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〝 エ ピ ロ ー グ 〟
図書室の窓辺に、午後の光が柔らかく差し込んでいた。
静かな空間に、ページをめくる音だけが響く。
月島蛍は、いつもの席で本を読んでいた。
彼の世界は、文字と静寂に包まれていた。
そんな彼の隣に、ある日突然現れたのが心陽(こはる)だった
春の終わり、転校してきたばかりの彼女は、少し緊張した面持ちで、机の上にラムネの瓶を置いた。
淡い水色の瓶には、ソーダ味の炭酸飲料。
彼女はそれを開けると、静かに一口飲んだ。
「それ、好きなの?」
月島がふと尋ねると、心陽は少し驚いたように笑った。
「うん。初恋の味がするって、誰かが言ってたの。甘くて、ちょっと切ないって」
その言葉に、月島の心がふわりと揺れた。
彼にとって恋は、まだ遠い感情だった。
けれどその瞬間、彼女の横顔が、何かを変えた。
〝 曖 昧 な 初 恋 は ソ ー ダ 味。 〟
それからというもの、ふたりはよく図書室で顔を合わせるようになった。
彼女はいつもラムネを持っていて、瓶の色や味が日によって変わる。
レモン、ピーチ、グレープフルーツ。
彼女はそれを飲みながら、静かに本を読んでいた。
月島は、彼女の隣に座るようになった。
最初は偶然を装っていたが、次第にそれが日常になっていった。
ある日、心陽が言った。
「蛍くんって、炭酸みたいだね。見た目は静かだけど、心の中はきっとシュワシュワしてる」
月島は思わず吹き出した。
「それ、褒めてるの?」
「もちろん。私、炭酸好きだもん。」
その言葉に、月島の胸が少しだけ熱くなった。
彼女の言葉は、いつも不意に心に触れてくる。
季節は春から夏へと移り変わる。
心陽のラムネの瓶は、ソーダ味からピーチ味へと変わっていった。
ふたりの距離も、少しずつ近づいていった。
ある日、心陽がぽつりと呟いた。
「ねえ、蛍くん。初恋って、どんな味だと思う?」
月島は少し考えてから、答えた。
「君が飲んでるソーダの味。甘くて、ちょっと酸っぱくて、でも…忘れられない」
心陽は目を見開いて、それから静かに笑った。
「じゃあ、私の初恋は… 蛍くんの味だね」
その言葉に、月島の心の中で、無数の泡が弾けた。
静かだった彼の世界に、初めて音が生まれた。
夏休みの終わり、ふたりは図書室ではなく、 校庭のベンチに座っていた。
心陽は、最後のラムネの瓶を開けた。
それは、彼女が一番好きだと言っていたソーダ味。
「もうすぐ、転校するんだ」
心陽が言った。
月島は言葉を失った。
彼女がいなくなる。という
現実が、急に目の前に現れた。
「なんで…急に。」と口から不満が零れた。
それでも彼女は寂しそうに笑って、
「でもね、蛍くん。この夏、すごく楽しかった。君と過ごした時間、全部ソーダみたいだった。甘くて、ちょっと切なくて、でもすごく爽やか」
月島は、彼女の手から瓶を受け取った。
そして、静かに言った。
「俺も、君のこと… 好きだった。いや、今も好きだ」
心陽は微笑んで、瓶を指差した。
「じゃあ、これ。初恋の味、分けてあげる」
ふたりは、ひとつの瓶を分け合った。
泡が弾ける音が、ふたりの間に静かに響いた 。
それは、ふたりの初恋。
甘くて、少し切なくて、でも確かに心に残る味。
初恋は、ソーダ味。
泡のように儚くても、記憶の中でずっと弾け続ける。
そして、いつか再会したとき。
ふたりはまた、ソーダ味のラムネを分け合うだろう。
あの日の味を、もう一度確かめるために。
どうでしたか ~ ?
月島の口調記憶が曖昧なので本当に変だったらごめんなさい🙏
「曖 昧 な 初 恋 は ソ ー ダ 味 。」
楽しんで貰えたなら何よりです !!!
軽 い 設 定 and 写 真 ど ぞ !⤵⤵
雨宮 心陽 (あめみや こはる )
烏野高校
高校1年生
部活 帰宅部
委員会 図書委員
趣味 読書
好きな食べ物 ラムネ。特にソーダ味。
苦手 寒い所
月島は原作通りです!
高校1年生。
ばいち !