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お風呂から出ると、彼がもう一度コーヒーを淹れてくれた。
「ミルク多めの、ホットカフェオレにしたから」
ケーキと一緒に出されたコーヒーのカップに、ふと目が留まる。
「あっ、これ、ミコリコの」
「ああ」と、彼が短く頷く。
「ミコは、君の名前と似ていて、気づくと好きになっていたと、前にも話しただろう?」
温かなカップを両手で包んで、コクっと頷いて応える。
「このカップも、いつか君とコーヒーを飲めたらと思って、つい買ってしまったものなんだ」
「そんな風に思ってもらえて、なんだか嬉しいくらいです……」
ふぅ~っと湯気を吹いて、一口を飲むと、彼の心のままに柔らかな甘さが口の中に広がった。
「うん……だがな、そうは言っても、やっぱり男の一人暮らしでこういうのを持っているのは、どうかとも思うよな」
そう言って、照れたように笑うチーフが、とても愛おしくて、「そんなことないです」と、首をふるふると横に振った。
「……だって願ってくれたことが、ちゃんと現実に叶って、あなたとこうしてコーヒーを飲めたから……」
「そうか……ありがとう」と、彼が顔をふっと崩して微笑む。
「……これからも、こうやって君と、コーヒーを飲めたらいいな」
「はい……」と、はにかんで答える。この人と付き合えて本当によかった……それは、心からそう感じられるようなひとときだった。