テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
目が覚めると僕はどこかのロビーにいた。どこかの会社だろうか?。僕は近くの窓から外を見ると見覚えのあるような景色が目に写った。広がる高層ビル。辺りを白い雪みたいなのがちらちら降っている。
「どうした。外が気になるのか?。」
僕は外のあれが雪なのかを警備員に聞いた。
「変なことを聞いてくるなあ。今は九月だぞ。どっからどう見てと塩の塊じゃないか。」
間違いない。これはあの夢の続きだ。だけど前と場所が全然ち構う。それに外にあるビルや建物も前よりボロボロだ。白塩化はまだ続いているようだ。
「そういえば施設長が呼んでいたぞ。地下2Fの会議室にいるはずだ。」
僕は警備員に言われるままエレベーターで地下2Fへと向かった。地下にこんな施設があるなんて。そもそもなんの施設なんだろう。
会議室を探しうろうろしていると遠くから二人の子供が走ってきた。
「こっちまでおいでぇだ。 」
「まてぇ。」
何でこんな場所に子供がいるのか。僕はここで何をしているのかを聞いた。
「ママが塩のかたまりになっちゃって僕たちはここで預けられているんだよ。」
「でも僕とこいつのママは僕を生んですぐ塩になっちゃったからママがどんな人なのか分からないんだ。」
前に僕が見た夢ではまだ白塩化が出回ってそこまで時間が立っていなかった。状況は前よりも悪化しているようだ。あれからどれほどの月日が流れたのだろう。
「そういえばお兄さんはここで何してるの?。」
すっかり忘れていた。僕は子供に会議室がどこか聞いた。そもそも会議室が分かるんだりうか。
「あのまーるい場所ならここをまっすぐいって右に曲がるとあるよ。」
そう言うと二人の子供は走り去ってしまった。まーるい場所。言いたいことは分からなくはないけど曖昧だ。しかし他に情報もないし僕は教えられた通りの道を歩いた。
会議室。おそらくここだ。僕が会議室のドアを開けると一人の男がふらふらしながら何かの紙とにらめっこしていた。ドアの開く音に反応して男は振り返り駆け寄ってくる。
「やっときたか。悪いが6番と7番の様子を見てきてくれ。ここはややこしいから地図を渡しておく。」
なんだかゲームのチュートリアルをやっているような気分になる。とはいえ地図があるのはかなりありがたい。僕は地図を見ながら居住区「目指した。そういえばさっきの子供以外人と会っていない。さっきから見かけるのは白衣を着た従業員くらいだ。それになんだか普通の空気じゃない。まあ今いるこの世界そのものがふつうではない。
居住区にたどり着くもどうにも静かすぎる。僕は6番と書いている部屋を目指した。右に6番り左に7番。どうやら部屋には二人部屋。
「あっお兄さんだ。多分こんにちはでいいのかな?。」
一人は読書をする美少女。。一人は普通の美少年。この施設に子供だけがいるのはどうにも変だ。僕は家族はどうしたのかと訪ねると読書をしていた美少女は言った。
「親はもうこの世にはいません。」
しばらく気まずい空気が流れた。それを壊すように美少年は言った。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。僕はエミール。こっちが姉のハルアです。」
エミールとハルアに軽く自己紹介をした。僕は夢でここにいると言うとエミールは疑わしい目を向けた。ハルアは好奇心ある目で僕を見た。
「現実世界はどんな世界なの?。」
僕はエミールとハルアに思い付く限りの事を話した。
「いいなぁ。白塩化がない世界かあ。私には想像がつかないや。」
まあさっき見たあの景色を見たら無理もない。子供に聞くのもあれだけどこの際仕方ない。僕はこの施設の事を二人に聞いた。
「僕たちにも分からないんです。この前も変な質問をたくさんされたけど全然分からなかった。」
「それに健康診断っていう検査で腐りに繋がれ黒い箱に入れられたり。私には本来の健康診断ってどういうものかは分からないけどあれは明らかにおかしい。」
いよいよきな臭くなってきた。しかし逃げるにしたって外は危険だ。いったいどうしたらいいものかと考えていると部屋の外から女性の声が聞こえてきた。
「エミールくん。ハルアちゃん。そろそろ健康診断の時間ですよ。」
女性の呼ぶ声にエミールは不安そうな表情を浮かべている。僕はエミールの頭を撫でながら大丈夫だよと励ましの言葉をかけた。何が大丈夫なんだろうか。
「エミール。私がついているから大丈夫よ。お兄さんありがとう。」
ハルアはエミールの手を繋ぎ部屋を出ていった。僕もいつまでもここにいるわけにはいかないので会議室に戻ることにした。
会議室に向かう途中白衣の人たちが世話しなく歩いている。さっきまでは静かだったのに。そういえばエミールたちの健康診断がある。そのせいだと思うことにした。
会議室に戻ると先ほどの男が何かの資料を読んでいた。
「ご苦労だったな。今は頼める仕事もないし次の仕事が来るまで休憩をとりたまえ。」
僕は地図にある休憩室へと向かった。部屋は広いのに人が全然いない。耳がいたくなりそうなほどの静寂に耐えかねた僕は地図を見ながらそこら辺を回ることにした。 しばらくぶらぶら歩いていると目の前に立派な扉が現れた。扉の前では警備員が立っている。
「やあ。さっきぶりだなあ。」
どうやら上で出会った警備員のようだ。警備員なんてみんな同じように見えるから見分けがつかない。だけど知っている人がいて少し安心した。
「こんなところで何しているんだ?。」
僕は頼まれた仕事が終わってやることもなくなったので散歩をしていたことを伝えた。
「なるほど。つまり暇と言うことだな。」
警備員は少しの間何かを考えているようだった。数分後なっと口を開いた。
「なあ。さっきからこの扉の向こうで変な音がするんだ。しかもついさっき子供二人にたいしてかなりの人数の白衣を着た連中が入っていったんだ。健康診断も二人だけなのにあの人数はただ事じゃない気がするんだ。」
本格的に怪しくなってきた。僕は知っている情報を全て話した。
「やっぱりか。警備とか言っている場合じゃないな。急にすまないが一緒に奥へ行ってくれないかる?。」
確かにこのままじゃあの二人危なそうだ。僕は警備員と協力することにした。
「よし。そうと決まればさっそく。」
警備員はカードキーをかざし扉を開いた。扉を潜ると外の季節とは似ても似つかない景色が広がっていた。
「なんだここは。健康診断する場所には見えないぞ。」
部屋には見たこともない機械がたくさん並んでいる。
「やっぱり俺のにらんでいた通りだ。お前が来てくれたお陰でやっと動ける。ありがとう。」
僕と警備員さんはさらに奥へと進もうとしたとき遠くから誰かの足音が聞こえてきた。僕と警備員さんは隠れてやり過ごすことにした。足音の正体は白衣を着た人だった。白衣を着た人は何かを引きずっているようだった。それを見て警備員さんは小声で言う。
「おい。あれを見ろ。」
白衣を着た人が引きずるそれはここに降りてくる時に会った子供の一人だった。どうやらもう息はなさそうだ。引きずられる子供はぐったりとしたまま動かない。
「あの野郎。人の命をなんだと思っているんだ。」
警備員さんは今にも白衣を着た人に殴りかかりそうだ。僕は警備員さんに今はこらえろと言う。ここで見つかってしまえば厄介なことになるからだ。白衣を着た人は右の扉を開けると子供を投げ捨てた。手ぶらになった白衣を着た人はきた道へと戻っていった。僕たちは白衣を着た人が見えなくなるのを確認するとさっき子供を投げ捨てた扉を開けた。
「うわ。なんだこれは。」
漂う異臭の空間には子供たちの遺体が無惨に横たわっていた。その光景に耐えられなくなり僕たちは扉を閉めた。
「あの白衣を着た連中は何をたくらんでいるんだ?。」
さっきの光景を見てふとエミールとハルアの事を思い出す。あの二人が危ない。僕は警備員さんに二人が健康診断に連れていかれたことを説明した。
「もたもたしてはいられないな。先を急ごう。」
僕たちが奥へと足を踏み入れようとしたとき奥から爆発音と無数の断末魔が聞こえた。僕たちは音のする方へ走る。
しばらく進むと白衣を着た人が焼き焦げた姿で横たわっていた。爆発音はさらに激していく。奥に進むに連れて焼き焦げた遺体が増えていく
僕たちは横たわる遺体を掻き分けながら走りやっと最新部へとたどり着いた。
「あれはなんだ。」
警備員さんの指差す方を見ると骸骨のような機械がエネルギーを貯めていた。膨大なエネルギー量。これは。
「まずいぞ。このエネルギーが放出されればこの施設は一溜りもないぞ。」
僕たちは止める手段を探そうと機械へと近寄ったとたん、機械は僕を見て言った。その声はハルアの声だった。
「お願い。エミールを連れてここから逃げて。エミールを私のようにはさせない。」
僕はハルアにここで何があったのかを聴いたがハルアは。
「だめ。時間がないの。早く。」
僕たちはエミールを探すためその場を離れようとしたとき誰かの足音がこっちへと向かってくる音が聞こえてきた。僕たちは身構えながら足音を待つ。
しばらくすると少し遠くの細い放火の電気が足音の正体を写し出す。
「お前は、そうか。見てしまったのだな。」
足音の主は会議室で会った男とエミールの姿だった。
「エミール。」
ハルアはエミールへ駆け寄ろうとしたときハルアの体が徐々に石へと変わっていくのが見えた。
「ごめんなさい。僕。」
エミールは泣きながら何度も謝り続けた。そんなエミールにハルアは。
「泣かないでエミール。笑って。」
ハルアの声は優しく穏やかだった。ハルアは完全に石になる時までその優しい表情を失くすことはなかった。
「こうするしかなかったんだ。こうするしか。」
声のする方を見ると白衣の男がぶつぶつとざれ言をほざいていた。それに腹が立った警備員は白衣の男の胸ぐらを掴みながら言う。
「ふざけんなよ。何がこうするしかなかっただよ。お前らの計画のせいでどんだけの子供の命が消えたと思う。」
警備員の怒りの声に僕の右手にぐっと力が入る。今にでもあの男をぶん殴りたい気持ちでいっぱいだった。僕はゆっくりと男に近づき力が入った拳をぶつけようとしたときだった。