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攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある。
懲りずに狼🐉さんシリーズ。主の癖。
『狼は甘え上手』の続きです。
特殊設定なので下記の注意事項必須です。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
⚠️半獣🐉×人間🔝、という特殊設定です。矛盾点も盛り沢山。 苦手な方はバック。なんでもOKな方はお進みください。
side.トップ
ジヨンと恋人同士になって8ヶ月が過ぎた。あの雨の日に出会ったのがもう遠い昔の記憶に感じるほど、ジヨンは立派に育った。ピンと立った大きな耳、ふさふさの尻尾、立派な爪と牙。背は俺より少し低いが、顔は大人になり精悍なもので、細いのに広い肩としなやかな手足のおかげかたくましい身体になった。
2人の生活は至って順調。前に頭を悩ませていた甘噛みもたまにされるが今となっては愛おしいに尽きる。甘え上手な彼の愛情表現だと思えば可愛い。仕事に行くときは彼の「いってらっしゃい」を聞きながら家を出て、帰れば「おかえり」と出迎えてくる。未だに同じベッドで窮屈ながらもぎゅうぎゅう抱きしめながら「おやすみ」のキスを1つして寝る。そんな毎日の繰り返しに幸せを感じていた。
そう、幸せを感じている、のだが。
新たな問題が発生していた。
「ちょ、ジヨン…っ」
そろそろ寝ようとベットに入ったところを後ろから抱きつかれ、そのままかぷかぷと項を甘噛みされた。そこをなぞるようにぬるりとした舌が這えば思わず身体が跳ねる。
「んっ…おい、待てっ」
「はぁ…タプヒョン、」
「ひ、ぅ…やめ…っ!」
離れようともがくが、ガッチリと腕でホールドされて全く動かない。半獣とはいえ、こんなところで狼の腕力を思い知らされるなんて。
「離せよ、」
「やだ」
「おい…落ち着けジヨンっ、」
「ねぇタプヒョン」
硬いものが尻あたりに押し付けられた。
「えっちしよ?」
そう、問題はこれ。
ジヨンの性欲についてだ。
あの日初めてジヨンに抱かれた日から、彼は毎日のように身体を求めてくる。恋人同士なのだからセックスしたいと思うのは当たり前だし俺だって嫌なわけではない。もちろん気持ちいいし俺にも欲はある。
にしても、だ。恥ずかしいながら毎回甘やかされとろとろになるまで抱かれている自覚はあった。ときにはそのまま気絶することだって数え切れないほどある。対してジヨンはお前どんだけ体力あるんだと思うほど尽きない。これもまた狼故なのかどうかはわからないが、最後にはぐったりとする俺に比べていつまでもぴんぴんしている。放っておいたら永遠に抱き潰されるレベルだ。
それが毎晩毎晩毎晩…。挙句には休みの日は朝から服を脱がそうとしてくる始末。しかも最近更に加速してる気がする。もちろん嫌じゃない、が、仕事で疲れてるときや次の日が早いときは正直つらいのだ。
「…だめだ」
「タプヒョンは嫌?」
「嫌っつーか…明日は早くから仕事だから今日は無理だって。昨日もしただろ散々」
「そうだけど、今日もしたい」
「だめだって。とにかく今日は…」
「ちょっとだけでもだめ?」
「お前にちょっととかないだろっ…おい脱がそうとするな!」
全く聞く耳持たず。少し甘やかしすぎたか…?
「いやだって…っ」
抵抗虚しく肌が晒された。やばい流される。毎回強引に迫るジヨンに、結局最後は許してしまうのだ。
が、今日は絶対に無理だ。最近忙しくて身体も疲れてるし、明日は本当に朝が早い。今すぐにでも寝たい。
「ねぇいいでしょ?」
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか。情けないような優しい声色とは反して強引に押し迫ってくる彼に、遂に頭の中でブチッと血管が切れた。
「〜〜っ、いい加減にしろ!!」
想像以上の大きな声に、ジヨンが驚いたように固まった。その力が抜けた隙に彼を突き飛ばして、急いで乱れた服を整える。
「今日は無理だって言ってるよな!?言うこと聞かないなら本当に怒るぞ!」
「タ、タプヒョン…」
「頼むから勘弁してくれ、疲れてるんだよ。寝かせてほしい」
「……」
「………それともなんだ、お前は俺の身体にしか興味なくなったのか?」
「ぇ、」
「セックスできればなんでもいいのかよ、ふざけんな」
「ち、ちがう!そんなんじゃない!」
彼の両耳がぺたりと下がる。興奮で揺れていた尻尾もへにゃりとシーツに沈み、眉を下げ泣きそうな顔になった。
「ごめ…ごめんタプヒョン、そういうつもりじゃなかった…本当にごめんなさい」
うるうるとした瞳でそう言われると思わず胸がぐっと締まる。許してやりたくなるが、ここで甘やかすとまた調子に乗りそうだ。たまには罰も必要だろう。
そう思い、俺は何も言わずため息をついてごろんと横になった。彼に背を向けるかたちで布団に潜り込む。するとジヨンが慌てたようにいそいそと布団に入ってくるのが背中越しでもわかった。
「ごめんねタプヒョン、もうわがまま言わないから…」
きゅっと俺の腰に腕をまわしながら、泣きそうな声で言われ胸が苦しくなる。が、たまには心を鬼にしなければ本当に身体がもたない。鼻をすする音が微かに聞こえて、なんだか俺まで泣きそうだったが。
「……だから、嫌いにならないで、」
この夜、付き合ってから初めて”おやすみのキス”をしないで寝た。
朝アラームの音で目が覚める。眠い目を擦りながら止めて、そしてハッとした。いつもの温もりが隣にない。慌てて身体を起こすと、そこにはぽつんと空いたスペースがあるだけ。
「ジヨン…?」
寝室を出てリビングに向かうと、ソファに彼が寝ていた。膝を抱えるようにして丸まって寝ている。
「……おい、ジヨン」
起こすかどうか迷ったが、こんな体勢で寝ていては身体を痛めてしまう。そもそもなんでここで寝てるのか、俺が眠りにつくときはいつも通り背中に引っ付いていたはずだが…。
肩を軽く揺すると、ゆっくりとその瞼が上がった。
「ぁ…タプヒョン、おはよ」
「……おはよう。なんでこんなところで寝てるんだ」
「え、と……ちょっと気分転換?てきな」
あはは、と笑うジヨンの目は真っ赤に腫れていた。胸が痛くなる。きっとたくさん泣いたに違いない。そしてその声が俺の眠りを妨げないように離れたのだろう。
「………ばか」
思わずその身体を抱きしめて頭を撫でた。本当にこいつは俺が好きらしい。いや、わかってたんだけど。
「起きたらいなくなっててびっくりした。こんなところで寝たらちゃんと寝れないだろ」
「……うん、ごめん」
「……謝るのは俺の方だ。昨日は言いすぎた。悪かったな」
すると、おずおずと彼の腕が背中にまわって、ぎゅうっと痛いくらい抱きしめられた。
「ううん、タプヒョンは悪くないよ。俺がわがままだったから」
「…じゃあこれでおあいこだ。もう謝るな」
もう一度腕に力を込めてから身体を離して、その唇にキスを落とす。
「………昨日、してなかったから」
「!」
途端にジヨンの尻尾が嬉しそうにぶんぶん揺れた。なんだか顔が熱い。似合わないことするもんじゃないな。
side.ジヨン
「いってらっしゃい!」
「行ってきます」
仕事に向かうトップをいつも通り玄関まで見送ってから、俺は鍵をかけてソファに座った。
晴れてトップと恋人になってからも、関係は順調に進んでいる。いや、順調だが、1つ問題があった。それは俺の性欲について。初めてトップを抱いたあの夜から、どれだけ彼と寝ても足りないのだ。それが半獣故のものなのか、果たして俺個人の原因なのかわからない。なんせ初めて誰かを好きになって付き合ったのだから。毎回彼とのセックスは気持ちよくて身体中幸せで満たされる。いくらしてもそれは変わらないしむしろもっと欲が加速していく。彼には仕事があるし身体に負担をかけたくないと頭の隅ではわかっている。わかっているのに、どうしても抑えられない。つい求めてしまう、欲望のままに。
『〜〜っ、いい加減にしろ!!』
3日ほど前、ついにトップを怒らせてしまった。俺に向かって彼があんなに大きな声で怒鳴ったのは初めてだった。そりゃ怒られて当然だ。俺の身勝手なわがままで彼を振り回していたんだから。嫌だと言う彼を無理やり抱こうとしていた。反省しかない。
『………それともなんだ、お前は俺の身体にしか興味なくなったのか?』
『セックスできればなんでもいいのかよ、ふざけんな』
あの夜言われた言葉に胸が苦しくなる。なんてことを言わせてしまったのだろうと思った。大切にするって心に決めてたのに、傷つけてしまった。そのことがなによりもつらかった。
「はぁ……」
それでも、どうしても欲望がなくなってくれない。怒られたあの日から一度もセックスしていない。たかが3日、されど3日。毎日してたから、いい加減欲が溜まっていく。おあいこだ、と仲直りをしてくれて嬉しかったしただ傍にいれるだけで幸せなのも本当なのに、嫌になるなあ。
「……あ、そうだ」
トップに買い与えられた携帯を取り出した。普段ほとんど使わないネットとやらを使って知恵を借りてみよう。
「えーと……性欲を発散させる方法…」
半獣だが人間の言葉は理解できる。このときばかりはそのことに改めて感謝した。
ずらっと並んだ検索結果を読んでいく。そこには様々な方法が載っていた。
「なるほど、運動で解消か…」
筋トレはいいかもしれない。家でもできるし身体を鍛えられる。どうやら俺の背はこれ以上伸びないようで、少し悔しいがトップより低い。普段それを気にすることなんてほとんどないが、やはり彼氏として力強くて頼りになる男になりたいと思うのはおかしいことではない。もちろん恋人も男だが、筋肉質な身体をかっこいいと思ってもらえたら純粋に嬉しい。
「んー、ランニングもいいなぁ…走るの嫌いじゃないし」
トップと暮らし始めてから、あまり外に出たことがない。いつでも外に出ていいと言われてるしスペアキーの場所も知っている。が、特に家にいて不自由だと思ったことがないから外出することはほとんどなかった。この機会に外に出る日を増やしてみよう。彼にトレーニングウェアやシューズを強請ってみようかな。
「あとは……自己処理、ね」
まあこれが一番手っ取り早い方法なのだろう。毎日彼と身体を繋げてたから今まで自慰行為をしたことがなかったが。
なんとなくサイトに飛んでみる。すると所謂「AV」というものがたくさん出てきた。普通はこういった動画を見ながら処理するものなのだろう。興味本位でサンプル動画の再生を押してみた。
途端に芝居がかった女の嬌声が聞こえ、ベッドで絡み合う男女が見える。律動に合わせて揺れる大きな乳房、これでもかと細いウエストにハリのあるおしり。
「………うーん」
純粋に綺麗だと思う。だが、それ以上の感想も性的欲求も湧かない。トップしか興味のない俺からすれば、つまらないドラマを見ているようだった。1ミリも自身が反応しない。
いくつか動画を漁ってみたが全く変わらなかったのでやめた。トップの身体や声、触れた時の肌の感触や表情を想像する方がよっぽど興奮する。
「ぁ、」
操作を誤り思わず関連サイトに飛んでしまった。今度はたくさんの風俗店が出てきて、なるほどこういった店で済ませる人もいるのかと感心した。
「こんなにあるんだ…そもそも半獣が行けるわけ?」
そこでふと気づく。俺が普通の人間じゃないばかりに、トップの負担が通常よりも多いということに。なんせこの鋭い爪のせいで中を解かしてあげることもできない。毎回彼自身にやらせて、俺は少しでも手助けをしようとその間彼の身体を目一杯愛撫するだけ。もし俺が半獣じゃなければ、そんなことさせなくて済むのに。そういった些細なことも彼のストレスになっていたのだろうか。
「…………はぁ、やめよ」
なんだか気分が落ち込んできて、サイトを閉じて携帯も投げ捨てるように置いた。こればかりは考えても仕方ない。どう足掻いても俺は俺だし、トップを好きであることに変わりはない。なにがあっても好きじゃなくなることなんてないのだ。それならばこの生態を恨んでも仕方ない。
「よし!」
とりあえず今日から筋トレ開始だ。
「なんかいい感じかも…?」
筋トレを初めて2週間。若干身体が締まった気がして、鏡を見ながら思わず声が漏れた。
驚く程の効果だ。昼間トップが仕事で家にいない間かかさず身体を鍛え始めてから、自分でも分かるほど性欲が薄れた。なんせ夜は眠くて仕方ない。身体を動かす反動だろう、ベッドに入れば眠気が勝ってそのまま寝るようになった。今までは彼に対してむくむくと湧いていた性欲は薄れ、抱きしめながら幸せを感じて眠る日が続いていた。かつ、筋肉質な身体になってきて、もう少し頑張れば腹筋も割れてきそうだ。自分でも惚れ惚れするほど男らしい。トップの負担も減らせて一石二鳥だ。
「これならタプヒョンももっと俺のこと好きになってくれるかも…」
かっこよくなったな、なんて言われる妄想をして思わず1人ニヤける。この前買ってもらったシャツとシューズで有酸素運動を加えたらさらに身体つきがよくなるかもしれない。早速明日から実践してみよう。
久しぶりのランニングは想像以上に疲れた。太腿なんて絶対明日筋肉痛だ。
「ふぁ…」
「…随分大きな欠伸だな。そろそろ寝るか?」
お腹も満たされ瞼が重い。ソファで盛大な欠伸をしてると、トップが笑いながら頭を撫でてきた。
「うん、そろそろ寝ようかな。タプヒョンは?」
「んー…じゃあ俺もベッド入るかな」
そう言って寝室に向かう彼の背中についていく。電気を消して布団に入る彼に引っ付いた。窮屈なこの狭さが気持ちよくて、触れ合う体温が心地いい。今までならこのままことに及ぼうとするところだが眠気が襲ってきてそれどころではない。いい効果だ。
(もっと筋肉質で男らしい身体になったら、目一杯タプヒョンとえっちしよ)
そう思うとなんだか楽しい。くふくふ笑ってると、彼が不思議そうに俺の顔を見た。
「…なんだよ笑って。なんかいいことあったか?」
「………んーん。なんでもない」
ちゅ、とその唇に口付けをする。
「おやすみ」
今はまだ秘密。 そう思いながら彼の胸に擦り寄った。とくとくと聞こえる心臓の音が気持ちいい。俺は眠気に逆らうことなく夢の中へ飛び込んで行った。
side.トップ
すやすやと寝息を立てるジヨンの顔見ながら、俺は1人なんともいえないもやもやを抱えていた。
初めてジヨンに怒鳴りつけてから1ヶ月。彼は反省したようで、全く俺に手を出してこなくなった。今までならベッドに入った途端俺の服を脱がしあっという間に抱かれていたのが嘘のように、彼はすぐさま眠りについた。
最初の頃はよかった。やっとわかってくれたかと思ったし、これで少し身体が休まるとホッとしていた。しかし、だ。これが1ヶ月となると違和感が芽生え始める。だって今まで毎日してたのに、怒ったとはいえもう1ヶ月してない。なのに、ジヨンはまるで気にしていないようだ。俺から突き放しておいてなんだが、そわそわしてしまう。
(………おかしい)
うん、おかしい。なんだって言うんだ。まさか俺に欲が湧かなくなったとか?嫌いになったり…はしてないはずだ。相も変わらず俺に引っ付いてちぎれるほど尻尾を振って絡んでくるのだから。ただセックスをしなくなっただけ。でも、それって俺に性的欲求が湧かなくなったということだろう。なんでだ。確かにあの日からジヨンは心を入れ替えてわがままを言わない約束を守ろうとしてるのが分かる。それしたって、1ヶ月だぞ。
「……あーもう、」
ぐるぐるごちゃごちゃ1人で考えてバカみたいだ。目が冴えて眠れそうにない。八つ当たりに彼の頬を軽く抓ってやったが、彼が起きることはなかった。
ゆっくりと意識が浮上する。カーテンの隙間から差し込む日差しで目が覚めた。太陽の位置を考えるともう昼過ぎ。休みとはいえ寝すぎた。昨夜は考えごとで遅くまで目が覚めていた、そのせいでこんな時間まで…。
ハッとして身体を起こした。ベッドには俺1人。空いたスペースに拠れたシーツがあるだけ。どんなに俺が起きまいが、目が覚めると隣には必ずジヨンがいたのに。まさかまたリビングのソファで寝ているのだろうか?でも、なんで。
俺は慌てて寝室を出るとリビングに向かった。ソファにも、どこにも彼の姿はない。
「ジヨン…っ?」
焦ってきょろきょろと部屋を探す。するとテーブルに紙が置かれていた。
“ちょっと走ってくるね”
汚い字で書かれた言葉に、無意識に力んでいた身体の力が抜けた。最近ジヨンはランニングにハマってるらしい。なんの影響かわからないが、シャツとシューズを強請られてからの習慣だ。俺が仕事の日もなるべく走ってるようだ。
「……」
彼が家に来てから数年。家にはずっとジヨンがいて、毎日その温もりや呼吸が隣にあるのが当たり前だったから、ここ最近こうして家に1人でいるとなんだか落ち着かない。昔はこれが普通だったのに、この静けさが、なんだか寂しい。
side.ジヨン
リズム良く動かしていた足を徐々に緩めスピードを落とす。上がった息が整うまで深呼吸をしながらゆっくりと歩いた。全身から汗が吹き出しているのが分かる。Tシャツの袖で額を拭った。
「ふー……結構遠くまで来たな…」
ここ最近走るようにしているせいか、だいぶ体力がついた。少しずつ走る距離を伸ばし、気付けば今日は家からかなり離れ、それでも苦しくなくむしろ気持ちよく走れた。
目標の折り返し地点の公園で軽く屈伸をする。すると近くを通りかかった小さな子どもが俺を見てパッと笑顔になった。
「あ!オオカミさんだ!」
半獣とはなかなかに珍しい生き物だ。それ故にかなり昔は差別され虐げられてきたらしいが、今はそんなこともほとんどない。もちろん珍しがられることも、特に狼との半獣の俺は怖がられることもしばしばあるが、こうやって嬉しそうに手を振ってくれる子もいる。俺も笑顔でひらひらと手を振り返した。
「よーし帰るか」
2、3回ジャンプをしてから地面を蹴る。今度はイヤホンでも強請ろうかな。彼の歌を聴きながら走りたい。
(そういえば…)
昨夜トップはかなり疲れていたようだ。最近仕事が忙しいみたいで、今日俺が起きてご飯を食べてる間もぐっすり寝ていた。そろそろ起きてるかな。願わくば今夜あたり久しぶりにしたいと思っていたが、明日からまた忙しいらしいから我慢だ。もうすぐで落ち着くって言ってたし、そしたら目一杯抱こ。
「ただいまー」
家に帰ると、今ちょうどご飯を食べ終えたであろうトップが、台所で洗い物をしていた。
「……おかえり」
「起きたんだ、おはよう。よく寝れた?」
「ああ」
キュ、と水道を止めて手を拭う。そしてゆっくりと振り返った。
「……随分遅かったな」
「今日はちょっと遠くまで行ってたから」
「……そう」
彼小さく答えると目を伏せる。長いまつ毛が相変わらず綺麗だ。
「……タプヒョン?」
あれ?なんだか元気がないな。たくさん寝たみたいだけど、やっぱり疲れてるのかな。今日は1日休んで欲しい。
「……なあ、」
彼は俺の手首を掴むと、ゆっくりと視線を上げた。ちょっととんがってる唇が可愛い。そしてそのまま、顔が近づいてくる。
(え、やば)
願わくばこのまま身を任せてキスしたいところだが、いかんせん今の自分は汗くさい、はず。いや絶対そう。
汗くさいって思われたら最悪だ!
「お、俺シャワー浴びてくるね!」
「ぁ、」
するりと彼の手から抜けると、急いで風呂場に向かった。
side.トップ
バタン、とドアの向こうに消えていく背中を見つめる。そのあとすぐにシャワーの音が聞こえた。
「〜〜っ」
言いようのない怒りと不安と痛みが全身に回って身体が震えた。
「っ、なんなんだよもうっ」
まるで拒否するような動きに思わず声が漏れる。わかってる、ジヨンは別に俺を拒絶したわけじゃない。たぶん汗をかいたことを気にして急いでシャワーを浴びに行ったのだろう。わかってる、わかってるけど。ただでさえここ最近彼が身体を求めてこなくなって、家を空けることも増えて…いや前者に関しては俺が怒ったせいなんだけど、そうなんだけど。ジヨンは忠実に守ってくれてるだけ、仕事に追われる俺に気を使って。頭ではわかってる、でも、それにしてももう1ヶ月もセックスしてない。
「………寂しいじゃねーか、ばか」
そうだ、俺はなんともいえない寂しさに苛まれてる。全部自業自得。でも今はなによりお前の温もりが恋しいのに。
「…もう知らん」
こうなったらふて寝してやる。さんざん寝たから眠くなんかないけど。
そう思って寝室に向かうところで、ふとキャビネットの上に置かれたジヨンの携帯に目が止まった。今まで彼の携帯を見たことなんてない、そもそもこれはプライバシーだ。いくら恋人とはいえ勝手に見るのは憚れる。でも、気になって仕方ない。
「……」
頭の奥で微かに鳴る警告音を聞きながらも、意に反して手が勝手に伸びていく。そしてゆっくりと画面をタップした。ロックなんざかけられてなくて簡単に開く。無意識に震える指でネットを開いた。
「性欲を発散させる方法…?」
1番上にあった検索履歴にため息をつく。あいつ、こんなこと調べてたんだ。俺に怒られて、自分でどうにか改善しようと。俺に嫌われないために…。そう思うと身体の力が抜けていく。
そこには運動についてが書かれていて、そうか彼が最近ランニングを始めた理由はこれだったのかと思った。シャツとシューズを強請られたときは特に気にしてなかったが、理由がわかるとなんだかむずむずする。
「?」
なんとなく読んでいた検索履歴、飛んだサイトに手が止まった。
ずらりと並んだ所謂アダルトビデオ。しかもいくつか視聴した跡がある。挙句には風俗店まで調べてあった。血の気が引いていくのがわかる。
いや、おかしなことではない。男なら誰しも一度は通る道だ。俺だって若い頃は見たことがある。それにしても、あのジヨンが?半獣という特殊な彼が子どもの頃から共に過ごし、告白されて付き合い始めた。恋人になってからも毎日のように俺に好きだと言ってくる。自惚れかもしれないが彼は本当に俺に夢中で、俺以外に興味のないようなやつだ。そんなジヨンが…?信じられない。
「……もしかして」
初めて俺以外の「女性」の身体を目にし、一体彼はなにを思ったのだろう。小さくて華奢な身体、膨らみのある胸、細いウエスト、ふわふわとしたやわらかそうな身体。俺にはなに一つないそれを見て、彼の心が動いたのだろうか。やっぱり女性がいいって思ったのだろうか。だからもう俺に欲が湧かないのか?だから抱きたいと思わなくなった?俺に興味なくなった?
胸の奥がキリキリして痛い。手足の先から冷たくなっていく。
「……ジヨン、」
なあ、もう俺のこと好きじゃないの?
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コメント
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狼は甘え上手のお話が好きだったので、続きのお話を読めてとっても嬉しいです! たぷさんが勘違いしてしまいそうで、こちらもハラハラしてしまいます…じよんの健気さも可愛いですが、たぷさんが1番なんだよと早く伝えないと!と言いたくなります😅
続きありがとうございます!!!🤩 たぷさんが怒るっていう今まで無いパターンのシチュでめっちゃ良いです!!!🥹🥹🥹スマホの検察履歴ばれちゃうのもドンピシャでやばいです!!!すき😘
もうタイトルからして「あっ、これだ…」って思ったよ。半獣ジヨン×人間トップのすれ違いラブ、めちゃくちゃ刺さった。 まずジヨンの「えっちしよ?」からの“狼の腕力”でホールドされるところ、完全にトップの立場がカワイソウで笑った。でもその後の「嫌いにならないで」って泣くジヨンには胸がギュッてなったな。 その後の展開がいいんだよね。ジヨンが性欲を抑えるために筋トレ&ランニングを始めて、むしろトップの方が「俺に興味なくなった?」って寂しがる逆転構造。そして「もう俺のこと好きじゃないの?」って検索履歴見て傷つくトップ。 「あなたの身体にしか興味なくなったのか」って言った張本人が、相手に興味持たれなくなっただけで同じ不安に駆られるの、すごく人間くさくてリアルで好き。早く続きが読みたい!