テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


──彼との結婚生活は穏やかに過ぎて、そうしてまた新しい春が巡って来た。


街路樹に青々とした葉が芽吹いて、吹く風に暖かさが感じられるようになった頃に、


「そろそろ、約束をしていたあの場所へ行ってみましょうか」


と、彼から提案をされた。


「はい、私も行ってみたいです」


「君と共に行けることを、私も楽しみにしていました。こんなにも春が来るのが待ち遠しかったのは初めてです」


彼の手が私の頬に添えられると、左手の薬指に嵌ったマリッジリングが肌にあたる感触があって、ささやかな幸せが胸を込み上げる。


「一臣さん、キス…してください」


「どうしました? 君から、キスをねだるなど」


幸せを感じるあまり、つい私の口からこぼれ出た言葉に、


彼が僅かに目元を朱く染めると、頬に片手をあてたまま、ちゅっと唇を寄せた。


「……週末の土曜日に、あの場所へ……」


「……はい」と頷くと、お父様から託された鍵には一体どんな秘密があるんだろうと、まだ訪れたことのないその場所にときめく思いをせた……。



約束の土曜日になり、早朝に彼と車で出かけた──。



車が走るにつれて、朝早くに起きたこともありだんだんと眠気が襲ってくる。


「眠いのなら、寝ていて構いませんので。眠りやすいように、音楽でもつけますか?」


聞き覚えのある静かなクラシックの曲がカーステレオから流れると、心地のいい眠りに誘われるようだった。


「君が目を覚ます頃には、着いているはずですから。眠っていなさい…」


彼の柔らかな声音とともに、頭がそっと撫でられると、まるで催眠にかけられたかのようにゆっくりと瞼は降りた……。




「責め恋」最終章 ーSecret gardenー「秘密の庭園」

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

51

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚