…家に帰ってから、俺は何をしてたのかあまり覚えてない。
いつもみたいにご飯食べて、風呂に入って、布団に潜った…でもその時でも頭の中はリトさんのことばっかりで、何を話したかなんて忘れた。
「…ず、ずっと頭に残ってる…。あの人、学年どこなんだろ……」
朝の教室、自分の席に座りながら頭を抱える。ぶつぶつと小声で何度も同じ言葉を繰り返す。何年なんだろう、カッコ良かった…そればかり繰り返してた。
午前の授業が終わると、昼休みの時間の間に、クラスの人や同学年の人達にリトさんの特徴を伝えて何年生なのかを聞いて回った。…聞く相手は、割と限られてたけど……。
2人くらい、リトさんのことを知ってたみたいで、学年とクラスを聞くことができた。
「3年…ありがとう!本当に助かった…!!」
俺はその人達に感謝を伝えた、そして急いで3年校舎に向かった。
リト先輩…リト先輩だ。俺は緊張しつつも、また会えるのが嬉しくて、口角がずっと上がったままだった。
そして、リト先輩がいるクラスまで辿り着いた。3年校舎は…明らかに空気感が違った……。正直、何も包み隠さず言うと、めちゃくちゃ怖い…!!!!
恐る恐る教室の中を覗いてみる。友達と楽しそうに話してるリト先輩がチラッと見えた。リト先輩の声は、他の先輩たちの声よりハッキリしてて、聞きやすくて…耳に残る。
「ねね、君もしかして誰かに用事?」
「うぇっ…!?あ、ぇ、は、はい…!!」
クラスの人が俺に声をかけてくれた、俺はすごくホッとした…お礼だけ伝えて帰る!!これは今の俺の目標だ。
「あ、あの……宇佐美リト、先輩……を…。」
「あーリトくんね!おーい、リトくーん!!呼ばれてるよ〜」
その人がリト先輩を呼んでくれた。俺は何故か焦って、少しだけ前髪をいじった。
「おー?今行くー!!…って、あ!!昨日の子じゃん!!!」
「!!…お、覚えて、くれて……っじゃなくて!!!」
俺のことを覚えていてくれた、嬉しくて声が大きくなってしまって…少し恥ずかしかった……。
本題に戻し、俺はリト先輩に感謝を伝えた。
「昨日は、ありがとうございました…!!」
「えぇ!?態々お礼言いに来てくれたの!?良い子だなぁ!?」
リト先輩は、少しオーバーなリアクションでそう言ってた。
「アハハ!!ここにまで来てくれてマジでサンキュな!!ここじゃ声聞き取りづらいだろうし、もう少し静かなとこ行くか!!」
「えっ、そんな!!気を遣って頂かなくても…!!!」
「いーのいーの!!俺もまだ話したいことあるからさ?」
断る事なんてできなくて、俺はリト先輩についていくことにした。
この時の俺は、とても恵まれていた気がする。
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usmの優しさが溢れてる...