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僕は今、非常に機嫌が悪い。
残り少ない理性でなんとか耐えているが、気を抜いたらそこら辺にある物を蹴飛ばしてしまうかもしれない。
かっちゃんに告白された。校舎裏。ついさっき。
意味が分からなかった。「何言ってるんだコイツ」状態だ。もしかしたら悪夢かもしれない、と思いたかったが手の甲をつねってみても痛覚は健全だった。
「俺のこと好きだろ? 付き合ってあげてもいいぜ」
なんて言われ、初めて君に吐き気を覚える。なんだなんだ理解ができない。君は僕のこと嫌悪していたはずだろう?
まさか、好きな子に意地悪するタイプなのか?今までずっと???
君の思考がわからない。まず君に好印象を持っているとでも思われているのか?
「ごめん、ちょっとよくわかんない」
そう言って自分の部屋に逃げ込んだ。いい判断だったと思う。あの場にいたら何かが壊れそうだったから。
気が付くと朝だった。そのままコンディション最悪のまま学校へ向かう。
通学途中、かっちゃんに声をかけられた気がしたが無視を決め込んだ。無視しても怒鳴られないことに違和感を覚えた。
「緑谷おは…お前顔色悪いぞ? 大丈夫か」
「轟くんおはよう うん多分大丈夫だよ」
大丈夫、と言っている割には表情筋は死んでいるのを実感している。ごめん轟くん。
授業が始まってからも僕の脳内にはかっちゃんでいっぱいだった。かっちゃんの後ろの席なのもあって無意識的に視界に入れてしまう。心の中で舌打ちをした。
僕はかっちゃんのことが嫌いだ。
当たり前だ。誰がイジメてきたやつなんか好きになるか。好きになるなんてよっぽどのマゾしかいない。
もちろん、ライバルとしてもちゃんと見ている。小さいころからオールマイトと同じぐらいにかっちゃんに憧れたのは間違いではない。
ではどこで間違えた? かっちゃんと出会ってしまったから? かっちゃんと一緒に遊んだから? かっちゃんの視界に入ったから? かっちゃんが嫌がるようなことを僕がしてしまったから? かっちゃんと喧嘩をしたから?
僕は何を間違えた?
チャイムが鳴り、授業が終わった。あぁ、何もノートに書いていない。
真っ白なノートを見下ろしながら僕は頭を抱えた。