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寮の一室。
ベッドの上では
緑谷出久 が苦しそうに呼吸していた。
「……っ」
額には汗。
呼吸は速く、浅い。
そばに立つのは担任の
相澤消太。
「緑谷、聞こえるか」
声をかけても、焦点の合わない目が揺れるだけだった。
「……ぼくは……」
かすれた声。
「無個性……」
相澤は小さく息を吐く。
(精神的にかなり追い詰められてるな)
その時――
ドンッ
寮の廊下から大きな足音が響いた。
「相澤くん!」
扉が開く。
現れたのは
オールマイト。
すぐにベッドへ近づく。
「少年!」
デクの肩にそっと手を置く。
「聞こえるか、少年」
デクのまぶたがわずかに動く。
「……オール…マイト……」
声はほとんど消えそうだった。
「ここにいるぞ」
オールマイトは優しく言った。
「君は一人じゃない」
しかしデクの呼吸はまだ荒い。
「僕は……」
「ここに……いちゃ……」
言葉が途切れる。
目の焦点がゆっくり外れていく。
「……緑谷?」
相澤が呼ぶ。
「少年、しっかり!」
オールマイトの声が強くなる。
だが――
デクのまぶたがゆっくり閉じた。
「……!」
相澤の目が鋭くなる。
呼吸はある。
しかし意識が遠のいている。
「これはまずいな」
オールマイトが言う。
相澤はすぐスマホを取り出した。
「……リカバリーガールを呼ぶ」
通話が繋がる。
「来てくれ」
相手は雄英の治療担当――
リカバリーガール。
「生徒が一人、かなり不安定だ」
通話を切る。
部屋の中は静まり返る。
ベッドの横でオールマイトがデクの手を握る。
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ゲスト
「少年…」
その声は、いつものヒーローの声よりずっと静かだった。
「君は…もう十分頑張っている」
数分後――
廊下から杖の音が近づいてくる。
コツ、コツ、コツ。
扉が開いた。
「まったく…朝から騒がしいね」
入ってきたのは
リカバリーガール。
デクを見ると、すぐ表情が変わる。
「……これは」
杖を置き、ベッドに近づく。
「この子、かなり心も体も限界だよ」
部屋の空気が重くなる。
そして静かに言った。
「少し時間がかかるかもしれないね」
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