「鈴子じゃないか!いったいお前は何をしてるんだ!いきなり出て行って!一年間も連絡をしないで父が言ってたけど、俊哉君と籍を入れたそうじゃないか! 」
私を責めるような第一声に少しムッとした、でもここは下手に出ることに決めた
「その調子だと私が彼とどこに住んでるのかも、調べて知ってるんでしょうね」
しばらく兄が沈黙した、父は全然変わっていないらしい、本当に俊哉の言う通り金の亡者の支配者なのだろうか
受話器の向こうでは心配そうな兄の声が響く
「いったいどんな生活をしてるんだ?お前は幸せなのか? 」
私は精いっぱい俊哉の良い所を並べ立て、自分は何不自由なく幸せに暮らしている事を誇張した
そして幸せに暮らしている人間が、言う言葉ではないことを打ち明けた
「その・・・少し・・・お金を貸してもらえないかと思って・・・」
「・・・金に困ってるのか?俊哉君の稼ぎは十分じゃないのか?」
「いえ!そうじゃないのよ、俊哉はすごく頑張り屋で仕事をすごく頑張っているわ、ただ・・・、私がうちにもう一台車があったらいいなって思って・・・今の車は彼が通勤で乗って行ってるから、私は普段は徒歩か自転車なのよ 」
「車が一台しかないのか?」
兄は驚いて聞いてきた、私はㇺッとして言った
「普通の一般家庭は車は一台しか、持ってないものよ、ミニカーを集めるんじゃないんだから」
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