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「噂の張本人、登場、って感じ?」
摩理之介君が今まで見たことのないような無表情で立っている。
「え、えっと…摩理之介君、もしかしてずっと……聞いてた…?」
私がスカートの裾を掴みながら言うと、摩理之介君は小さく頷いた。
「……うん。そうだね。ずっと聞いてた。さぁーもんを探してたら、ななっし〜さんもいてさ、いつ入ろうかな〜って思ってたんだけど……。全然はいる隙間がなくてさ〜」
摩理之介君は、笑おうと口角を上げているが、目が笑えていない。
その不気味さにか、身体が震えた。
……摩理之介君がこんな表情してる理由って………私たちが噂をしてたから……?それとも、私がさもくんと摩理之介君の関係を知ろうとしているから…?
どっちかとか、何も確信もしないけど………「そうだよ」って心の中の自分が言っている気がする。
そして、私は、摩理之介君にももう一度聞こう、聞かなくちゃっと思い、口を開いた。
「ま、摩理之介君、あのさ…」
私はさもくんに聞いたことを、そのまま伝えようと思った、けど。
それで知らないとか言われたら、摩理之介君にとって、私はただ迷惑な存在になってしまう
それに、これは私の問題なんだから、自分で考えたほうがいいのかも知らない……とも思ってしまった。
聞くのが唐突に怖くなってきた。
ずっと、二人が私と出会ってから何も言って来なかった秘密を今、知ろうとしてるから…なのかもしれない。
私は、スカートの裾を握り込んだ。
聞くか、聞かないか。
この二択だ。
………これで、聞かなかったら………どうなるのかな。
ただ何も無く、こんな事を忘れて過ごすだけ?
………そっちの方が、悩まずに過ごせるかな。
平穏に過ごせるのかな。
分からない考えがずっと渦巻いている。
………………こんな事、忘れた方が良いかな。
もう、何でもないって言ったほうが早いよね。
私は、「何でもない」って言おうと、口を開こうとしたら、さもくんと不意に目が合った。
さもくんのその瞳は、悲しそうな、申し訳なさそうなそんな色をしている。
……………この瞳、私、みたことがある。
この色………
小さい頃に、さもくんが私と離れる時に見せた、あの瞳だ。
『ごめんね』
とだけつぶやいて、消えていった、あの瞳だ。
『……やだ。消えないで。離れないで……』
心の奥底にいる私がつぶやいた。
……………やだ。
やっぱり、やだ。
このまま終わっても………また、また…さもくんが離れていっちゃうかもしれない。
そんな瞳をしてるのは、理由があるんでしょ?
離れないでほしい。
平穏とか、早いとか、どうでもいい。怖さとか、何でも良い。だから…………私をまた一人にしないで…。
さもくんと、離れさせないで……っ
私が、心の中で必死に叫ぶ。
聞かなくちゃ。ちゃんと、聞こう。
摩理之介君と話して……ちゃんと別れるって言って、絶対にさもくんと離れないようにする。ずっと、手をつないでいたいからっ。
ずっと、隣に並んでいたからっ。
「摩理之介君!!私、ずっと、気になってることがあってっ!」
摩理之介君は、きっとちゃんと話さないと教えてくれない。だから……!
「ずっと………なぜか摩理之介君の事を見ちゃうのっ」
さもくんにもしっかり教えてなかったことだって話さなきゃいけないっ!
それを言った途端、二人とも目を見開いた。
私はそれにも構わず、話し続ける。
「でも、それは好きだから、っていうようなものではなくてっ。だから多分………何か、他にあると思うの。あと、もう一つ気になってることがあって!さもくんが昔、なぜか引っ越したこと!それを、なぜかさもくんは教えてくれなかったっ。それで、私なりにたくさん考えた結果、摩理之介君とさもくんは関係があるんじゃないかって!」
私が話し続けるたびに、たくさんたくさん二人は瞳の色を変えていく。
「…………ななっし〜……」
さもくんが私の名前を呼んだ。
その声は……どこか痛そうで……。
私、何か間違った?と思ってしまうような声だった。
「…………ごめんね、話せなくて…。一人で悩ませて…」
さもくんは俯いているから私からでは顔が見えなかった。
だけど………今、きっと怒りを噛み殺そうとしているような顔な気がする。
それは…………多分、私への怒りじゃなくて……自分へか、摩理之介君への怒りなんじゃないかなって思ってしまう。
憶測でしかないけど………当たってるんじゃないかなって思うんだ。
「さもくん…………っ」
私は、さもくんの方に行って、さもくんの手を握った。
その手は、冬だからかとかもう分かんないけど……冷たく震えている。
…………私こそ、ごめん。ずっと逃げ回ってて。さもくんのこと、見ないふりして……。
私の方が謝らなきゃいけない事は多いんだよっ?
だから………そんなに『ごめんね』って言わないで…。
私すら、俯いて歯を食いしばっていると…………
「………やっぱり、俺じゃダメ?」
摩理之介君の影が私の前に立ちはだかった。
ーーー
なな(………この終わり方、前もあったな……?)
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