テラーノベル
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果てのない闇。
光太郎は、黒い霧に閉ざされた静かな空間に立っていた。
目の前には、もう一人の自分。
「お前は誰も救えなかった。」
「だから、そのまま眠れ。」
黒い光太郎は静かに微笑む。
その言葉は責めるでもなく、ただ事実を告げるようだった。
光太郎は目を伏せる。
光太郎;……そうかもしれない
その瞬間、足元の闇がさらに深く広がっていく。
-–
一方、心平は侵蝕者の結界を破ろうと必死に戦っていた。
心平;返してください!
刃を振るっても、銃弾だとしても、霧は形を変えて道を塞ぐ。
侵蝕者の声が響く。
「お前が見ている光太郎は、本物ではない。」
「お前の願いが作り出した幻想だ。」
心平は息を整え、静かに答えた。
心平;そうじゃない
心平;オイラは、弱さも迷いも全部知った上で、あの人を信じている
その言葉とともに、武器が淡く輝き始める。
黒い結界に、一筋の亀裂が走った。
-–
闇の中。
光太郎の前に、小さな光が現れる。
心平;光太郎先生!
聞き慣れた声。
心平;迎えに来ました
心平だった。
結界を越え、ようやくその場所へたどり着いたのだ。
光太郎;……どうして
光太郎は驚いた表情を浮かべる。
光太郎;僕は、君を何度も遠ざけた
光太郎;それでも来るのかい
心平は少し笑った。
心平;何度遠ざけられても、オイラの師であり友であることは変わりません
心平;だから迎えに来ました
その一言で、光太郎の表情がわずかに崩れる。
黒い霧は二人の間に割って入り、最後の幻を見せる。
互いに手を伸ばしても、届かない幻影。
信じ合っているはずなのに、届かない言葉。
闇はささやく。
「その想いは偽物だ。」
「お前たちの絆など、幻想にすぎない。」
心平は首を横に振った。
心平;違う
心平;オイラたちは完璧じゃない
心平;迷うことも、傷つくこともある
心平;でも、それでも一緒に前へ進むと決めたんです
光太郎も静かにうなずく。
光太郎;……ようやく分かった
光太郎;過去は消えない
光太郎;罪も消えない
光太郎;それでも、生きて言葉を紡ぐことはできる
その瞬間、二人の足元から白い光があふれ出した。
黒い霧は悲鳴を上げながら崩れていく。
「なぜだ……!」
「なぜ、お前たちは闇を拒める!」
光太郎はまっすぐ侵蝕者を見据えた。
光太郎;闇があるからこそ、人は光を探そうとする
光太郎;それを教えてくれたのは──
彼は心平の方を見る。
心平は照れくさそうに笑い返した。
心平;帰りましょう、光太郎先生
光太郎;ああ
二人が並んで一歩を踏み出すと、闇は音もなく消え去った。
-–
図書館。
目を覚ました二人を、司書や仲間たちが迎える。
司書;お帰りなさい
光太郎は窓の外へ目を向ける。
夜明けの光が、図書館を静かに照らしていた。
光太郎;……ありがとう
その言葉に、心平は少し驚いたあと、穏やかに笑う。
心平;こちらこそ
二人は並んで朝焼けを見つめる。
もう黒い霧はない。
互いの歩幅を合わせながら、二人は静かに図書館の中へ戻っていった。
―完―
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