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春がやってきた。
生暖かい風が頬をかする。
桜を見るたび見るたびちかくにキャッキャしてるカップルがいる。
退職届を握りしめながら一歩一歩会社へゆく。
、、あいつが死んでもう何年経つだろうか。
春が来るたび来るたび思い出してしまう。
あれは高校1年の春だった。
入学式が終わり、教室に移動した。
早いところは早いところでもうすでに友達などを作ってる人もいた。
陽キャ怖、とか重いながらかいてある自分の番号の席につく
HRが始まりみんなが静かになり、教師の声が教室中に響いた。
学校のこと、これからの私生活こと、その他にもなんかいろいろ言ってたが覚えてない。
春休み明けというのもあり、うとうとしていると教師の声が静かになり、クラスメイトの1人が何か話し始めた。
自己紹介らしい。
どうでもいいと意識を夢の中に持っていこうとした瞬間、すごくでかい声で自己紹介をし始めたやつがいた。
シンプルに目が覚めた。
「綾瀬桃華です!!!趣味は歌うこと!!歌い手してるからみんな応援してくれてもいーんだよー!!よろしく!!!」
すごく素直に言うと見た目も自己紹介も全部バカそうだった。
綾瀬の自己紹介が終わり次のやつの自己紹介が始まった。
そしていつのまにか自分の自己紹介の番になっていた。
何も考えていない。
眠すぎて回転していなかった頭をフル回転させてもなにも出てこなかった。
30人近くの人間に見られている、そう考えるだけで冷や汗がとまらなかった。
早く言わなくては、そう思って自分の頭にある語彙を必死にしぼりだし、声に出した。
「三神輝明です。、、、、よろしく、」
しばらく沈黙が続いた。
質素すぎただろうかなにか、なにかないだろうかと面白い話題を記憶の中からほじくりだす。
「あ、えっと、えーっと、歌とか、まぁ、すきです、」
なぜこんなこと言ったのだろう。
正直に言うと歌は苦手だ。
このままでは歌が好きなやつと勘違いさせてしまう。
だからといって訂正するのはなにか違うか?など考えているうちに教師が「次。」と言っていた。
終わったと感じた。
これからの自分の高校生活が怖くて仕方がなかった。
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コメント
2件
急な投稿にびっくり