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入学式。
まだ春の匂いも残ってる中、俺は教室に入って自分の席を探す。
「…あ、ここか…!」
一番後ろの窓際の席。
俺はそこに腰掛けた。
ふと、横に視線を送ると、一人で本を読んで座っている男がいた。
少し焦げた茶色の髪に、小さく跳ねた寝癖が可愛らしい。
みんなそれぞれ輪を作り始めている中、一人無言で文庫本に目を運んでいる。
その姿はどこか静けさを纏っていた。
「ね、君、もしかしてスマイル君?」
そう聞くと、彼は驚いたようにこちらを見た。
その時の綺麗な紫色の瞳に俺は思わず吸い込まれそうになった。
「…そうだけど、」
「へー、いい名前だね!」
「俺はなかむ!よろしくね!」
「……、」
彼はゆっくりと視線を本の方へ戻す。
少し頑固っぽい人だけど、悪い人じゃなさそう、
俺は初日から心を躍らせていた。
それから俺は、毎日彼に話しかけた。
「おはよ、スマイル!」
「スマイルー、一緒にお昼食べに行こ!」
「へー、そうなんだ…」
彼の笑顔が見れるまでずっとずっと話しかけた。
次第に、彼の表情は最初の頃よりも緩んでいった。
彼が笑ってくれるのがいつになるかはわからないけど、
その日まで、ずっと側にいさせてほしいなぁ…
なんてね、