ゴミが散乱した、俗に言う汚部屋の中心
電飾につけたロープの輪
小さな台に乗って、その輪を覗き込む
向こう側の世界はなんの変哲もなく罅入ったガラスの引き戸と、開かれたカーテン
昼夜逆転してからずっと見続けた夜の景色が広がっている
もはやなんの生気もない目をした自分が映る窓
飯を食うやる気も金もなかったから、健康体とは程遠い姿をしている
不気味に青白い腕で輪を掴み引っ張る
首にロープを掛けると息苦しさと共に浮遊感が全身を襲った
宙ぶらりんの状態でぼーっと碌なことがなかった今世に思いを馳せる
嗚呼、眼の前が霞んできた、そろそろ意識も無くなりそうだ
やっと、やっと救われる。そう思った時
不意にロープの上からブチブチと小さな音となにか繊維が切れる感覚が首から伝わってくる
ちぎれるなと思ったときにはもう遅くて
世界は回転し、頭に強い衝撃が起きた
鉄臭い水が頭から流れ出る、生ぬるい血がオーバーサイズのTシャツを濡らす
水よりも粘度があるそれが手に垂れていく嫌な感覚がした
体が冷たくなっていくのを感じる
ああ、俺の死因首吊り自殺じゃなくて首吊り自殺しようとして頭から落ちて失血死になっちゃったな
「ダッサ…」
小さな声を汚部屋に残して
世界は暗転した
続きはひなさんのところで!
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コメント
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うん。良き☆