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夜も深まり、特有の静けさが辺りを包む
それに伴い、辺りは太陽の光を忘れ、暗闇に包まれていく様が見て取れた。
そんな中、太陽を催した月がそんな街中に光を射す。
陽光より控えめな月光が、灯りとなり、遠く掛け離れた場所から光を受けた街中は、その光を反射して また違うように輝き始めて 街灯は闇を照らすようにして、自分を強く主張していた。
それでも正午よりは控えめであり、
比較しては、今が微かな光であると思える。
皆 寝静まった頃には午前程の騒がしさは無く、心地好いとも捉える人は少数か大数か居るだろう。
時折 風が窓の隙間から溢れて流れ込む 隙間風の音を片耳にし、窓辺に佇む彼もまた、皆とは相反して未だ眠りにつく事無く夜景の行方を眺めていた。
就寝前だから と、普段の三つ編みが解かれた後ろ髪は、元々の癖を創りながら、艶めかしく畝っている。
遺伝である天然のブロンドヘアーは、月光を受け、金があたかも黄金のように光っている。
言葉だけではそう変わらないものだろう。それでも、どこか本物に見える。
『羨ましい』『妬ましい』なんて感じる以前に、口から『美しい』と言葉が漏れそうな程に、眩い輝きを放って、輝きを忘れられないままでいて
認めざるを得ない。
その言葉が的確だろう。
窓辺で静かに光を受ける彼の様子は、 とても、
言葉に表せられない程 神秘的 で
まるで時が止まっているかのようだった。
☆
目を瞑り、無言で光を浴びるジョルノの様子は、『心地良さそう』とも捉えられる。
他とはまた同じ様で違う、異次元の輝きを持つ彼は、その美しさなんて気にも留めず、只々一言も言葉を発さずに、夜の街に溶けるよう 静かに
それでも確かに、
意図していなくとも、存在が主張され、
そこに居た。
そんな彼と同様に、夜中眠る事無く起きて居た者が、光を真に受ける彼を傍から見つめる。
『グイード・ミスタ』
彼もまた、無意識でも意図的でも、ジョルノへと目を惹き込まれては、じっと目線を送る。
たかが気分転換程度、ほんの気まぐれの行動、いつもとは少し道を外れたく、いわば夜中『寝床に就く』というちょっとした事を逸れてみた。
したらば、新しい彼の一面を見て、同じチームであるのに、未だ知らない事ばかりだと気付かされる結果となり、少し興味が湧き、その様子を淡々と眺める事にして
ジョルノとは少し距離の置いてあるソファへと腰掛けては、呆然としたままの表情でジョルノを見つめる。
(アイツ……いつ見ても不思議なヤツだよな。
なんつーか、何考えてるのかわかんねえし。)
なんて 心の中に独り言を抑えては、暫く無言のまま、月光を注がれ続けるジョルノの後姿を見つめる。
(でもなんか、目を引くんだよなあ。)
月光を反射しているはずなのに、それを背景にする程魅力的で、神秘的な彼は、月と互角、またはそれ以上な程に光を持って輝く。そんな幻想的な様子に、思わず息を呑んでは、そんな自分を茶化す様に、1度深く溜息を吐く。
「なんか、こんな事で関心するなんて俺らしくねぇな。…なんて、そんな事言っても俺は俺なんだけど よ。 」
「…お前、どこまで俺を驚かせる気だよ」
口に出して呟いたものの、少し距離を置いているせいか、ジョルノはミスタの言葉に気付く事無く、未だ静かに、光に包まれていた。
そんな様子から、どこか声を掛けるのは気が引けて、独り言ばかりを零す。
「やっぱなんか、コイツって特別な何かを持ってんだよな」
極 当たり前の事を口に出した様な気がしたが、それでも皆が1人ずつ個性のある人だとしても、彼はその中でも一際輝く人なのだろうと安易に想像出来てしまった
どこまで 完璧なのか
計り知れない
「ミスタ、こんな夜遅くに、何してるんですか。」
そんな事を頭の中で考えていると、いつの間にかこちらへと振り返っていたジョルノは、ミスタの存在に気付き、声を掛けられた。
こちらへ体を向け、顔に影ができる様ですら美しいと感じ取れてしまう程、綺麗な顔立ち、髪の毛、睫毛、柳眉、何もかもを見透かすような瞳。
一つ一つが繊細で、丁寧に掘られた彫刻の様だ。もしこんな彫刻があるならば、100億リラよりも価値があるだろう。
声を掛けられた瞬間、1度 目を見開いた後、表情に笑みを浮かべては、重く腰掛けていたソファから立ち上がり、友好的に貴方に歩み寄る
「よォ、ジョルノ。何となく起きてたら、オマエがこんな所で月光浴びてたからよ、少し気になって見てたんだよ。」
初めて見る1面だったしな。と 更に付け足せば、愛想良くにこっと笑う。
「…別に変な意味じゃねーけど、お前の髪、月の光に照らされて、すげー綺麗だなって」
その言葉を聞けば、ジョルノは少し驚いた表情をした後、控えめに目を細めては微笑んで見せて、素直に礼を言う。
「Grazie ミスタ。」
「Prego ジョルノ。俺は別に礼が言われたかった訳じゃあねーけど、さっきの言葉は本心だぜ。」
「分かっていますよ、だからこそ礼を述べたんだ。」
少し照れくさそうなミスタを横目に、余裕ありげに「ふふ」と声を出し、それでも丁寧な様で微笑むジョルノは、どこからどこまでもが作り物のように見え
「………お前本当に人間なの?」
ふと口から漏れた言葉
それにジョルノが反応すれば、驚いた表情を見せ、次には真剣に、考え込む様な表情に変わった。
どうやら言葉を真に受けているようで、答えを探そうとしているらしい。
過去の言葉を後悔し、
『変な事を聞いてしまった。』と
思うより先、ジョルノがゆっくりと口を開き 、
質問の答えを返した。
「アンタが、僕の事をどう思ってるか次第 かな。」
答えが返ってくるとは思ってもみなかった彼にとって衝撃的であり、理解するのに時間を要したが、
返答を返してくれたからには、自身も真に受け、先程より深くその事について考え始める。
『どう思ってるか。』確かに人間では無い様に見えた。
あまりの美しさに、錯覚を起こしているんだろうと頭の端では理解出来るものの、もう片隅では、彼が人間だと補正している。
結局はどうも変な気持ちだが、その間にも、また窓の方へ目線を向け、横顔を晒しているジョルノを見ては、考えを放棄し、貴方の傍に立ったまま、同じ様に窓の外の景色を見た。
真夜中 故にまだ暗がりも多い。それでも、一際輝く貴方がどうも世界を照らしているようで、ずっと その光を追い求めていかった。
「やっぱオマエ、人間だわ。 」
「……へえ」
陽気にそう言ったミスタを一瞥すれば、頬を緩め、素っ気なくもある返事だけを返した。
たった二文字の返答に嫌気はせず、相手の様子を読み取ったミスタは、また口を開く
「夜って大体寝るモンだと思ってたけどよ、オマエとこうして話すのも悪くねーわ。」
互いに柔らかに微笑んだまま、それでもどこか離れていて、でも傍に居て、と矛盾したような気の中、貴方の暖かさが心に染み込んで、忘れられない思い出になろう と、 この事をそれぞれが色々な思いを胸に、忘れられないように、その刹那を大切に心へと刻み
ジョルノにとって、この時間はいつも1人で見ていた景色だったのに、2人で見る景色はまた見え方が違う気がして、いつもとは違う孤独感の埋もれる感覚に、『これも悪くないな』と心の中で自己完結しては、少し間を置いて、
ミスタの言葉にジョルノは、
「ええ、僕も悪くない。 」
と、言葉を零した。