★ Ohmori Motoki side
「ご゛ほ…っ、ぉ゛え…”っ、」
食べないと
食べないと
「っ゛ごぇ”…っ、ぅ”っ…゛…」
食べろ
吐くな
食べないと
たべないと
「がは゛…っ、ぇ゛…”」
★ Wakai Hiloto side
「もーとーきーっ」
レコーディング終わり、元貴に話しかける
細かったから大丈夫かなとか、ご飯ちゃんと食べてる?とか
お母さんみたいなことを聞くのは勘弁だが
聞くしかない。
『なに?』
「…あのさ」
「さっき抱きついたじゃん?」
ああ、はい…と明らかに嫌そうな顔をする元貴
ごめんって……と心の中で謝る。
だが本題はそこじゃない。 ちゃんと聞かないと。
「…体、めっちゃ細くてさ」
「痩せた?」
目を見開いて、きょろきょろと目線を逸らす元貴。
多分、めちゃくちゃ痩せてるんだろう。
本当分かりやすい……
『…いや?そんなに』
返ってきた答えは想像通り。
ああまた無理しようとしてるんだなあと思った。
フェーズ1の終わりあたり。
メンバーに迷惑をかけまいと、誰よりも忙しいのにとにかく無理をし続けていた元貴。
結局頭がパンクしてしまって、 元貴の体調もそうだけどそれぞれのやりたいことも大切にしよう、となって フェーズ1は終わった。
「…そう?」
なら良かった〜と言ってくるんと踵を返す
絶対に元貴が痩せてないわけが無い。あんなに細い体は初めてだと思う。
それくらいに痩せこけている。それに頬もうっすらと骨が見え出している。
今のはただの確認…みたいなの。
元貴が体調を崩してなければいいんだけどな…
そう願いながら、電話でタクシーを呼ぶ
数分後に着くとの事だった為、レコーディング部屋のソファに腰掛ける
すると、珈琲を片手に持っている涼ちゃんが入ってくる。
『若井今日タクシー?』
そうだよ、と言えば僕も一緒乗っていい?と聞いてくる
何故か聞けば、「話したいことがある」ということだった。
告白?なんて茶化せば、ちがう!!と必死に否定してくる涼ちゃん
なんのことだろうか。レコーディングのこと?今回の曲のこと?
あるいは………
「いいよ。」
まあ涼ちゃんが来て困ることは無いか。と思い許可する
元貴は一足先に電車で帰り、サポメン二人も帰った。
そのため、レコーディングスタジオには俺と涼ちゃん、そして数十人のスタッフしか残っていない。
涼ちゃんと一緒にスタジオの前まで移動し、タクシーを待つ。
タクシーを待つ間、涼ちゃんとは一言も話さなかった。
だが人々の喧騒のおかげなのか、それとも長年の空気感がそうさせているのか。少しも気まずくはなかった。
タクシーが着き、涼ちゃんを先に乗せて俺が乗る。
涼ちゃんの家の方が速く着くのは分かっているので、行き先を涼ちゃんの家に指定する。
タクシーが動き出す。ラブラブなカップルが腕を組んで歩いていたり、
酔っ払っているであろう男がふらふらしながら歩いていたり。
東京の街は騒がしく、それでいて落ち着く雰囲気だった
「…ていうか、話って?」
『………元貴のこと』
やはりそうだった。
元貴のことについて、涼ちゃんも勘づいているのだろうか?
『元貴さ、隈すごいんだよ。ずっと酷くなってる気がする』
確かに…と頷く。
元貴の隈はだんだん酷くなってきていて、コスメのポーチにコンシーラーが何種類も入っていたし、 メイクさんに「目元を濃くして欲しい」と頼んでいた。
やっぱり、元貴は何かを隠していそうだなあ
「俺が、支えてあげたい」
『…うん、僕も一緒。』
元貴って溜め込んじゃうからね〜と話す涼ちゃん
ふわふわとした口調で言っているが、窓の反射から見える表情は真剣そのもので
最年長としての威厳を感じられた。
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