どうも私でっっすーー 最近リア友ちゃんに太中の死ネタ書いてほしいとお願いされたので書こうと思いマンモス!多分読切だよ!そんじゃレッツゴー!!
『行ってきます』
中也と太宰は静かなアパートで暮らしていた。
何かしらあって太宰が中也にプロポーズしたのが始まりだった。
朝は太宰がパンを灰にし電子レンジやキッチンの物を破壊し、
夜はくだらないことで言い争いをしながらも毎晩のように体を重ね合った
中也が大事にっとておいたプリンを太宰がこっそり食べて晩御飯が蛞蝓になり
太宰が「まるで中也を食べるみたいで気持ち悪い〜」と言う日もあった。
そうしてくだらなくも大切な日常が過ぎていった。
太宰は毎朝朝食を食べてる中也の手を優しく握って言う。
「行ってくるよ、私の愛しの中也クン♡」
と幸せそうな表情と声で言う。
「うるせぇさっさと行け」
そう言いながらも、顔が赤くなる
それを隠すようにコーヒーを飲むふりをする。
それがいつもの朝だった。
こんな幸せな毎日がずっと続くと思っていた。
けれど
その日、太宰はいつも朝食中に言う
「行ってきます」を言わなかった。
声もかけずドアが閉まる音だけが俺の中に響いた。
中也の横を静かに通り過ぎる太宰の表情は悲しげな表情をしていた。
「……?」
不思議だった。
でも、その日太宰は仕事が忙しくなると言っていた。
きっと何か考え事をしていたのだろう。
俺はそう思い込もうとした。
いや
そうとしか思い込めなかった。
でも
夜になっても太宰は帰って来なかった。
準備しておいた晩御飯は冷たくなっており、家の中には時計の音が響くだけだった。
「太宰の事だし…大丈夫だよな…」
いつもなら中也の事を最優先に考えてくれる太宰は晩御飯の時間までに帰ってくるからだ。
けど今日は違った
「もう寝るか…」
明日になったら太宰はきっと帰ってきてくれる。
そして「おはよう」と一言かけてくれて昨日の話を聞かせてくれると期待していた。
そして翌日。
太宰は帰って来なかった。
その次に日も。
「太宰………?」
その一言だけが口からこぼれ出た。
不安が胸を掻きむしる。
何度も携帯に電話をかけても繋がらない。
『おかけになった電話は電波の繋がらない場所または_________』
今日これを聞くのは何回目だ…?
探偵社にも電話をした。
「今日はきてない。いつもの事だ」
ただそう言われるだけだった。
「まさか…女と心中でもしやがったか……?」
そんなことは絶対にない。
太宰は俺の事をちゃんと愛してくれている。
簡単に手放すわけがない。
と自分に言い聞かせた。
俺は自嘲気味に笑った。
でもその笑いはすぐに震える唇で途切れてしまった。
太宰がいない世界は空っぽだった。
あんなに埋まっていた冷蔵庫も、2人で一緒に寝たあのベッドも
洗面台の歯ブラシも、残り湯の匂いも
全てが太宰の痕跡だった。
太宰がいなくなって3日目の夕暮れ。
ふらふらと太宰を探すように川沿いを歩いていた。
足元に風が吹く
冷たい風だった。
水面に目をやると何かが浮かんでいた。
誰かがゆらゆらと眠るように揺れている。
「………まさか」
息が止まるように血の気が引いていった。
必死に川に走って行った。
駆け寄った中也の足が止まった。
「…う…そだろ…」
そこには濡れたコートを着たままの太宰が目を閉じて浮かんでいた。
川辺に膝をつき手が震えて息が荒くなる。
水に手を伸ばしてももう温もりは戻らない。
「おい…太宰‥冗談も……そのくらいにしとけよ……」
かすれた声が空に溶け、大粒の涙が目からこぼれ落ちる。
太宰の口はどこか満足げに微笑んでいた。
まるで中也に見つけてもらえるのを知っていたように…
「…どうして“行ってきます”って言わなかったんだよ…糞太宰ッ」
どれだけ呼びかけても返事はない。
太宰の頬に優しく触れる。
冷たい…
こんなの
「太宰じゃねぇ…」
「なぁ太宰…帰ってきてくれよ……」
涙で滲む視界に太宰がぼんやりとうつる。
「置いていくなよ…」
その声は風にさらわれて行った。
翌朝のニュースで、1人の身元不明の遺体が見つかったと報じられた。
けれどそれが太宰とは誰も言わなかった。
太宰がこの世を去って3ヶ月が経った。
部屋には太宰のコートがそのままかけられている。
コーヒーカップも読みかけの本も太宰の為に買った冷蔵庫の奥にあるプリンさえも。
全部太宰がこの狭いアパートの俺の隣にいる証拠だった。
俺はそれらに触れる事ができなかった。
触れたら壊れてしまいそうで怖かった。
手を伸ばせば太宰がいない事を思い知らされる気がした…
最初の一週間は太宰を探し回った。
心中と信じたくなかった。
何処かで笑って
「騙されたねぇ中也」
なんて言ってくれる気がして
でも太宰は本当に「行って」しまった。
それからの日々は灰色に染まっていた。
食べても寝ても息をしても、生きている気がしなかった。
ある日雨が降っていた。
中也はそっと机の引き出しを開けた。
そこには太宰のメモ帳があった。
最後のページにたった一行震えるような字でこう書いてあった。
「ごめんね中也行ってきます言えなくて」
その文字を見て崩れるようにその場に座り込んだ。
しばらく声を出さずに泣いた。
その日の夜中也は太宰が見つかった川辺へ向かった。
雨が降る中傘もささずに。
「ほんと…馬鹿だな‥」
川の中に立ちながらゆっくりと靴を脱いだ。
水は冷たかった
けれど心の奥底はもっと冷たかった。
「てめぇがいない世界なんて生きてても意味がねぇんだよ」
「…待たせたな太宰」
と笑顔で言い
目を閉じて、川の中に身を投げる。
冷たさが全身を包み呼吸が苦しくなった。
でも何処か暖かさがあった。
最後に耳に届いたのは
あの朝聞けなかった太宰の声だった。
「ただいま中也」
そして中也は微笑んだ
「おかえり…太宰」
コメント
2件
すごいわ!あなたって天才 わたすも田んぼのような文が書けるようになりタイよぉぉぉぉ リクエストに応えてくれてありがと😊🙏