学1年・2月28日。
「仁ちゃん!誕生日おめでとう!」
「ありがとう!まだ18歳だけどね」
「ややこし〜」笑う友達。「はいプレゼント」
「ありがとう!」
夜。
一人。
「……。」
日付が変わる。
3月1日。
携帯の日付を見て、
「……過ぎた。」
「19歳になったんやな。」
「今年も29日は来んかったな。」
「……来年は20なのに、まだ誰とも会われん」
「ほんまに大学卒業までに殺してもらえるひとと会えるんやろか」
「そのためだけに東京来たのに」
「………」「………」「………。」
「……数え歳やったら20やけん。」
「いや、まあ……ギリセーフやろ」
「今日から探して…ほんまに20歳になったら殺してもらおう」
「……。」
検索窓。「メッセージ やりとり」
検索。
「チャット」
「掲示板」
「出会い」
いっぱい出る。
仁義
「えっ。」
「出会い系……。」
「いやいやいや。」
戻る。
今度は「友達 メッセージ」
検索。
また迷う。
「……。」
「どこに書き込みしたらええんやろ。」
さらに悩んで、
一番上に出てきたメッセージサイト『Oteg@mi(オテガミ)』を押す。
「新規登録」
メールアドレス
「……。」
「メールアドレスって……なんやっけ。」
財布から学生証を出す。
「これか?」
違う。
「…あ、携帯のでええんか。」
ようやく入力。
次。
アカウント名
「アカウント……?」
次。
ハンドルネーム
「ハンドル……?」
「車……?」
検索。
ハンドルネーム とは
「名前でええんかな。」
「いや本名いかんのか。」
「……。」
時計。
2:14
3:48
4:55
窓の外が明るくなり始める。
「……。」
「まだ登録終わらん。」
「やっと登録できた…。」「よし…。」
ぎこちなくキーボードを叩く。
『変なこと書くけど⋯死にたいというより、きれいな人に絞め殺されたいと思うことがある。でも、本気なんだ。』
送信。
数分後。
大学用のパソコンを前に、
通知音が鳴るたび
「!!」
ってなる。
一件目。「釣り乙」
ガッカリ。
二件目。「きっしょ」
さらにガッカリ。
三件目。「厨二?」
ますますもってガッカリ。
通知が静かになる。
数分後。また通知。
恐る恐る開く。
りっちー
「変わってるね。」
仁義
「……。」
「やっぱり変なんや。」「アカウント消すか。」
と思いながら、スクロール。
りっちー
「でも、」
「そう思う理由はあるんでしょ。」
スガシカオ『19才』。
コメント
1件
ああ、読んでて胸がぎゅっとなりました……。誕生日の夜に一人で「♡♡♡てもらえる人」を探すって、その言葉の重さと軽さのバランスがすごく生々しくて。仁義くんの「変なんや」って自己否定しながらも、りっちーさんの「そう思う理由はあるんでしょ」にちゃんと反応しちゃうところ、人間らしくて好きです。えぬたさん、繊細な心情の描き方、本当にうまいですね。次が気になります🌷