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第一話 天の助戦いの始まり
世界は、再び危機に瀕していた。
ツル・ツルリーナ7世が作り上げた謎の組織――新毛狩り隊。
奴らは各地で容赦なく“毛”を一掃し、文明そのものを破壊していった。
焦げた瓦礫の中に、ひとりの少女が立ち尽くしていた。
名は――テリ。
「……この世界、どうなっちゃうの……」
故郷を失った彼女に残されたのは、途方もない絶望だけだった。
そのとき――
「う、うぉぉぉぉぉぉん!!! 誰かぁぁぁぁ!!!」
とつぜん、地響きのような泣き声が響く。
「え? なに、このうるさいの……」
テリが声のする方へ向かうと――そこには、
ところ天の助が地面を転げ回りながら大泣きしていた。
「うわああああ!! 食べてくれよぉぉぉ!!!」
テリ「は!? いきなり何言ってんの!? ていうか誰!?」
天の助はテリにしがみつきながら、涙と鼻水を垂らして叫ぶ。
「頼むよぉ! さっきの奴なんか、
『今日の気分じゃねぇ』って言って俺を食べてくれなかったんだぁ!!!」
テリ「いや理由おかしいでしょ!! 何その断られ方!!」
意味不明すぎる状況にテリは完全に困惑したが――
天の助「おねがいっっ!! ちょっとでいいから!!」
テリ「……わ、わかった! 食べるから!!! だから泣き止んで!!」
半ば勢いで、テリは天の助をひとかじりした。
「……ん? うっ……!」
天の助「ど、どうした!? まさか毒が!?」
テリ「おいしい!!」
天の助「え?」
その瞬間、天の助は固まった。
そして――
「……うっ……うぇぇぇん!! 生まれて初めて……おいしいって言われたぁぁぁ!!!」
号泣する天の助。
テリは、食感の柔らかさより天の助の心の柔らかさの方に驚いていた。
しかし、平穏は長く続かない。
「おい! あそこにまだ毛のある奴がいるぞ!」
「新毛狩り隊Oブロック所属! ターゲット発見!!」
武装した隊員が現れる。
テリ「また来た!?」
天の助の涙はピタリと止まり、妙にキリッとした表情に変わった。
「……プルプル真拳奥義!」
隊員「な、なんだ!?」
天の助「――ところ天おいしいよね!!!」
(※何がどう奥義なのかは誰にも分からない)
次の瞬間、隊員たちは謎の弾力に包まれ、吹っ飛んでいった!
「くっそ! 覚えていやがれ!!」
敵は逃げるように去っていく。
テリ(す、すごい……あの新毛狩り隊をこんなあっさり……
もしかしたら……彼なら……)
意を決したように、彼女は天の助に言った。
「天の助さん……!」
「ん?」
テリは勢いよく地面に正座し、そのまま土下座した。
「お願いです! お供させてください!
理由はいえませんが……あなたと一緒に旅がしたいんです!」
天の助「……好きにしろよ……」
テリ「いいんですか!?」
天の助「……むにゃ……」
テリ「寝言だったの!!?」
だが、天の助は寝言でも約束は守る男(?)だった。
こうして――
ツッコミ役のテリと、ところ天ボディの奇人・天の助の旅が始まった。