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コメント
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どの作品もとても大好きです! 次の話も楽しみに待っています!
般若「カゴメぇー!!」
背後からの嫌な予感と、兄の突進するような抱きつきが見事に命中した。
カゴメ「ごふっ!?」
受け止めきれなかった私は、兄と一緒に盛大に前に倒れ込んだ。
般若「カゴメぇ !久しぶりだなー!」
カゴメ「…っ…は…ん…にゃぁ〜…!」
般若「そうだぞー、お前の兄ちゃんの般若だぞー!」
カゴメ「いっっったいじゃないのよ!」
へらへらした態度の兄に苛立ち、思いっきり身体を起こして蹴りを喰らわそうとしたが、避けられてしまった。
般若「おっと!相変わらず元気そうだなぁ!」
カゴメ「なにすんのよ!後ろから狙うなんて卑怯よ!卑怯者!」
周りのことなどお構いなしに私は大声で兄に怒鳴った。
周りにいた生徒が野次馬のようにざわざわと囲むと、「どいてー」と人混みをかき分けて、誰かが近づいてきた。
おかめ「なんか騒がしいけど、君たちどうしたの?」
おかめさんだ、私たちのやりとりに気づいて様子を見に来てくれたようだ。
カゴメ「おかめさん!この人よ!この男がぶつかってきたんですよ!」
般若「あ、おかめ!コイツが俺の妹!かわいいだろ?」
私たちがお互いを指差しておかめさんに発言すると、彼は私の方を見て近寄ってきた。
おかめ「ああ、君が般若のとこのカゴメちゃんだね。会えて嬉しいよ」
話はよく聞いてるよ、と言わんばかりの言葉だ。
最悪だ、きっと私の色々な話を聞いていたに違いない。
カゴメ「なんだ、兄とは仲良しなのですね…」
カゴメ「…余計なこと言ってないわよね?(ボソッ)」
おかめさんに口だけでも微笑みかけ、すぐさま隣にいる兄の耳に手を添え、小声で問い詰める。
般若「別に変なことは言ってねーよ、小せぇときからずっと仲良しだってことくらいだよ」
カゴメ「へぇー…それだけなら良いけれど」
般若「あー、その顔信用してねーな笑」
横目で兄を睨むと、そう言いながらグリグリと私の頭を撫で揺らす、折角きれいに整えた髪が台無しだ。
カゴメ「その撫で方やめてってば!結構痛いし髪が乱れるのよ!」
般若「ははっ笑ごめんごめん笑」
おかめ「君たちほんと仲良いんだね」
般若/カゴメ「「そうだろ!/どこがよ!」」
おかめさんは微笑ましそうに「んふふ」とお淑やかに笑った。
今の状況が恥ずかしくなり、私は乱れた髪や服を軽く整えた。
カゴメ「はぁ…兄さん、場所はかぁ助に伝えさせるから、放課後に話しましょ。もうこんなとこで争いはしたくないわ」
般若「はいはい笑、じゃ、後でな!」
嬉しそうに手を振りながらこの場を去る兄。
私は列に戻り、おかめさんも案内のため列の前へ行き、整列を促した。
自分たちの教室で授業に使う支給品を配られた後、すぐ自由時間になったので、それぞれの生徒は寮の同室になる人を探していた。
私はどうしようか考えながら、配られた教科書に名前を記入していく。
阿形「カゴメちゃんっ!」
カゴメ「っ!…阿形くん、いきなり大声出さないでくれる?びっくりしたわ」
阿形「ごめん!…怒った?」
カゴメ「怒ってないわよ」
全ての教科書に名前を書き終わってすぐ、後ろから声をかけてきたのは阿形くん。
どうやら、隈取くんとは一緒じゃないみたいだ。
カゴメ「そんなことより、私とお喋りしてて大丈夫?同室になる子を探したら?」
阿形「俺は隈ちゃんがいるからいーの!カゴメちゃんだって探してないじゃん!」
カゴメ「私は…一人で居るのが楽ですの」
そう言って、私は支給品をまとめて、兄に会いに行くため教室を出ようとした。