さて、次は誰かな。俺がそんなことを考えていると洞窟の奥からオウムがやってきた。ダンゴムシみたいな方ではなく鳥のオウムである。
ちなみにそいつの頭の上にはカタツムリの殻《から》のようなものがある。
「えーっと、お前が六月の誕生石か?」
「そうだ」
「そっか。えっと、お前名前は?」
「オウムーンストーンだ」
「なるほど。えーっと、お前の頭の上にあるカタツムリの殻みたいなやつは何なんだ?」
「こいつはパールリガイ。好物はサクラゲだ。鉱物だけに」
え? あー、好物と鉱物をかけたのか。でも、声が渋すぎるから反応に困るな。
「えっと、サクラゲってなんだ?」
「サクラの味がするクラゲだ。体は薄ピンク色で季節の変わり目になるとよく現れる」
「へえ、そうなのかー。えっと、パールリガイはしゃべれないのか?」
「しゃべれないことはないが、今は熟睡しているから何をしても目を覚ますことはないぞ」
「へえー、そうなのかー。なあ、ちょっと触ってみてもいいか?」
「パールリガイにか?」
「ああ」
「ふむ、まあ、いいだろう。だが、落とすなよ」
「ああ、分かった」
おっ、意外とあったかいな。よーしよし。俺がパールリガイを撫でてやるとそれは少し動いた。
「ん? 今ちょっと動いたぞ」
「何? それは本当か?」
「ああ、なんかこうカタツムリみたいに」
「そうか。やはりお前は適合者なんだな」
「え? どういうことだ?」
「パールリガイは不適合者を溶かして養分にする習性がある。だが、お前は溶かされていない。つまり、お前は適合者だ」
「いや、さらっと怖いこと言うなよ。でも、俺何もしてないぞ?」
「何もせずとも彼女には分かる。なあ、パールリガイ」
「うん、この体気に入った。すごくいい。あー、幸せー」
「そ、そうか。これからよろしくな、パールリガイ」
「うん、よろしくー。スウスウ……」
「あれ? 寝ちゃったぞ?」
「気にするな。いつものことだ」
適合者かもしれないという噂は耳にしていたが、まさか本当にパールリガイに好かれるとは。こいつはいったい何者なんだ?
「なあ、お前はこれからどうするんだ? オウムーンストーン」
「そうだな。まあ、それは手合わせをしてから決めよう」
「おっ、やる気満々だな。じゃあ、パールリガイをどこかに……あれ? あいつ、どこ行った?」
「安心しろ。彼女は今、ほぼ確実にお前の体の中にいる。良かったな、これでお前はこれから一生健康でいられるぞ」
「へえー、そうなのか。それはありがたいな。よし、じゃあやるか!」
「ああ!!」